SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2003年7月5日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

image

 おかげさまで、本日も当店AVANTIは大勢のお客様で賑わっております。俳優の織田裕二さま、漫画家の西原理恵子さまなど、さまざまなお客さまがグラスを傾け、お喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちのお話こそが、当店の自慢です。映画、音楽といった柔らかい話や、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話、いろんな話が飛び交います。誰が言い始めたのかは知りませんが、常連のお客様の間では、そんな面白い話をする方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいるとか。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、その「コニサー」のお話を聞きながら、一杯飲んでいかれませんか?


image ■ 織田裕二さん(俳優)の

『オオクワガタ』の話

 恥ずかしいんだけど、この歳になってクワガタにはまっている。
 「オオクワガタがブーム!」なんて世間で言われたのは3〜4年前。その頃は興味もなかったし、ブームになっていることも知らなかった。そのおかげで今は値崩れしていて、小学生が店先で「1480円?!なんだよ、ブケットフタマタかよ〜」とか言っている。
 ブケットフタマタというのは、外国のクワガタの名前。店先では「なんとかリノケルス」とか「ヘラクレスリッキー」なんて言葉が飛び交っていて、気軽に外国のクワガタやカブトムシが手に入るようになった。
 ところが実際に飼ってみると、全然手間が掛からなくて、むしろおもしろくないくらい。3ヶ月に1回エサを入れ替える程度だし、冬になると冬眠してしまうので、なにもしなくていい。『T.R.Y.』の撮影で2ヶ月上海に行く時も、こっちは心配していろいろ考えたんだけど、結局なにもしなくて良かった。というよりは、なにもしない方が良いみたいで、人間のいない環境が良かったのか、30グラムを超える幼虫があっさり出ちゃった。本当は難しいはずなのに。
 僕はお店で買わないで、田舎に採りに行った。灯火採集といって、ライトに集まる虫を捕まえるんだけど、これも悪運が強いのか、アドバイザーが良かったのか、2回目でオオクワガタを捕まえちゃったし。そんな感じで、始めたばかりのクワガタだけど、拍子抜けするくらい苦労を経験していない。
 実はこれまでずっと黙っていたけど、学生の頃、スポーツ系の部活と平行して、生物部にいた時期がある。だからクワガタを飼うような嗜好は昔からあったんだと思う。
 でもクワガタは、はっきり言って、飼っていてカワイイという生き物じゃない。どっちかというと、実験をしている感覚に近い。この薬品とこの薬品を混ぜるとこんなものができる、みたいな感じ。犬や猫のように可愛がる人もいるけど、僕はクワガタに名前を付けようとは思わない。むしろ付けるならナンバー。
 クワガタの飼育には、形の美しさを競ったり、大きさを競ったり、という文化がある。大きさは成虫になった時点で決まってしまうので、一番楽しいのは幼虫を育てている間。成虫を捕まえてくるのも、子供を生ませて育てるため。
 熱帯魚にはまっていた時もそうだったけど、この趣味もこれ以上はまるとヤバイ。最近はあまり詳しくないお店の人よりも詳しくなっちゃって、かなり詳しいお店の人とタメに話してしまう。その先は、その道で生きていくしかなくなる。それは危険なので、ぼちぼち潮時かもしれない。

