■ 萩原崇弘さん(特許庁)の
- 『特許の条件』の話
特許は国ごとに申請しなければならない。幸い、特許に関しては国際的な条約があるので「特許を認めない」という国はほとんどない。「特許」としてある種の独占が認められる期間は、どこの国でも発明してからだいたい20年くらい。
特許として認められるためには、大きくわけて3つの特徴を持っていなければならない。まずは「新規性」といって、今までに誰もやっていないこと。それから「進歩性」、従来のものから大きく進歩していること。「そんなの誰でも思いつくよ」というものではダメ。そして最後に、「産業への利用可能性」が問われる。
実はアメリカでは、日本と違って「産業への利用可能性」は問題にならない(米国では単に有用性)。だから「ゴルフのパットのやり方」なんて変な特許があったりする。ちなみにこのパットの特許、具体的に言うと、右利きの人なら右手は普通に構える。そこに左手の手のひらを右手の甲にかぶせて、両手で押し出すようにパットをする。
本当に効果があるのかどうかはともかく、このパットは1997年にアメリカでちゃんと特許として認められている。だからアメリカのプロゴルファーがこのやり方でパットしていて。それがテレビに映ったら、きっと問題になる……かもしれない。
笑い話で「マイケル・ジョーダンの特殊なシュートは特許になるか?」なんて話もあるけど、実はあれは特許として認められない。というのは、マイケル・ジョーダンのマネは誰も出来ないから。世間に広まる可能性がないので、特許としては認められない。イチローの振り子打法や野茂のトルネード投法でも、同じような理由により、特許の可能性はないと思う。
特許というのは、発明した人の功績をたたえつつ、その技術を広めると共に後の世に伝えようというのが本来の趣旨。だから「誰でも時速150kmのボールが投げられる投法」とか「誰でも300ヤード飛ばせるスイング」なんてものが発明されたとしたら、それは特許に値するかもしれない。だとしたら、例のパットというのも気になってくるけど……。
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■ 作田康夫さん(日立製作所)の
- 『特許戦争』の話
ウチの製品で『野菜中心蔵』という冷蔵庫がある。これは、今まで一番下にあった野菜室を真ん中に持ってきた製品なんだけど、この工夫は特許として認められた。
会社で特許関連の仕事をしていると、良い特許とあまり良くない特許があって、この冷蔵庫は「良い特許」の例。他社の特許でも「これはお金を払ってでも使わないわけにはいかないな」と思わせる良い特許が時々ある。
同じような製品を開発していれば、どの会社でも同じような研究が進んでいる。そうなると特許は、もう早い者勝ち。開発なり商品企画の段階で、その勝ち負けはだいたい決まってくる。でも最終的には、特許の申請をした日で決まる。だからほとんど同じ図面を書いていたのに、申請がたった1日遅かっただけで特許を持っていかれた、なんてことも今までに数回あった。1ヶ月から数ヶ月単位で遅かった、なんて例ならそれこそ山ほどある。
特に白モノ家電やAV機器あたりは競争が激しい。たとえばビデオなら、おおもとの原理はとっくの昔に発明されているわけで。じゃあそれをテープに記録するのか、DVDに記録するのか、ハードディスクに記録するのか、なんて、どの会社のエンジニアも考えることは似たり寄ったり。正直、どの会社の製品も、ビックリするほどの違いは今はない。だからこそ、会社は「取られたら困る特許は取っておけ」と言う。邪道のように聞こえるかもしれないけど、仕方がないとも言える。これが特許戦争。
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■ 中澤信子さん(アイデア工房 阿蘇山)の
- 『ダイエット・スリッパ』の話
ダイエット・スリッパを発明したのは、主人のお母さんを引き取ったことがきっかけだった。それ以前は体操なんかにも通っていたけど、お母さんを引き取ってからはそんな暇もなくなってしまい、ストレスと運動不足で大変なことになってしまった。
その時に思い出したのが、体操の平均台。平均台のつま先歩き日常生活に取り入れたら、かなりの運動になるんじゃないかと思って、台所仕事や洗濯の時につま先で歩くようにしてみた。そうしたら背筋が伸びて、驚くくらい気持ちいい。その経験を生かして、かかとがないダイエット・スリッパを作った。
