SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2003年5月31日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「アメリカン・プロレス」

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 アメリカでは現在、メジャーなプロレス団体は1つしかありません。その名も『WWE(Wordl Wrestling Entertainment)』です。
 「エンターテイメント」を掲げるだけあって、派手な演出、破天荒なバックステージ・ドラマ、お色気たっぷりの女子レスラーなど、ひたすら「楽しむ」ことを追求した興行を行っているWWE。WWEの登場によって、アメリカのプロレスは一昔前とはまったくの別物に進化した、というのがもっぱらの評判です。
 今日は、そんなWWEを中心とした格闘技のお話をされているお客さまがいらっしゃるようですよ。


image ■ 小池栄子さん(タレント)の

『格闘技』の話

 格闘技が好きになったきっかけは、「めちゃいけプロレス」の仕事をしたことだった。実際にやってみて、「これはバカじゃできないものなんだ」と痛感させられた。「いくぞ〜!」と叫んだ時のみんなの反応も嬉しかったし、技が決まった時も嬉しかった。以前は格闘技なんて馬鹿にしていたし、格好悪いと思っていたけど、本当はリングに上がるだけでもスゴイことだった。
 その後、PRIDEを生で見に行って、完全にハマった。やっぱり体と体のぶつかり合いは格好良い。喧嘩になった時に「話し合いで」というのもわかるけど、「男同士、どっちが強いんだ?」ということを突き詰めると、最終的には殴り合うしかないんだと思う。しかもその姿を、何万人の前で見せている、というのがスゴイ。
 格闘技をしている人にインタビューをすると「どうしてみんなの前で、みっともないくらい殴られなきゃいけないのか、あんなに痛い思いをしなきゃいけないのか、ふと疑問に思う瞬間がある」と漏らす選手は多い。たしかにその通り。でもだからこそ人は魅了される。
 好きな選手はPRIDEのアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ。最初ははただの追っかけ状態でキャーキャー言ってたんだけど、今はキャスターという立場になったので、単純なファンではいられなくなってしまった。難しい部分はあるけれど、ちょっとずつ学んでいるところ。
 実はK-1は1回しか見たことがなくて、その時もグラウンド・テクニック(寝技)がないのがちょっともの足りないと思った。ノゲイラ選手もグランドが得意だし、私はグランド好きなんだろう。特に関節技は大好き。
 総合格闘技だけじゃなくて、プロレスも見る。プロレスを見ていると、お客さんを沸かせる技術と精神が凄いな、と感心させられる。どっちが好きか、と問われても、方向性が違うから単純に比較はできない。
 自分には絶対にできないことをやっている人は凄いと思う。怪我をして、手術をして、また怪我をして、体がボロボロになるまで続けて、もう続けられなくなった時が引退。そんなつらい人生、私には絶対に無理。でも「めちゃいけプロレス」の時は、まだ仕事も少なかったから、本物の女子プロレスラーだと勘違いしている人に「コイツ、グラビアもやってるんだ」ぐらいに思われていたらしいんだけど。

