SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年1月10日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「猿」

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 今年の干支は「申(さる)」。年賀状でも、かわいいお猿さんの写真をよく見かけました。
 日本語で「猿」というと、ニホンザルのイメージが強いのですが、ゴリラやオラウータンといった大きなものから、スラウェシ・メガネザルのような小さなモノまで、猿もいろいろです。
 今日は当店のお客さまが話されていた、そんなさまざまな「猿」にまつわるお話を、少しだけここでご紹介させていただきます。(あ、微妙に関係のないような、あるような(?)お話もご紹介しておりますが、お気になさらず……)


image ■ モンキー・パンチさん(漫画家)の

『ペン・ネーム』の話

 僕のペンネームは、新人の時の編集長さんに付けてもらった。僕の絵柄は無国籍な感じだったし、『ルパン三世』等の作品自体も無国籍なお話だったので、ペンネームも無国籍にしよう、と。
 その前は、本名で漫画を描いていた。でもその頃は、まだ自分の絵のスタイルが出来上がっていなくて。それがある時、神田の古本屋街で外国の本を専門的に扱っているお店でアメリカの『MAD』という雑誌を見つけて、「あぁ、漫画ってこういう描き方もあるんだ」と衝撃を受けた。
 ああいう絵は日本ではほとんどなかったし、ものすごく新しいモノに感じた。「あの絵の感覚をなんとか日本の漫画に取り入れられないだろうか」、そう考えて、いろいろ試行錯誤した。
 その試行錯誤を1年ほど続けた頃に、出版社から「劇画を描いてみないか?」という誘いを受けた。そこで初めてストーリー漫画を1本、『ルパン三世』のスタイルで描いた。その漫画を見た編集長が「モンキー・パンチ」という名前を付けてくれたんだけど……なんで「モンキー・パンチ」だったのかは、いまだに分からない(笑)。僕の描く男性キャラクターが猿顔だから「モンキー」なのかな?とは思っているけど。
 実は内心、(なんでこんな名前をつけるのかなぁ、嫌だなぁ)と思っていた。「いや〜、カタカナのペンネームってあんまり売れなさそうですよね〜」なんて微妙な抵抗もした。だけど「とりあえず1年はこの名前で」と言われてしまったら、新人だけに文句も言えないし。
 そんなこんなで(1年は我慢するか……)と「モンキー・パンチ」で仕事をしていたら、『ルパン三世』が当たってしまって、もう後戻りは出来なくなった。
 『ルパン三世』が始まったのは、モンキー・パンチになって半年くらい経った頃。最初はとりあえず3ヶ月の連載という話で、好きな怪盗モノを描かせてもらった。その3ヶ月で意外なほどに人気が出てしまって、もうその後は名前もズルズルと。
 そんな事情で、「モンキー・パンチ」という名前になって、もう30年以上になる。

