■ 桐山秀樹さん(ノンフィクション作家)の
- 『最新のホテル事情』の話
最近、品川、汐留、六本木と、立て続けに新しいホテルゾーンができた。便利なのは品川。この間も新幹線で帰ってきて品川で泊まったけど、名古屋を出てから品川でホテルに入るまでが、本当にあっという間だった。
品川で、以前からプリンスホテルがあったのが「高輪口」。そして反対側の「港南口」に、新しくストリングスホテルができた。ストリングスは全日空系で、割と高級感のあるビジネスマン対応のホテル。
品川のホテルに泊まると、港南口にある韓国料理屋へいつも行っている。「しながわ」をひっくり返して『わがなし』という名前のお店で、小汚い感じが本場っぽい雰囲気を醸し出している。品川は、高級ホテルと人の住む街らしい部分が混在しているところも魅力だと思う。六本木ヒルズだと、あまりに人工的な「街」すぎて、ちょっとおもしろくない。もちろん六本木ヒルズだって良い場所なのは分かっているけど。
そんな風に、ホテルは周りの街も重要で、僕の好きなキャピトル東急ホテルなんかだと、真横は山王神社。その周りを高層ビルが取り囲んでいて、どこか不思議な景色が見える。
そのキャピトル東急とか皇居前のパレスホテルで、だいたい400室くらい。それくらいこぢんまりしたホテルが、これからは良いと思う。「御三家」と言われる帝国ホテル、オークラ、ニューオータニは1000室規模で、昔は「大きい方が良い」と考えられていたのがよくわかる。でも今は団体客の時代でもないので、こぢんまりして、サービスで競う、という風潮になっている。
都(みやこ)ホテルも、ラディソンという外資系が入ってリニューアルした。それでベッドが良くなって、都内のホテルは、ちょっとした「ベッド戦争」といった趣になっている。
一番最初はウエスティンホテルの「ヘブンリー・ベッド」。モーニングコールが2回鳴っても起きないくらい寝心地が良い、という触れ込みだった。それに対抗して、キャピトル東急は「テンピュール・ベッド」を導入した。スウェーデンの「テンピュール枕」は知っている人も多いと思うけど、あれのベッド版。最初は違和感があったんだけど、その内に慣れてきて、今ではそのベッドで寝たいがために泊まることもあるくらい。でも最新の情報では、ラディソンがNo1と言われているらしい。
中華料理がおいしいホテルも、良いホテルだと思う。これもベッドと同じで、ラディソンの四川料理、キャピトルの『星ヶ岡』、ウェスティンの中華、どれもおいしくて人気がある。もちろん、オークラの中華だって悪いワケじゃないけど、何でもおいているタイプよりは、何かに絞って追求しているタイプのお店の方が人気。そういう面でも、大きなデパート型ホテルというのはちょっと辛い時代。かといって絞ってしまうと、今までの客が逃げてしまうし……
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■ 伊藤健さんと堀越千代さん(「日経トレンディ」記者)の
- 『日本のホテルランキング100』の話
「日本のホテルランキング100」という記事を担当した。
いろいろな項目でホテルを覆面調査して回ったんだけど、たとえば「ドアマンの対応」だったら、タクシーから降りたときにフロントまで荷物を持っていってくれるか、フロントから客室まではどうか、チェックアウトした後は、と3段階でチェックする。これはホテルによって対応が全然違う。
その他にも「出したランドリーは翌朝までに仕上がるか」とか、とにかく細かくチェックが細かく決まっているので、ホテルに着くと夜中の12時くらいまで、とにかく休むヒマがない。
夜中の12時には「水を持ってきてもらうのにかかる時間」「お風呂のお湯が貯まるまでにかかる時間」なんてチェックがある。お風呂のお湯は、チェックイン直後と夜12時で2回計って、平均を取る。
チェックしに行く時は1人で泊まるんだけど、一応「2人で泊まっている」という設定なので、チェックインの時だけ誰かを呼んだり、なかなか大変。ルームサービスの料理も必ず2人分注文して、2人で泊まった時のサービスを確認している。ちなみにルームサービスを呼ぶ時は、シャワーを出しっぱなしにして入り口にスリッパをおく、なんて小芝居を打ったり。携帯を2個置いておく、なんてこともしている。
