■ 小池栄子さん(タレント)の
- 『格闘技』の話
格闘技が好きになったきっかけは、「めちゃいけプロレス」の仕事をしたことだった。実際にやってみて、「これはバカじゃできないものなんだ」と痛感させられた。「いくぞ〜!」と叫んだ時のみんなの反応も嬉しかったし、技が決まった時も嬉しかった。以前は格闘技なんて馬鹿にしていたし、格好悪いと思っていたけど、本当はリングに上がるだけでもスゴイことだった。
その後、PRIDEを生で見に行って、完全にハマった。やっぱり体と体のぶつかり合いは格好良い。喧嘩になった時に「話し合いで」というのもわかるけど、「男同士、どっちが強いんだ?」ということを突き詰めると、最終的には殴り合うしかないんだと思う。しかもその姿を、何万人の前で見せている、というのがスゴイ。
格闘技をしている人にインタビューをすると「どうしてみんなの前で、みっともないくらい殴られなきゃいけないのか、あんなに痛い思いをしなきゃいけないのか、ふと疑問に思う瞬間がある」と漏らす選手は多い。たしかにその通り。でもだからこそ人は魅了される。
好きな選手はPRIDEのアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ。最初ははただの追っかけ状態でキャーキャー言ってたんだけど、今はキャスターという立場になったので、単純なファンではいられなくなってしまった。難しい部分はあるけれど、ちょっとずつ学んでいるところ。
実はK-1は1回しか見たことがなくて、その時もグラウンド・テクニック(寝技)がないのがちょっともの足りないと思った。ノゲイラ選手もグランドが得意だし、私はグランド好きなんだろう。特に関節技は大好き。
総合格闘技だけじゃなくて、プロレスも見る。プロレスを見ていると、お客さんを沸かせる技術と精神が凄いな、と感心させられる。どっちが好きか、と問われても、方向性が違うから単純に比較はできない。
自分には絶対にできないことをやっている人は凄いと思う。怪我をして、手術をして、また怪我をして、体がボロボロになるまで続けて、もう続けられなくなった時が引退。そんなつらい人生、私には絶対に無理。でも「めちゃいけプロレス」の時は、まだ仕事も少なかったから、本物の女子プロレスラーだと勘違いしている人に「コイツ、グラビアもやってるんだ」ぐらいに思われていたらしいんだけど。
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■ 須田鷹雄さん(競馬評論家)の
- 『WWE』の話
プロレス関係の仕事もしたことがあるけど、やっぱりアメリカのプロレスみたいな弾けて楽しむ興行は、客で行く方が全然楽しい。カリカリとメモを取りながらじゃ、サインボードを上げる暇だってないし。
サインボードは、アメリカのお客さんだって全員が持っているワケじゃない。でも日本で楽しめる機会はそうそうないので、どうせだったら……と思ってみんな作っていく。だからアメリカよりも密度は高い。きっとWWEの来日興行の前日あたりは、都内の文房具屋で模造紙が売れまくっているに違いない。
サインボードには、レスラーの名前を書いたり、レスラーに対するメッセージを書いたりする。あえて日本語で書くのも通。ダッドリー・ボーイズだと、本来の決まり文句は「What's up?」なんだけど、それを「なんぼのもんじゃ?」と書いたり。
リコというレスラーだと、トレードマークの長い「もみあげ」をイラストで書いている人もいた。リコも嬉しかったのか、退場の時にリコ自身がボードを掲げていたけど、あれは作った人としては究極の幸せ。
ちなみにリコは本来ヒール(悪役)。ところが来日興行で「も〜みあげ!」というコールが起こって、会場が異常に盛り上がった。すると翌日、驚くべきことにリコはベビーフェイス(善玉)扱いで登場。しかもリコは「も〜みあげ!」コールに自分のもみあげをアピールするパフォーマンスを見せた。本人はもちろん日本語なんて知らないから、日本人スタッフが出したアイデアだと思うけど、その対応力は素晴らしい。
WWEを見ていて凄いと思うのは、客が喜ぶことをすぐにやる、という基本が徹底されていること。プロレスと格闘技の違いはそこだと思う。格闘技は強いか弱いか、プロレスは面白いか面白くないか。