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image ■ 丸橋珠樹さん(武蔵大学人文学部教授)の

『霊長類の鳴き声』の話

 霊長類にとって、音声は非常に重要な行動レパートリー。そしてその声はとても美しい。だから研究のためにフィールドワークへ行くときは、常にカセットを用意して、録音の準備をしていく。
 ただ、人間みたいにこちらの都合に合わせて声を出してくれるワケじゃないし、そもそも鳴く頻度が少ない。調査と録音を平行して行うのもなかなか難しい。そんなわけで、「霊長類の鳴き声」は録れたら記念として大事にとってある。
 ゴリラのドラミングは、まるできれいな太鼓の音のよう。のどの気管の一部が袋状になっていて、そこに空気を吹き込み、胸筋越しに叩いている。その原理はまさに太鼓。より遠くへ、より強く響かせるための仕組みなのだろう。
 チンパンジーの鳴き声は、人間の声に近い。ゴリラが低い声で吠えるのに対して、チンパンジーは様々な声を出す。おそらく、チンパンジーの方が社会が複雑で、音声によっていろんなコトを伝える仕組みが発達してるのだろう。オス同士が出会うとパント・フートと言って、少しへりくだったような声を出したり。それは人間で言えば「どうも、どうも」といったニュアンス。少し体をかがめて手を差し出したりする仕草も、人間そっくり。
 ゴリラの中には、ドラミングの代わりに手を叩く種類もいる。普通、ゴリラといえばマウンテンゴリラで、草原を歩いているイメージだけど、私たちが研究しているコンゴの熱帯雨林では、木の上に上って葉っぱや果実を食べている。そうすると胸たたきができるほど足場が安定していないので、代わりに手を叩いて相手を威嚇する。
 こういう音を録音できた時は、こちらの「やるかな?」という気持ちがゴリラと通じたとき……だったら良いけど、まずはこちらがゴリラに気づいて、ゴリラがこちらに気づいてない、というのが絶対条件。見つからないように近づいて、ひたすら待つ。そうして初めてその生物の本当の姿を見ることができる。これが生態学フィールドワークの極意。
 ゴリラやチンパンジーとは、目と目で語り合えるような雰囲気もある。たとえば人に馴れたゴリラだと、ブラフ・チャージといって突然吠え掛かってくることもある。初めてだとビックリするけど、実はそれはウソで、直後にゴリラがニカっと笑って「脅しただけよ」みたいな。その「なんちゃって」というニュアンスはこちらにも十分伝わってくる。

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image ■ 佐藤智美さん(ZOO JAPAN)の

『ペットとしての猿』の話

 毎年、干支にちなんだ動物を飼いたいと思う人は多いみたいで、今年は当然「猿」が人気。
 いまなら、「ポケット・モンキー」と呼ばれる小さい猿が主流になっている。中でも一番人気はリスザル。ちょっと間抜けな泥棒みたいな顔をしていて、とても可愛い。それからコモンマーモセットという猿も人気がある。
 猿を飼っていると、まるで自分の子供みたいに思えてくるみたい。猿の方も「冷蔵庫の中のジュースが飲みたい」みたいな意思表示をちゃんとするし。好きなおもちゃを持ってきて「これで遊んで!」とか、タッパーを持ってきて「開けて!」とか。本当に知能は高い。
 エサは「モンキー・フード」というビスケットが売られている。そのビスケットを中心に、果物や種子、昆虫などを食べさせる。昆虫を食べさせるのは抵抗がある人も多くて、栄養的にはモンキー・フードでなんとかなるんだけど、やっぱり猿としては「ピョンピョン跳ねているコオロギを食べた!」というのが楽しいみたい。だから猿の気持ちを考えたら、昆虫を食べる機会を作ってあげた方が良いと思う。エサ用の昆虫はウチみたいなショップで売っているので。
 猿の値段は、種類によって違うけど、おおよそ35〜60万円ぐらい。犬とそれほど変わらない。犬よりもやや長生きで、普通なら16年前後は生きる。
 現在は法律でアフリカからの輸入が禁止されているので、最近はカタカナ名の猿でも国内繁殖で生まれている。そのため、お店に入ってくる数はまだまだ少ない。ただ、国内繁殖になって良かったことも1つあって、猿の赤ちゃんがお店に入ってくるようになった。その頃から人と一緒に育つと、人に馴れた性格の良い子になってくれる。