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image ■ 須田鷹雄さん(競馬評論家)の

『WWE』の話

 プロレス関係の仕事もしたことがあるけど、やっぱりアメリカのプロレスみたいな弾けて楽しむ興行は、客で行く方が全然楽しい。カリカリとメモを取りながらじゃ、サインボードを上げる暇だってないし。
 サインボードは、アメリカのお客さんだって全員が持っているワケじゃない。でも日本で楽しめる機会はそうそうないので、どうせだったら……と思ってみんな作っていく。だからアメリカよりも密度は高い。きっとWWEの来日興行の前日あたりは、都内の文房具屋で模造紙が売れまくっているに違いない。
 サインボードには、レスラーの名前を書いたり、レスラーに対するメッセージを書いたりする。あえて日本語で書くのも通。ダッドリー・ボーイズだと、本来の決まり文句は「What's up?」なんだけど、それを「なんぼのもんじゃ?」と書いたり。
 リコというレスラーだと、トレードマークの長い「もみあげ」をイラストで書いている人もいた。リコも嬉しかったのか、退場の時にリコ自身がボードを掲げていたけど、あれは作った人としては究極の幸せ。
 ちなみにリコは本来ヒール(悪役)。ところが来日興行で「も〜みあげ!」というコールが起こって、会場が異常に盛り上がった。すると翌日、驚くべきことにリコはベビーフェイス(善玉)扱いで登場。しかもリコは「も〜みあげ!」コールに自分のもみあげをアピールするパフォーマンスを見せた。本人はもちろん日本語なんて知らないから、日本人スタッフが出したアイデアだと思うけど、その対応力は素晴らしい。
 WWEを見ていて凄いと思うのは、客が喜ぶことをすぐにやる、という基本が徹底されていること。プロレスと格闘技の違いはそこだと思う。格闘技は強いか弱いか、プロレスは面白いか面白くないか。
 WWEを見る時は、「自分はデトロイトで自動車を組み立てている人だ」と思いこんで見るのが楽しい。その人は9時から5時まで時間通りにしか働かなくて、でもちょっと愛国心だけはがあったりする。そんな典型的なアメリカ人。そして日本のプロレスは、プロレスの約束事をわかっているほど通だと思われているけど、WWEの場合は逆。何も知らない方がエライ。「AさんとBさんが抗争している」というお話の時に、本気で「志村うしろ〜!」と叫べるヤツがエライ。
 大人になると、なかなかそこまではできないけど、「この設定は、会社的にはどういう狙いのアングルで……」なんて訳知り顔で言うのは野暮。その抗争している様を純粋に楽しむ方がいい。

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image ■ TAKAみちのくさん(プロレスラー)の

『WWF』の話

 WWF(WWEの前身)は、とにかくテレビのためのプロレスだった。試合前には「今日の相手はコイツ、時間は5分、こんな感じの試合で、最後の技を出す時はこっちのカメラに向かって……」なんて指示がこまかく出されるんだけど、この5分というのが難しい。それより長くても短くてもダメなので、最初はうまく行かなくて、エージェントにもさんざん怒られた。
 さらに厳しいのが、レフェリーの耳にインカムが付いていて、バックステージからエージェントの指示が飛んでくること。僕らは軽量級なので、「飛んだり跳ねたりしろ!」と言われているんだけど、試合中に疲れてくると、寝技でちょっと休んだりする。するとレフェリーが近寄ってきて「動け、寝技をするな」なんて裏からの指示が伝えられる。
 向こうでは自然とヒールをやるようになった。そこはやっぱりアメリカ人の中の日本人だし。そして、どうせやるなら、とだんだんエスカレートしていって、日の丸の旗を振りながら登場したり、顔に大きく日の丸をペイントしたり、憎まれるのが僕らの仕事、という感じ。最初はアメリカ人のレスラーをボコボコにして、最後は逆にボコボコにされる。それでアメリカ人が喜ぶ、という図式。でも1万人のブーイングというのは、なかなかの快感だった。
 向こうの選手は舞台役者というかタレントみたいな感じで、リングの上でどんな役を演じていても、リングを降りれば普通の兄ちゃん。そして会社からは「お前たちはタレントなんだから、外でサインを求められたら必ず笑顔で応じなさい」と厳命された。そこには悪役も善玉も関係なし。
 このことに関しては、社長のビンス・マクマホンが非常に厳しい人で、性格の悪いヤツがいたらすぐにクビ、だった。僕が今まで30年生きてきて出会った人の中で、間違いなく一番スゴイ人だと思う。だからこそあれだけのスーパースターたちがまとまっているのだろう。
 それから向こうのレスラーが、体に気を遣う度合いもすごかった。みんなすごい体をしているけど、それだけの練習はしている。さらに食べ物も、チキンのササミや白身だけの卵焼きを食べて、脂身や甘いモノは一切摂らない。日本は相撲の流れがあるから、とにかく食べて、でかけりゃレスラー、みたいな風習があるけど、向こうの人は体だけで芸術という感じ。
 ちなみにギャランティも、日本とはゼロが1つ違う。僕でさえ、一番稼いだ時期は普通のサラリーマンの年収分を、1ヶ月で余裕で稼いでいた。