【Hot Link !!】





image ■ SAKURAさん(モデル/コスメジャーナリスト)の

『夏のコスメ』の話

 最近は、どのファンデーションを買っても大丈夫。各社が出している新製品なら、濃くベッタリつかないし、どんな質感でも薄く透明感があってカバー力があり、光の拡散によって立体的に綺麗に見せ、紫外線対策と美白効果がある。そこまで今のファンデーションは進化しているので、「どれがいい」じゃなくて「どれもいい」。
 でも実は、私はあまりファンデーションを付けない方。ティント・タイプと呼ばれるベージュの色が入ったベースを頬に塗って、その他の部分を最近の高機能なファンデーションでカバーするくらい。そこに、コンシーラーという目の下の隈を隠すものや、コントロール・カラーを使って、目の下の隈を「隠す」のではなく「ワントーン上げる」という感覚で、立体感をつけて仕上げていく。なおかつ、紫外線対策はバッチリ、なんて感じならオススメ。
 今は「50年代風の女優メイク」がキーワード。白肌、アイライナー、赤い口紅、というスタイルが1つの定番で、この夏向けの春夏コレクションでも、マーク・ジェイコブスなんかが「女優」をテーマにした服を発表していた。昔懐かしいフレンチスリーブの白のブラウスに、花柄の膝丈のスカートとか、水玉のシフォンのブラウスとか、ちょうど今が旬なアイテムだけど、そういうものには女優風のメイクを少し意識すると良い。リキッド系のアイラインをちょっと引いてみるとか、いつもはつけない赤い口紅にトライしてみるとか、夏だけど白い肌ベースというのは、新鮮なのでオススメしたい。
 もう1つ、夏だからこそ日焼けしたいというのも、もちろんアリだと思う。サーフィンも流行っているし、アクティブな人はどうしても多少日焼けしてしまうし。そういう時は、全身ワンカラーで統一すると、すごく洗練されているイメージになる。たとえば、ブラウンからゴールドの間で、メーキャップもチークも口元も洋服も揃えれば、洗練された大人の女性を演出できる。
 今はほとんどの人がヘア・カラーをしているので、ちょっとゴールド系のメーキャップをして、オレンジ系のチークを使う。日焼けができない人なら、オレンジ系のチークを、ちょっと寄った部分から鼻の上まで細長く通過してあげて、ほんのり日焼けした感を出す。そこにちょっとしたオレンジ系の口紅を付けてあげるとか。今の春夏物がキラキラしているので、光と、サンドベージュからゴールド、ブラウン、オレンジをうまく使ったメーキャップをして、ブラウン系の服でまとめると、すごくカッコイイ。
 そういうファッションだと、顔は焼かないけどボディは焼きたい、という人でも、足を出せるようになる。今のスポーティー・エレガンス的な、アクティブな感じのファッションにもよく似合う。ワークパンツとか、マイクロ・ミニスカートとか、ホットパンツとか、ウェットスーツ素材のTシャツとか、スポーツテイストのファッションが楽しめるようになる。

【Hot Link !!】





image ■ 阪本順治さん(映画監督)の

『映画とお酒』の話

 映画作りにおいては、お酒が大事。お酒を飲むと、人は隙を見せる。クランクイン前に、スタッフとキャスト全員がお互いに隙を見せ合って、やれる喧嘩はしておく。そういうのを経て、現場はスムーズに行く。打ち上げで「監督が何をやりたかったのかわからなかった」なんて言われたら、現場はなんだったんだ、ということになってしまうし。
 『ぼくんち』の現場でも、喧嘩もしたし、人も泣かせた。やっぱり低予算の映画は、クランクインしたらミーティングの時間がない。だからクランクインしてからお互いのズレを感じたりしないように、撮影が始まる前にみんなで重たい酒を飲んで、言いたいことを言い合った。
 撮影が始まったら、逆に僕はお酒が飲めなくなる。もともと缶ビール1つでも寝てしまう方なので、飲んでいる余裕がない。もっとも『ぼくんち』の時は、そうも言っていられなかったんだけど。
 『ぼくんち』の撮影では、舞鶴に1ヶ月泊まり込んだ。俳優のみんなが先にホテルに戻って、僕たちスタッフは後片づけを済ませてからホテルに戻る。するとフロントに志賀勝さんの伝言が残されていて「いつものところで待ってます」と来る。これは行かないわけにはいかない。もちろん嫌々じゃなくて、楽しいんだけど、やっぱり大変だった。
 志賀さんのお酒は、一言でいえば「大盤振る舞い」。食べきれないほどの料理がズラッとテーブルに並べる。それは松方弘樹さんに習ったことで、「食えなくても店にお金を落とすんだ」ということらしい。
 そういうお酒の飲み方なら、やっぱり勝新太郎さんが凄かった。僕も数回だけど飲みに連れて行ってもらって、あまり人には言えないようなエピソードを目の当たりにした。
 1度は勝さんの家に招待されたこともある。「ご飯食べにおいで」みたいな話だったんだけど、本当に勝さんがご飯をよそってくれたのには恐縮してしまった。「ふりかけどっちにする」とか聞いて、ふりかけまでかけてくれるし。
 かと思うと、突然、食堂の電気を消して、勝さんが台所の方へ沈む。なにを始めるのか、と思ったら、勝さんは立ち上がりながら「♪Love me tender...」と歌い出し、そのまま食卓の上に登ってワンマンショーが始まった。「雄大(たけひろ)、ライト!」と息子に指示したら、2曲目の『マイウェイ』に突入。あの「もてなし」の精神はスゴイと思った。あれは1度でも経験すると、誰でもやられる。

