SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2003年8月30日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「レスキュー・イット!」

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 ピンチの時に颯爽とあらわれて、サッと救いの手をさしのべる……なんてシーンを映画やドラマで見て、「こんな格好良い役回り、1度でいいから体験してみたい」と思ったことはありませんか?
 現実にそれを生業としているのは、消防士や警察官、お医者さんやライフセーバーといった方々。ですが、そのお話をうかがってみると、当然ですが、みなさん大変な思いをなさっているようです。
 今日はそんな身近なヒーローの方々が、当店のウェイティング・バーで語って下さった本音のお話を、少しだけご紹介させていただきます。


image ■ 古賀信憲さん(都立広尾病院副院長)の

『日本のER』の話

 アメリカのドラマ『ER』は、けっこう良くできている。ただ、根本的に違うのは、アメリカと日本の医療システムの違い。アメリカは全国民保険というワケじゃないから、本当は運び込まれた病院で診てもらえるとは限らない。
 それから、ドラマでは運び込まれた患者が必ず即座に診てもらえているけど、現実ではその裏に、3〜4時間は待たされる患者もいるのもあまり描かれない。
 歩いて病院に行ける人は「初期救急」、救急車で運ばれたり、最初の病院で手に負えなくて運び込まれる人を「二次救急」、そしてただちに生死に関わるような状態の人を「三次救急」と呼ぶ。この三次救急の患者を受け入れる病院は、東京ではウチも含めて22カ所、全国で300カ所ほどしかない。
 だから普通、「ER」を掲げる日本の病院の多くは、二次救急までしか受け入れられなくて、三次を受け入れるのは「三次救命救急センター」という別のシステムになっている。東京なら大学病院や国立病院をはじめとして、都立ではウチと墨東、府中の3カ所。そういった病院になると、消防庁からの電話1本で患者がポンと運ばれてくる。「救急の最後の砦」とも呼ばれる。ERで診るのは、もう少し軽い症状の人。
 最近では救急車の出動回数もうなぎ登りに増えている。東京にある救急車の数は200台。でもこの数は「200台もある」と言っていい数字。その200台が、1日で2000人近い患者を運んでいる。ところが軽い症状の人を救急車で運んでしまうと、隣で出た重症の患者を運ぶのに、遠いところから救急車を呼ばなくちゃいけない。この「救急車の適正使用」の問題は、非常に重大になっている。
 ちなみに、救急車が出動して、救急隊の人が「軽傷」と考える部類、救急車で運んだけれども診察だけで入院せずに帰れる、というケースは、出動回数全体の65%にも及ぶ。正直、それくらいだったらタクシーで十分。生死に関わる人が困るかもしれない、という事実を、もうちょっと考えてほしい。

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image ■ 日笠照男さんと山川良博さん(警視庁)の

『国際救助隊』の話

 今年の5月、国際救急援助活動でアルジェリアに行った。
 アルジェリアで大きな地震があって、アルジェリア政府の要請を受けて、先発部隊が現地に到着したのは、地震発生から23時間後。普段の仕事をしている最中に急な要請だったから、家に「これからアルジェリアに行くから」と電話一本だけ入れて、職場で準備を整えて、そのまま飛び立った。
 生存者の救出は、最初の72時間が勝負。だから現地に着いたら、即座に救助を開始した。そのかいあって、1人の生存者を救出することができた。
 その場所は、1度トルコの救助犬が入って、一応生存者はいないとされた場所だった。でも実は、向こうの決まりで、その建物のオーナーがOKしないと、救助活動はまったくできない。だから救助隊がいなくなった途端に重機でがれきを片付けようとしたホテルのオーナーに「ちゃんと探させてくれ」と懇願した。
 地元の人に話を聞くと、がれきの山の一角から、数時間前まで人の声がしていた、という。そこに取り付いて、ファイバースコープを使ってカメラで内部を調べても、なかなか見つからない。3時間ぐらい経った頃にトルコのチームも戻ってきて、「交代しよう」という話も出ていた。
 その時、私の後ろにいた海上保安庁の人が「あれ?人の声がした?」と言った。がれきの反対側にも救助隊の人間がいたので、そっちの声という可能性はあったけど、とりあえず穴を掘ってみた。そして小さい穴を少しずつ広げていくと、そこには人の手が。現地の人に呼びかけてもらうと、その手が動いた。
 「生きてる!」とわかって、穴を大きく広げ、その人を引き出した。その人は21歳の男性だった。
 今回、日本の国際救助隊が生存者を救出したのは、2回目のことになる。もちろん私は初めての経験だった。その男性を引っ張り出した瞬間、周りを取り囲んだ現地の人が上げた盛大な歓声は、感動的だった。
 そして最後に、一緒に救助活動をしたトルコチームの人と、がっちり握手をした。お互い言葉はわからないけど、想いは一緒だった。