WWEを見る時は、「自分はデトロイトで自動車を組み立てている人だ」と思いこんで見るのが楽しい。その人は9時から5時まで時間通りにしか働かなくて、でもちょっと愛国心だけはがあったりする。そんな典型的なアメリカ人。そして日本のプロレスは、プロレスの約束事をわかっているほど通だと思われているけど、WWEの場合は逆。何も知らない方がエライ。「AさんとBさんが抗争している」というお話の時に、本気で「志村うしろ〜!」と叫べるヤツがエライ。
大人になると、なかなかそこまではできないけど、「この設定は、会社的にはどういう狙いのアングルで……」なんて訳知り顔で言うのは野暮。その抗争している様を純粋に楽しむ方がいい。
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■ TAKAみちのくさん(プロレスラー)の
- 『WWF』の話
WWF(WWEの前身)は、とにかくテレビのためのプロレスだった。試合前には「今日の相手はコイツ、時間は5分、こんな感じの試合で、最後の技を出す時はこっちのカメラに向かって……」なんて指示がこまかく出されるんだけど、この5分というのが難しい。それより長くても短くてもダメなので、最初はうまく行かなくて、エージェントにもさんざん怒られた。
さらに厳しいのが、レフェリーの耳にインカムが付いていて、バックステージからエージェントの指示が飛んでくること。僕らは軽量級なので、「飛んだり跳ねたりしろ!」と言われているんだけど、試合中に疲れてくると、寝技でちょっと休んだりする。するとレフェリーが近寄ってきて「動け、寝技をするな」なんて裏からの指示が伝えられる。
向こうでは自然とヒールをやるようになった。そこはやっぱりアメリカ人の中の日本人だし。そして、どうせやるなら、とだんだんエスカレートしていって、日の丸の旗を振りながら登場したり、顔に大きく日の丸をペイントしたり、憎まれるのが僕らの仕事、という感じ。最初はアメリカ人のレスラーをボコボコにして、最後は逆にボコボコにされる。それでアメリカ人が喜ぶ、という図式。でも1万人のブーイングというのは、なかなかの快感だった。
向こうの選手は舞台役者というかタレントみたいな感じで、リングの上でどんな役を演じていても、リングを降りれば普通の兄ちゃん。そして会社からは「お前たちはタレントなんだから、外でサインを求められたら必ず笑顔で応じなさい」と厳命された。そこには悪役も善玉も関係なし。
このことに関しては、社長のビンス・マクマホンが非常に厳しい人で、性格の悪いヤツがいたらすぐにクビ、だった。僕が今まで30年生きてきて出会った人の中で、間違いなく一番スゴイ人だと思う。だからこそあれだけのスーパースターたちがまとまっているのだろう。
それから向こうのレスラーが、体に気を遣う度合いもすごかった。みんなすごい体をしているけど、それだけの練習はしている。さらに食べ物も、チキンのササミや白身だけの卵焼きを食べて、脂身や甘いモノは一切摂らない。日本は相撲の流れがあるから、とにかく食べて、でかけりゃレスラー、みたいな風習があるけど、向こうの人は体だけで芸術という感じ。
ちなみにギャランティも、日本とはゼロが1つ違う。僕でさえ、一番稼いだ時期は普通のサラリーマンの年収分を、1ヶ月で余裕で稼いでいた。
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■ 夏目亮さん(フジテレビ)の
- 『スマック・ダウン』の話
また7月にWWEが来日するけど、テレビ中継の予定は今のところない。契約しようと思えばできなくはないけど、間違いなくその契約は「カメラマンを含む制作スタッフは、すべてWWEに任せる」という内容になる。それが厳しい。クオリティを維持するためには、他の人には絶対に任せられない、というのがビンス・マクマホンの信条らしい。