チェックインして最初にするのは、「絆創膏を持ってきてくれるか?」。本当だったらけっこう急を要するケースが多い「絆創膏」も、ホテルによって届けてくれるまでの時間はずいぶん違う。さらに対応にも差が出るところで、何枚も絆創膏を持ってきてくれるところ、「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれるところ、頼んでいなくても消毒液を持ってきてくれるところ、などさまざま。
ちなみに消毒液を持ってきてくれたのはホテル西洋銀座。そういう細かいサービスは点数に反映されにくいし、記事にもできなかったのが非常に心残りだった。
コンシェルジュには「近所で足腰の弱い両親と行けるスポットを教えて欲しい」というリクエストを出した。「ご両親のご趣味は何ですか?」と聞き返されても困るので、「義理の両親だからよくわからない」という設定。けっこうみんな独身の編集者だったりしたけど、ここでも一生懸命に小芝居を打った。
このコンシェルジュの対応もピンキリで、「浅草」「はとバス」というのが一番芸がない。「浅草から水上バスに乗ってお台場へ行って、ゆりかもめで1周すればこんな景色が見れて……」なんてコースを教えてくれたのは、東京ドームホテルのコンシェルジュだった。「歌舞伎座なら3幕目のこの演目が人気があって、野田秀樹さんと中村勘九郎さんの……」と歌舞伎の演目について細かく教えてくれたのはグランド・ハイアット。
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■ 泉麻人さん(コラムニスト)の
- 『変わった宿』の話
荻窪に「西郊旅館」というホテルがある。昔ながらのお屋敷街の入り口にあって、お茶の水のニコライ堂を小型にしたようなドームの屋根がついている、かなり趣のある洋館仕立てになっている。
ご主人にうかがったところに寄ると、昭和6年頃の建物で、「西郊ロッヂング」という名前の高級アパートメントとしてスタートしたのだとか。今はその名前に戻して、ホテルとして営業している。高級アパートメントだったころは、裕福な家庭の学生なんかが住んでいたらしく、写真を見ると、当時で全室に電話がついていたのには驚いた。
「西郊」と言うくらいだから、当時の荻窪は郊外だったのだろう。もともと本郷にあった宿が、次の候補地を探すにあたって、葉山に雰囲気の近い場所を探して、荻窪に決まった、という経緯みたいだし。
東京の「元・郊外」だった場所には、時々そんな変わったホテルがある。池上線の千鳥町にある「観月」は山荘じみた宿で、階段を上っていくと途中に小池があったり、露天風呂風のところがあったり、とてもおもしろい。ここも大正の頃からある宿で、かつては横山大観が定宿にして絵を描いていた、とか。
観月のお風呂で出会ったオジサンは、たまたま地方から来る時に、インターネットで安い宿を検索して、そこに泊まっている、ということだった。こんなおもしろい宿も、意外と知られていないみたい。
西池袋のはずれには、「昌庭(ショウテイ)之家」という中国人が経営する中国人向けの宿がある。ここに泊まろうとしたら、ぜんぜん日本語が通じなくて、わざわざ宿の人が知り合いの通訳の人を呼んでくれた。それくらい「中国」な宿。
ダブルの部屋を見せてもらったら、シングル・ベッドが1つしかない。どうするのかと思ったら、ベッドの下の引き出しをガタッと引っ張り出して、「これでダブルになりました」だって。知らないでカップルが泊まったらどうするんだろう、と可笑しかった。
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■ 林博史さん(広告代理店勤務)の
- 『線路が見えるホテル』の話
新橋駅と有楽町駅の間にある第一ホテル。あそこの2階にはバーがあるんだけど、これが線路とちょうど同じ高さになっている。そこから見る鉄道風景が1番。
山手線、京浜東北線、東海道線の在来線、それから新幹線、それぞれ上下で計8本。おまけに奥には首都高速まで走っている。なぜか手前から奥に行くほど段が高くなっているので、まるで列車の模型を走らせているのを横から眺めている気分。