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image ■ 山崎純一さん(東京消防庁)の

『レスキュー隊の救助活動』の話

 火災の現場は、低い姿勢が基本。防災訓練でも習うと思うけど、這いつくばっていけば、火が燃えさかって熱い場所でも通れることもある。
 正直、装備を調えた消防士でも、火の勢いが強くて入れない場所はある。だけどある程度の水があれば、経験上「ここなら大丈夫」と思える場所もあるので、確認しながら入る、という感じ。
 よくTVで、燃えさかる火災現場に消防士が飛び込んで、倒れている人を救助する、なんてシーンがあるけど、現実はかなり違う。まず実際の火災現場は、とにかく真っ黒な煙で覆われている。自分の目の前1cmが見えないような状況で、中から曇るマスクを拭きつつ、2mを進むのに10分がかかったりしながら、前へ進んでいく。
 マンションの火災などでベランダから火が噴いているような時に「消防は何をやってるんだ?」と思う人もいるかもしれないけど、中に入っている人はまさに命懸けなので、その辺も理解してもらえるとありがたい。でもその本当の姿は、絶対にカメラには映ることはないと思うけど。
 消防士になって良かった、と思うこともある。それは自分が先頭に立って火を消したときとか、「この人を絶対に助けてやるぞ!」と思った人を助けることができたり、そんな時は素直に嬉しい。
 以前、私がまだ青梅消防署にいたときに、救助活動の現場で女性に「私、もう死んじゃうんじゃないですか?」と言われたことがある。その女性は、台風が通り過ぎて増水した川で、カヌーをしていた人だった。カヌーが岩に衝突して折れ曲がり、濁流の中でカヌーが岩に挟まったまま、にっちもさっちも行かない。水温は16度くらいで、1時間もすると意識が遠のいてしまう。そんな状況の中での、その女性の言葉だった。
 その女性を助けなきゃいけないし、自分も危険な思いをして川に入って行かなくちゃいけない。でも「私、死んじゃうんじゃないですか?」と聞かれたら、「俺たちレスキューは、絶対に君を死なせないよ!」と答えるしかない。そう言って、ちゃんと助けることができたときは、心から嬉しかった。
 ……なんていえば格好良く聞こえるかもしれないけど、現場では濡れてグチョグチョ、身体は冷え切ってブルブル、とてもお見せできる格好じゃなかった。

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image ■ 的場栄一さん(BACK WASHライフセーバー情報センター)

『海の安全』の話

 天気が変われば海も変わる。遊泳条件は随時、浜の最高責任者が責任を持って判断しなければならない。
 沖に流れるリップ・カレント(離岸流)ができれば赤旗を立てて遊泳禁止にする。雨が降ってきて雷が鳴れば、みんなを海からあげなきゃいけない。でも、楽しんでいる遊泳客はなかなか言うことを聞いてくれないけど……
 遊泳禁止になるということは、よっぽどのこと。周りを見回してもちょっと納得いかない状況なら、近くで雷雲が発生したのかもしれない。海では雷は人間の頭に落ちやすいので、サーファーの本にも「狙われるのはアナタです!」なんて必ず書いてあるくらい。もちろん、直接人間に落ちなくたって、近くに落ちれば感電するし。
 リップ・カレントは、ライフセーバーなら見ればすぐにわかる(はず)。ゴミが1カ所にたまっていたり、泡が1カ所にかたまっていたり、目印になるものがある。それから波が崩れる場所は同じはずなのに、1カ所だけ沖の方で崩れていたり。
 その辺は、ライフセーバーはみんな講習会で勉強して、テストを受けている。

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image ■ 宇田川雅之さん(東邦航空パイロット)の

『山岳遭難救助飛行』の話

 ウチは山小屋へ生活物資を運ぶためにヘリコプターで飛ぶ、という仕事をしている。そうすると、山で救助を求める人がいたときに、警察から携帯電話に要請が入って、我々が出動する、ということがある。警察は山岳救助だけをしているワケじゃないので、場合によっては山を飛ぶ専門家の我々に……という事情。
 民間機による山岳遭難救助飛行をやっているのはウチだけ。ウチにいる54名の操縦士の内、約10名が山岳救助を行っている。
 怖い体験もした。たとえば、高々度で救助しているので、救助している間にキャビンの中が冷えてしまう。で、怪我人を収容して降下していると、温度差でヘリの風防の表側が凍結。最近のヘリはワイパーがついていることもあるけど、当時は無かったので、その時はわずかなドアの隙間から前を見ながら、飛行を続けた、なんてこともあった。
 レスキュー用にスタンバイしている現場なら、要請が入ってから離陸まで5〜6分。そこから10分で現場に到着することもあれば、1時間かかることもある。
 レスキューをやる上では鉄則がある。遭難者が上空を飛ぶ捜索用のヘリコプターに手を振って、もしヘリコプターが気付かずに通り過ぎていってしまったら、遭難者たちは大きく落胆してしまう。それだけは避けなければいけないので、捜索は慎重に丁寧に行わなければならない。
 そのため、飛行高度は樹間から10mだったり、岩肌から10mぐらい。それくらい低く飛ばないと、岩の間や木の間で助けを求める要救助者の姿は見えない。もちろん声は聞こえないので、視覚だけがたより。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'37" Taking A Chance On Love Patti Page Verve 314 538 330-2
20'42" Thou Swell Joe Williams Verve 833 774-2
32'29" All Of You Nancy Wilson Capitol CDP 7243 8 28515 2 3
38'57" Heat Wave Ella Fitzgerald Verve POCJ-2146
45'54" You Took Advantage Of Me Buddy Rich Verve POCJ-2664


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