SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2003年9月27日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「図書館」

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 当店のすぐ近くにある有栖川記念公園の中には、国内最大級の公立図書館「都立中央図書館」がございます。約163万冊もの蔵書があり、約24万冊の本が開架されている、まさに知の殿堂です。
 ……なんてことは、実はお客さまから教えていただいたばかりの知識で、「近所に大きな図書館があるらしい」ぐらいの認識しかありませんでした。なにせ図書館というものとは縁遠い生活を送っているもので……
 せっかくの機会なので、今度、その図書館をのぞいてみます。そうそう、ついでに今日は、私にその図書館のことを教えて下さったお客さまのお話を、ご紹介させていただきます。


image ■ 丸澤勝利さん(国立国会図書館)の

『本の修復』の話

私が所属しているのは「収集部資料保存課」。本が傷んで閲覧利用できなくなった時に、修理修復して、また利用できるようにするのが仕事。
 だから職場は、まるで工房のよう。13人の職人で、毎日本を直している。私の担当では皮を使ったりするので、20冊を修復するのに2ヶ月かかることもある。
 本を直す時は、いちど本を分解する。本の背の皮がダメになっていたら、背文字をなるべく残すようにして、裏側になるべく似た色の皮を当てて、改めて本を綴じる。こうすると、見た目には「修復した」とはほとんどわからない。背文字がすり切れて無くなっていれば、手で1文字1文字入れていく。
 金箔の背文字の修復には、24金を使っている。でも、この金箔がけっこう高いのが難儀。小さな切れ端でも捨てられない。金箔は薄く伸ばしてあるものを買ってくる。油をしみ込ませた和紙にくっつけて、それから本に移し、押し込んで定着させる。
 虫食いやすり切れた部分を修復するのに使うのは和紙。外国の図書館でも、本の修復には日本の和紙を使っている。穴を埋めたり、裏打ちに使ったり、酸性紙がボロボロになってしまう問題でも、その紙を2つに裂いて、和紙に貼り付ける、という修復の方法がある。新聞紙だって2枚に剥がすことができる。
 本というものは、1度床に落としただけでも大きく傷むもの。本棚から本を引き出すのだって、気をつけないと本を傷める。たとえば、書庫にズラッと本が並んでいる時、普通は本の頭に指を引っかけて本を取り出す。でもあれは一番、本を傷めるやり方。まずは本の上をちょっと押して、下の浮いてきた部分を持って引っ張る。これが正しいやり方で、本を傷めない。
 太陽の光はもちろん、蛍光灯の光でも本は傷む。それくらい紫外線の影響は大きい。ウチの書庫は、センサーで人が入ってきた時だけ、明かりがつくようになっている。
 ちゃんと扱ってやれば、本は長持ちする。自分の代だけじゃなくて、後世に残してやることを考える、それが国立国会図書館の役割。

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image ■ 阿刀田高さん(作家)の

『国立国会図書館』の話

 社会人として最初にスタートした職場は、国立国会図書館だった。
 日本の法律では「納本制度」といって、あらゆる出版物は、2冊を国立国会図書館に納めなければならない。だから裸の女性が踊っているような雑誌ですら、国立国会図書館に届いている。
 出版物といってもイロイロだけど、取次店を通すような出版物なら、必ずそうしている。さらに自費出版の本でも、自分で国立国会図書館に送りつければ、ちゃんと受け付けて保存してくれる。
 世間では「本を寄贈した」なんて簡単に言うけど、寄贈された側が意外と大変なことをみんな知らない。「閲覧を供するようにするための手間」というのは、けっこうお金がかかる上に、国立国会図書館がある場所は永田町。あの一等地で本1冊が、幅2cm、奥行き20cm程度の場所を占めると考えると、土地代だってバカにならない。それに建物、空調、もろもろの経費を考えたら、1500円くらいの本じゃあ、すぐに本の代金くらいにはなってしまう。
 ちなみに図書館の書棚というのは、原則的に大人が立って手を伸ばせば手が届く高さまで。やけに高い書棚にハシゴを掛けて……というイメージがあるけど、そんなことを本当にやっていたら、労働災害が年に何件起こるかわかったもんじゃない。大学図書館ならそういうところもなくはないけど、図書館の建築というものがまじめに考えられるようになってからは、低い書棚が当たり前になった。
 そうすると、今度は収納効率が悪くなる。それでも本は無限に増えていくので、まるで現代の阿呆宮。最近では、遠く離れた山の方に書庫を造って、そっちに保存しよう、という話も出ている。そろそろ予算が通った頃かもしれない。
 永田町に残す本と、山奥に持っていく本の区別は、利用頻度で決めることになると思う。だいたいどんな本も、出版されてから10年経つと、急に利用頻度が落ちるものだから。
 本の収納は、大きさに従って収納するのが一番効率がいい。あとは検索の手段さえ確保できれば良いワケで。アメリカでは「スリップ・ボーイ」と言って、探す本の名前が書いてある切れっ端を持って、ローラースケートで走り回るアルバイトの子供たち、なんて光景も見られるとか。