正直、フジテレビでやっているWWEの番組は、お笑いタレントを使ってたりして、ファンの間では評判が悪い。でもそれには事情がある。フジテレビの前にテレビ東京が1年間、普通にWWEの番組を流して、ほとんど話題にならなかった。だからフジテレビとしては裾野を広げなくちゃいけないんだけど、それと、コアなファンを満足させる、という2つの命題を両立させるのは難しい。そこでいろいろ考えた末に、「マニアのみなさん、すいません!」という番組にやることになった。
そういう番組を作るにあたって、番組プロデューサーがビンス・マクマホンと会って、良い点と悪い点を挙げてもらった。「ガレッジセールのゴリが覆面レスラーの真似をして、観客席にダイブする」というシーンは「素晴らしい」と言ってくれたけど、逆に文句を付けてきた点は山ほどあったとか。
こちらにも言い分はいろいろあって、本来は2時間ぐらいある素材の内、日本に送られてくるのは40分ぐらい。そうなると、その素材をそのまま使うしかないんだけど、たまにストーリーラインと試合の流れがわかりにくいことがある。そもそも、深夜枠なんだからディーバ(セクシーな女性レスラー)の試合から放送したい。でも、向こうは「順番を変えるな」と言ってくる。
そういったお互いの要求をすりあわせるため、先日、日本で会議をした。そうしたら向こうが送り込んできたのは、体重130kgの元レスラーというプロデューサー。ずっと窓口はリサという名前の女性だったのに、いきなりこのジョンが来たからこっちはビックリ。でも、もろもろ事情を説明したら、意外とちゃんとしたプロデューサーだった。
結局、その会議では「1ヶ月、いろいろ試行錯誤してみましょう」という結論に達したんだけど、最後にジョンは僕の鼻先に指をビシッと出して「じゃあ、1ヶ月後にもう1度お会いしましょう!」だって。本当に参った。
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■ 藤井美佳さん(翻訳家)の
- 『プロレスの字幕』の話
WWEの番組は、アナウンサーが試合と全然関係のないことを喋っているのが、仕事で聞いていてもおもしろい。一応、技の名前も言ってる人もいるけど、その一方でボケ担当の人が必ずいる。
字幕は「1秒4文字」という目安が決まっているので、試合と関係のない話を使うかどうかは、いつも悩むところ。『RAW』ではキングというアナウンサーがボケ役で、男女混合戦が始まると「僕も混じりた〜い」なんてことを言い出して、いつも私を悩ませる。
ブッカーTというレスラーは、「SUCKAR(サッカー)!」という掛け声とボードがお約束だけど、あれに「タコ!」という訳を付けた人はすごくいい感じ。いまどき「このタコ!」みたいな言葉はあまり使わないかもしれないけれど、私もそう訳したと思う。
ザ・ロックの決めゼリフ「The Rock says...」は「ロック様曰く、」と訳した。自分のことを「I」と呼ばずに、わざわざ「The Rock」と呼んでいるニュアンスを出したつもり。もう1つの決めゼリフ「If you smell, what The Rock is cooking !」は、直訳すれば「ロック様の料理しているものを嗅ぐことができるか?」が、字幕では「ロック様の妙技を味わえ!」もしくは「堪能しろ!」となる。
このセリフが決めゼリフになる、なんてことをわかって字幕を付けているわけではないし、スラングの連続なので、いつも試行錯誤の連続。次の週になって「やっぱりちょっと違う……」と思って、微調整することもしばしば。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 9'04" |
It's de Lovely |
Anita O'day |
Verve |
POCJ-1914 |
| 18'50" |
Down For Double |
Mel Torme |
Verve |
823 248-2 |
| 31'59" |
Old Devil Moon |
Bob Dorough |
Bethlehem |
COCY-9924 |
| 42'47" |
Just In Time |
Dean Martin |
Capitol |
7243 8 54546 2 2 |
| 49'13" |
The Best Thing For You |
Jackie & Roy |
MCA |
MVCJ-19007 |
|