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image ■ 夏目亮さん(フジテレビ)の

『スマック・ダウン』の話

 また7月にWWEが来日するけど、テレビ中継の予定は今のところない。契約しようと思えばできなくはないけど、間違いなくその契約は「カメラマンを含む制作スタッフは、すべてWWEに任せる」という内容になる。それが厳しい。クオリティを維持するためには、他の人には絶対に任せられない、というのがビンス・マクマホンの信条らしい。
 正直、フジテレビでやっているWWEの番組は、お笑いタレントを使ってたりして、ファンの間では評判が悪い。でもそれには事情がある。フジテレビの前にテレビ東京が1年間、普通にWWEの番組を流して、ほとんど話題にならなかった。だからフジテレビとしては裾野を広げなくちゃいけないんだけど、それと、コアなファンを満足させる、という2つの命題を両立させるのは難しい。そこでいろいろ考えた末に、「マニアのみなさん、すいません!」という番組にやることになった。
 そういう番組を作るにあたって、番組プロデューサーがビンス・マクマホンと会って、良い点と悪い点を挙げてもらった。「ガレッジセールのゴリが覆面レスラーの真似をして、観客席にダイブする」というシーンは「素晴らしい」と言ってくれたけど、逆に文句を付けてきた点は山ほどあったとか。
 こちらにも言い分はいろいろあって、本来は2時間ぐらいある素材の内、日本に送られてくるのは40分ぐらい。そうなると、その素材をそのまま使うしかないんだけど、たまにストーリーラインと試合の流れがわかりにくいことがある。そもそも、深夜枠なんだからディーバ(セクシーな女性レスラー)の試合から放送したい。でも、向こうは「順番を変えるな」と言ってくる。
 そういったお互いの要求をすりあわせるため、先日、日本で会議をした。そうしたら向こうが送り込んできたのは、体重130kgの元レスラーというプロデューサー。ずっと窓口はリサという名前の女性だったのに、いきなりこのジョンが来たからこっちはビックリ。でも、もろもろ事情を説明したら、意外とちゃんとしたプロデューサーだった。
 結局、その会議では「1ヶ月、いろいろ試行錯誤してみましょう」という結論に達したんだけど、最後にジョンは僕の鼻先に指をビシッと出して「じゃあ、1ヶ月後にもう1度お会いしましょう!」だって。本当に参った。

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image ■ 藤井美佳さん(翻訳家)の

『プロレスの字幕』の話

 WWEの番組は、アナウンサーが試合と全然関係のないことを喋っているのが、仕事で聞いていてもおもしろい。一応、技の名前も言ってる人もいるけど、その一方でボケ担当の人が必ずいる。
 字幕は「1秒4文字」という目安が決まっているので、試合と関係のない話を使うかどうかは、いつも悩むところ。『RAW』ではキングというアナウンサーがボケ役で、男女混合戦が始まると「僕も混じりた〜い」なんてことを言い出して、いつも私を悩ませる。
 ブッカーTというレスラーは、「SUCKAR(サッカー)!」という掛け声とボードがお約束だけど、あれに「タコ!」という訳を付けた人はすごくいい感じ。いまどき「このタコ!」みたいな言葉はあまり使わないかもしれないけれど、私もそう訳したと思う。
 ザ・ロックの決めゼリフ「The Rock says...」は「ロック様曰く、」と訳した。自分のことを「I」と呼ばずに、わざわざ「The Rock」と呼んでいるニュアンスを出したつもり。もう1つの決めゼリフ「If you smell, what The Rock is cooking !」は、直訳すれば「ロック様の料理しているものを嗅ぐことができるか?」が、字幕では「ロック様の妙技を味わえ!」もしくは「堪能しろ!」となる。
 このセリフが決めゼリフになる、なんてことをわかって字幕を付けているわけではないし、スラングの連続なので、いつも試行錯誤の連続。次の週になって「やっぱりちょっと違う……」と思って、微調整することもしばしば。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'04" It's de Lovely Anita O'day Verve POCJ-1914
18'50" Down For Double Mel Torme Verve 823 248-2
31'59" Old Devil Moon Bob Dorough Bethlehem COCY-9924
42'47" Just In Time Dean Martin Capitol 7243 8 54546 2 2
49'13" The Best Thing For You Jackie & Roy MCA MVCJ-19007


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