そのバーは、線路に向かって窓が開いていて、入り口に近い方はカウンターになっている。L字型のカウンターなので、そのLの長い方に座ると、バーテンダー越しに線路が見える。奥には2〜4人掛けのテーブルもあって、どの席に座っても線路は見えるので、電車とお酒が好きなら、このバーはこたえられない。
「車輪がきしむ音が良い」とか「パンタグラフのこすれる音が良い」みたいな「音」派もいるけど、僕の場合、音は邪魔なだけ。ひかり号が通過していく時とブルートレインが通過していく時は、頭の中で違う曲をかけているので、そこに音はいらない。
夜も更けてくると、21時何分かに新幹線の新大阪行き最終列車が目の前を通っていく。それを見ていると、うなだれて乗っている人、楽しそうに乗っている人、いろんな人がいる。「どうせ最終で帰るくらいなら、1泊したいなぁ」なんてこっちのいるホテルを見ながら考えてるのかも……なんてことを考えるのも楽しい。
マニアックな人には「音が聞こえる」という理由で京王プラザホテルとかが人気らしいけど、乗っている人の顔を見るのなら第一ホテル。
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■ 石田肇さん(神保町「サクラホテル」支配人)と 瀬戸フォルドバリーさん(同スタッフ)の
- 『外国人向けホテル』の話
サクラホテルは10年前にできたホテル。親会社が外国人向けの月貸しのアパートを経営していて、「何かと不便な外国人の、もっと短い滞在にも対応したい」という目的で誕生した。
シングル、ツイン、ダブルなど普通の部屋のほかに、「ドミトリー」という相部屋も用意している。12畳ぐらいの広さの部屋に、2段ベッドが4つ。そこに世界各国からきたお客さんが、一緒の部屋に泊まっている。
そういう部屋に、外国の人はあまり抵抗はないらしい。安いし、友達も作れるし、1階のカフェでビールを飲みながらワイワイガヤガヤ、楽しそうに「明日一緒にどこどこへ行こう」なんて相談をしている。
このドミトリーは1泊3600円。日本の感覚だと安いけど、国によっては「高い!」という人もいる。外国の人に安く泊まってもらうのが目的のホテルなので、努力はしているのだけれど……
満室の時で、全部で80人くらいのお客さまが泊まる。平均すれば、外国人が6割で、日本人が4割なんだけど、時には全員外国人なんてこともある。特にお正月から春先に掛けては、アジア系のお客さまが増える。台湾から来た「日本が大好きな女の子たち」とか。
5月になるとアジア系の人が減って、7月まではアメリカ、オセアニア系。8月の夏休みは、さすがに日本人が多くなる。そして9月以降はヨーロッパ、特に最近はイギリス人が多い。その理由の1つは、どうもF1らしい。東京に来てから鈴鹿に行く、というのが1つのコースになっているみたい。
それと、時期は関係なく「武道家」は多い。柔道の講道館や武道館、それから空手の世界的団体も近所にあるせいか、ゴツイ人たちが団体で泊まりに来ることもある。けっこうマニアックで「○○製の道着を買いたいんだけど……」なんて相談されて、調べることもある。
ウチのお客さんは、そんなマニアックな人ばかり。「アニメ」「武道」「車」そんな日本のどこかピンポイントだけを狙って来る人たちが泊まっている。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 8'59" |
Almost Like Being In Love |
Nat King Cole |
Capitol |
CDP 7243 8 293842 2 |
| 21'16" |
People Will Say We're In Love |
Nancy Wilson |
Capitol |
CDP 7243 8 28107 2 8 |
| 31'37" |
All Of You |
Anita O'day |
Verve |
POCJ-1914 |
| 39'22" |
I'm Nobody's Baby |
Vic Damone |
Capitol |
CDP 7243 8 31775 2 3 |
| 46'24" |
There's A Small Hotel |
Billy Ecstine |
Verve |
314 526 448-2 |
|