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image ■ 外川宇八さん(旅の図書館)の

『旅の図書館』の話

 去年の2月から「旅の図書館」の館長になった。「旅の図書館」には約2万6千冊の旅に関する本が集められている。お客さまにできるだけホットなニュースを流したいので、新しい本は即、配架するようにしている。
 場所は東京駅の八重洲口から徒歩数分。使いやすい場所にあるおかげで、サラリーマンが昼休みの休憩に来て、旅行雑誌を読んでいる、なんて姿もよく見受けられる。ある種、隠れ家的な場所でもあるのか、観察していると、毎日訪れる人もいる。ウチは貸し出しはしていないので、毎日来て、いつも自分の好きな本を読んでいたり。
 熟年の方になると、時間があるので、ちゃんとテーマを持って調べに来ている人もいる。今なら「世界遺産」関連が人気。
 感心した利用法もあった。たとえば、ある作家が昭和30年代に本を書いていたとする。その本の中で、主人公が旅行をするけど、その当時の時刻表は実際にどうだったのか……なんて事を調べるために、ウチを利用する人もいた。
 時刻表も古いものまで保存してあるし、JTBの雑誌『旅』もバックナンバーをすべて揃えている。『旅』は、松本清張の『点と線』が連載されていたことで有名だけど、その当時の社会や世相をうかがうのに、非常に参考になる。
 旅に関する雑誌は150種類くらいを置いているけど、それとは別に、日本に乗り入れている航空会社の機内誌も置いている。これは海外旅行へ行く前に目を通しておくと、かなり便利。機内サービスがどんなで、上映する映画は何か、なんてことまでチェックできる。
 もし本当に現地の情報を詳しく知りたいのなら、英語版のガイドブック、たとえば『ミシュラン』だとか『ロンリー・プラネット』といった本を、22種類1400冊ほど揃えている。そういった本を出している国々は、旅行が文化として根付いている国なので、そういった本の作り方なども、記事は全て署名入りだったり、非常にしっかりしている。
 旅に関する本をこれだけまとめて置いてある図書館は、他にはないはず。大いに利用して欲しい。

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image ■ 宇陀則彦さん(筑波大学図書館情報学系)の

『図書館学』の話

 本や学術雑誌、一般雑誌などが、数千数万冊と集まった図書館。そこに利用者がやってきて「○○という本がありませんか?」「××について調べたいんですけど」と聞かれた時に、すぐに適切な本が提供できるようになっていなければならない。その時に、もっとも効率の良い方法はなにか、ということを探求するのが伝統的な「図書館学」。
 その次は、「じゃあその本を、どう並べたらいいのか」が問題になる。個人で並べるなら、その人の観点で並べればいいけど、いろんな人が利用する図書館では、ある種の客観的な視点によって本を並べておく必要がある。
 次の段階では、日本中の本をそれぞれの図書館が持つわけにはいかない、という問題がある。その一方で、利用者の情報要求は、その図書館が持っている本で完結するとは限らないので、その需要に応えられるような技術、仕組みを作らないといけない。それがいわゆる「書誌データの整備」。
 日本、あるいは世界に、どんな本があるのかを把握する仕組み。さらに、それぞれの本に関する「目録」の作り方。それらが整ってはじめて、日本中の図書館で情報を共有することができ、「この図書館にはないけど、あちらの図書館ならあります」ということも言えるようになる。そういう事を全部ひっくるめて研究するのが「図書館学」になる。
 ウチの学生の多くは「本が好きだから司書や図書館員になりたい」という動機で入学してくるけど、それは大いなる誤解。「本が好き」より「人間が好き」でないと、図書館員は務まらない。本や雑誌は、人間の知識活動の産物であり、その本を読むことで、また人間はあらたな知識を生成していく。そうやって生まれた知識が、また本や学術論文となって、図書館に戻ってくる。
 日本人は、図書館に関して「本がたくさんあって、貸してくれるところ」なんてプアなイメージしか持っていないけど、本来はそうじゃない。図書館は人間の知的活動に直結しているところ。それを社会にどうフィードバックしていくか、さらにコンピュータなどの最新の技術をどう応用するか、その3つの枠組みがあって、それらを総合的に探求するのが「図書館情報学」になる。

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image ■ 伊藤敬さん(秩父宮記念スポーツ博物館)の

『スポーツ図書館』の話

 秩父宮記念スポーツ博物館に併設されている「スポーツ図書館」は、国立競技場の中にある。ちょっと入りづらいけど、競技場の門の守衛さんに「図書館(博物館)に行きます」と言えば、ちゃんと通してくれる。
 図書館は、入館料は無料(博物館じは150円)。貸し出しはやっていないけど、コピーなどで資料を集めることも出来る。
 その名の通り、とにかくスポーツ関連の書籍を集めた図書館で、約3万冊のスポーツの本が集まっている。雑誌に関しては、受け入れたものはすべてバックナンバーを保存していて、約5万冊。さすがに雑誌のバックナンバー全部を開架式にしてしまうと、とてつもない面積が必要になってしまうので、開架になっているものと書庫に入れているものがあるけど。
 『陸上競技マガジン』、『サッカーマガジン』、このあたりはバックナンバーがすべて揃っている。ただ、予算の関係で入れていない雑誌もあって、『週刊プロレス』じは入っているけど、『ゴング』はなかったり。それで文句を言われることもあるけれど、1つの競技に少なくとも1つの雑誌は入れるよう心がけている。予算が少ないせいで、自腹を切って古本屋で買ってしまうこともしばしば。
 主な利用者は、スポーツを研究する人、それからマスコミ関係者が多い。大宅文庫も良い図書館だけど、ちょっと遠い。国会図書館だと、資料が出てくるまでにべらぼうな時間が掛かってしまう。そんな時は、ウチに来て「○○という雑誌の何年何月号を見たいんですけど」と言ってもらえれば、ありさえすれば1分以内に提供できる。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'25" Look Out Up There June Christy Capitol TOCJ-5436
22'14" It's A Wonderful World Peggy Lee Capitol 7243 5 35210 2 8
31'53" I Could Write A Book Vic Damone Curb D2-77476
41'50" Let's Live Again Nancy Wilson Capitol CDP 7 99190 2
47'46" This Can't Be Love Beverly Kenny 東芝EMI TOCJ−5369


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