【Hot Link !!】





image ■ 武藤敬司さん(プロレスラー)の

『映画「光る女」』の話

 映画『光る女』に出演したのは、もう15年以上前の話。相米慎二監督じきじきのスカウトだった。もっとも、単に「ガタイの大きくて、宙返りができるヤツ」であれば誰でも良くて、たまたまオレに白羽の矢が立った、ということらしいけど。
 もちろんこっちも相米監督のことなんか知らなくて、「なんかねちっこい人だな〜」くらいにしか思っていなかった。当時、「相米監督は新人女優を手掛けるのがウマイ」という評判があったらしいけど、男の新人はオレが初めてだったみたい。だからウマが合わないのなんの。2〜3ヶ月も掛けて撮影したのに、公開からたった2週間で打ち切られちゃうし。
 聞いた話だけど、撮った映像を編集したら、7時間もの映画になっていたとか。さすがにそれは2時間前後にしなきゃいけなくて、2〜3週間かけた北海道の雪のシーンが全部カットされた。これには「あの2週間はなんだったんだ!」って叫んだ。
 それ以外にも、現場では相米さんと喧嘩ばかり。暗いシーンばかりなのもずっと気に入らなくて、最後の撮影がラストシーンだったんだけど、ついに「もうイヤだ!」と叫んで、走って逃げた。助監督が追い掛けてきたんだけど、こっちも若いから振り切っちゃって。結局、プロデューサーに説得されて現場に戻ったら、現場は何事もなかったかのように粛々と撮影が始まって、それがまた悔しかった。
 相米監督は厳しい人で、「オレの嫁になんねぇかよ」というオレのセリフが気に入らなかった時は、そこら辺を歩いている見知らぬ女性の肩を叩いて、そのセリフを言ってみろと命令された。それで何かを掴めたのならいいけど、こっちはなにも掴めないし。
 撮影中は、主演の秋吉満ちるという新人女優と一緒に、ずっとスタッフの家に泊まり込んだ。その彼女が、今の「Monday満ちる」。もう結婚したらしいけど、あの頃、彼女は俺のことが好きだったんじゃないか……と思うんだけど。向こうが休みで、こっちがヘトヘトになっている時に、枕元に「お疲れさま」なんてメッセージがあったこともあったし、彼女がホームシックで泣いてしまったのを、公園で慰めたりもしたし……今となってはいい想い出。

【Hot Link !!】





image ■ 西原理恵子さん(漫画家)の

『締め切り』の話

 編集者に話を聞いたら「西原さんは遅れるけど落とさないから、待つというのがウチの方針です」ということらしい。中には、そこで逃げちゃう人もいるし、ストーリー物だと「どうやっても間に合わない」ということもあるけど、私の場合は遅れても落とさないので、待ってもらえている。
 私も好きで遅らせているワケじゃなくて……後ろで子供が泣いてたり、ダンナが暴れてたり……そこでお仕事をしなきゃいけないわけだし。でも、よく考えたらそんなに仕事をしなくても良かったかも。もっと休めば良かった。
 でも実は、結婚して子供ができて、仕事は早くなった。独身の時は「明日徹夜すればいいや」と思っていたのが、「明日は8時に子供を保育園に連れて行かなきゃ行けない」「6時に迎えに行かなきゃいけない」なんてことを考えると、「今ここで原稿を上げなきゃお終いだ!」とわかるので、必死でやる。もっとも、寝ながら描いたり、後で何を描いたか憶えていなかったりするけど。おかげさまで、昔みたいに編集部に「詫び状」を書くことはなくなった。
 本当は、もうちょっと仕事を減らして、ちゃんとした作品を描かなきゃいけないのはわかっている。でも、どうにもカット描きの仕事が好きで。カットを1枚描くごとに1万円くらいの収入が入るから、「これで今晩の晩御飯が食べられる!」って実感できるのが嬉しい。5本も描いたら「5万円も貰えるの?」と、すごく仕事をした気分になってしまう。他人の作品のカットなら、自分で責任を持たなくても良いし、なかなか止められない。こういうのを「筆が汚れる」って言うらしいけど……
 『ぼくんち』の連載では、ついに1度も締め切りを守ったことがなくて、しまいには勝手に印刷所と製版所に電話を掛けて締め切りを延ばす、という裏技まで使っていた。編集者の八巻さんも通さなくなっちゃうし。電話口で「申し訳ございませ〜ん!」と叫ぶと、印刷所の人も「……いいですよ、明日でも」と言ってくれる。それで「ラッキー!」と麻雀に行っちゃったりするんだけど。

【Hot Link !!】







放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'29" That Old Feeling Jerry Jeff Tried & True Music CD 8181
21'01" Pretty World Ono Lisa 東芝EMI TOCT-24371
31'06" I'll Remember You 勝新太郎 Tokuma Japan TKCA-72490
43'35" But Not For Me Rita Reys Mercury 848 307-2
48'55" Samba Torto Sylvia Telles Dubas 3 25912004382


 Back