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image ■ 福田靖さん(脚本家)の

『太閤記〜サルと呼ばれた男〜』の話

 「豊臣秀吉がサルと呼ばれていた」というのは、どの作家も書いているから、たぶん史実なのだろう。だけどドラマ『太閤記〜サルと呼ばれた男〜』では、「草ナギ君って猿に似てないよね」と打ち合わせで問題になって、「たいしたコトのない男」という意味のあだ名「サル」にこじつけた。
 脚本を書く上で、いろんな作家の「太閤記」を読んだけど、その結果発見したのが「みんなけっこう勝手に作ってるんだな」ということ。秀吉とねねの会話なんて誰も聞いていないので、そのあたりは「書いたもん勝ち」なのだろう。ただ、「バイタリティ溢れるアイデアマンで、のし上がっていくことを夢見ている」という秀吉像は共通している。
 ところが今回は、プロデューサーの石原さんからの注文で、「特に出世する気はなかった秀吉」を書くことになった。最初は「え?!」と思ったんだけど、その後の説明で納得がいった。つまり「アイデアをバンバン出して、のし上がっていく」というのは、ちょっとバブリーな感じがする、と。今の時代感なら、お客さんの方を向いてちゃんと仕事をしていたら、気がついたら取締役になっていた、というニュアンスの方が良いのではないか、と。
 なるほど面白い、と思って書き始めたんだけど、あるところでピタリと筆が、というかワープロが止まった。だって「出世するつもりはない」とか言ってるくせに、どんどん出世していくから。「出世するつもりはないっていうのはただのポーズか?!」なんて、自分で書いててその秀吉が嫌になってしまった。
 そこでプロデューサーに相談したところ、「じゃあ秀吉が頑張ってしまうモチベーションを考えよう」と。そして「農民のために、平和な世界を作りたくて頑張る秀吉」を考えた。ところがこれも、すぐに詰まってしまう。だって「平和」を求めているくせに、結局合戦で人を殺すわけだし。
 それでさらに「人を殺せない秀吉」という設定を加えた。本当の史実はさておき、世の中的には「秀吉は水攻めなどで人を殺さない主義」というイメージになっている。その部分を信長に「なにをぬるいことを!」と叱られ、それでも人を殺せない秀吉という設定はどうだろうか、と。
 そうはいっても世は戦国。人を殺してしまうこともあるわけで、自分の中で大事にしてきたモノがガラガラと崩れて、道を見失う……といったエピソードもできて、ストーリーにテーマが生じた。
 ちなみに、6月くらいに公開予定の『海猿』という映画の仕事も同時にしていた。どっちも「猿」だから、パソコンの仕事フォルダがごっちゃになっちゃって大変だった。

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image ■ 村崎太郎さん(さるまわし芸人)の

『猿の次郎』の話

 猿は、拍手や笑いで「ウケてる」ということを理解している。
 僕がネタや台本を書くんだけど、それは大概ウケない。やっぱりお子様からおじいちゃんおばあちゃんまで、非常に幅広いお客さんがいるので、全層に渡って理解できるネタを作るのはとても難しい。
 で、僕が外すと、次郎が「こっちの方がいいよ」って勝手に始めてしまう。それがワッと受けるので、芸にしていく。去年亡くなった2代目次郎とは、「どう?いまの?」「いいんじゃない?」「いいと思うよ」なんて目で会話できた。そっちの方が完成度は高かった。
 初代の次郎は、とても昔気質な芸人だった。それに対して、2代目はタレント的。わかりやすくいうと「飽き性」だった。同じコトをあまり続けたがらない代わりに、新しいことをどんどん生み出していった。
 その2代目も、結婚してからはいい父親だった。亡くなる1年くらい前の話だけど、ホールで800人くらいのお客さんを前に芸をしている最中、楽屋から(次郎の)娘の聞こえてきたら、大慌てで楽屋まで走っていって、舞台に2分くらい穴を開けてしまったり。「父親としては素晴らしいかもれしれないけど、芸人としては最低ですよ!」なんて。
 猿の世界は、本来は「母親は分かるけど、父親はわからない」はず。だから父親は子供にあまり興味を持たないのが普通。ところが次郎は、確実に自分の子だと認識して、ちゃんと可愛がっていた。
 そういえば「そんなに奥さんがいいかよ!」と笑ったこともあった。結婚の縁はお見合いだった。次郎は京都の嵐山出身。それに合う家柄は……やっぱり東京!ということで、高尾山のサル園へお見合いしに行った。誰を選ぶかと思ったら、一番若い娘を選んで、「なんだよ、やっぱりお前も若いのが良いのかよ!」みたいな。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'29" You're So Right For Me Peggy Lee Capitol 7243 8 56056
20'09" You Brought A New Kind Of Love To Me Frank Sinatra Reprise WPCP-5793
30'30" I Never Knew Four Freshmen Capitol 7243 4 95002 8
42'08" Monkey See Monkey Do Michael Franks wea WPCR-2542
48'21" Pop! Goes The Weasel Merry Macs Capitol CDP 7 99179 2


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