ところが、このスリッパを製品化するにあたって、日本一といわれるスリッパ屋さんを紹介してもらったら、「中澤さん、履き物は難しいですよ」とアドバイスされた。それは、この業界は話題になるとすぐにマネをされてしまう、ということ。たとえばイボイボの付いた健康サンダルにしても、発明した人が特許は取っていたものの、なかなか世間に広まらなくて、特許が切れる頃になってやっと売れるようになったんだとか。
スリッパ屋の社長さんは口を酸っぱくして「主婦がこんなお金が掛かる事に手を出すのは危ないから止しなさい」って止めてくれた。だけど試作品を持っていって、「とにかく履いてみてください」ってお願いして、実際に試してもらったら、社長さんも「素人は怖い」って認めてくれた。こうして、ダイエット・スリッパ『初恋』は製品化されることになった。
特許、実用新案、意匠登録、発明にはいろんな登録の方法があるけど、このダイエット・スリッパは意匠登録という形で登録されている。スリッパという以前からあるものの工夫なので、新しいものを登録する特許よりも、「形を工夫しました」という意匠登録の方が合っていた。
意匠登録にあたって、いろいろ効果を調べてみたけど、単にかかとを切った類似品では効果があまりなかった。ちゃんとサイズを合わせて、かかとの方向に向かって高くなっている形でないと、気持ちよくない。そういう工夫も含めて、意匠登録されている。
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■ 林家木久蔵さん(落語家)の
- 『趣味の発明』の話
7〜8年前、N.Y.へ遊びに行った時に、近代美術館で1冊の本を見つけた。出口の左にある大きな書店で、絵はがきなにかを買おうと思ってレジに行ったら、正面上に発明の本が置いてあって、なんとその表紙には僕の写真が!そんな本が出ている事なんて知らなかったから、最初は文句の1つでも言おうかと思ったけど、N.Y.だし、近代美術館だし……と考えたら、むしろ嬉しくなってしまって。それで、記念にその本を買って帰ってきた。
その本に載っている僕の発明は、たとえば「猫の足にモップの靴下を履かせて、歩くたびに廊下が綺麗になる『猫モップ』」とか「ラーメンを食べる時にドンブリを押さえている左手に付けて、フーフーしなくても食べられる扇風機」とか、冗談みたいな発明ばかり。発明というより、イタズラ心で作ったものが商品化されちゃった、という感じ。
そんな次第で、僕は「発明学会」にも入っている。もっとも、僕の発明ごときにイチイチ特許は取っていない。『ラーメン党』という名前だけは申請したけど。食べ物の発明なら『ゴパン』なんてものもある。ご飯をカレーと混ぜて、揚げパンで包んだもの。
せっかくの発明だけど、宣伝するのにはお金がかかる。そこで「事件」にしてしまおうと考えて、「ラーメン党」の時は「ラーメン氷イチゴ」「アイスクリーム・ラーメン」「生ビールラーメン」なんてキワモノを考えた。まさか誰も食べに来ないだろう……と思っていたら、ラッシャー木村が本当に食べに来ちゃって。名前だけを考えて、中身なんて考えていなかったから大慌て。ビールのジョッキに生ビールとタレを入れて、冷やした麺をほんの少しだけ入れて、海苔とネギで味を調えた(?)ところ、我ながら変なものが出来上がった。
ラッシャー木村はその生ビールラーメンを食べて「すごくマズイ!」と言って、カンカンに怒って帰っていった。「ラッシャーとの友情もこれまでか……」なんて落ち込んでいたら、翌日、ラッシャー木村が新人のプロレスラーを8人くらい連れてきて、「おい、木久蔵さんのところの生ビールラーメンってすごくうまいんだぞ」って言って、むりやり食べさせてた。その後、このまずいラーメンが意外なくらい売れて、「まずいものも売れる」という新しい発見をした。
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■ 峯唯夫さん(日本弁理士会)の
- 『素人発明と商売』の話
「こんな簡単なものがどうして特許になったの?」と思うことはよくあるけど、特許として認められるためには、世界に似たものが存在してはいけないわけで、その判断が一番悩ましい。
たとえば、ほ乳瓶はその昔、ガラスのものしかなくて、プラスチックのほ乳瓶が発明された時に、それは特許として認められた。「材質が違うだけで形は全然変わっていないじゃないか」と思うんだけど、プラスチックのほ乳瓶は押すと中身が押し出されてくる。「この部分が今までとは決定的に違う」という説明が認められて、特許になった。特許になるためにはこの「説明」の部分が非常に重要。
特許の出願を依頼されると、まずはこの説明を考える。それが法律的に綺麗に文章にできるようであれば、「出願しましょう」と依頼を受けるし、無理そうなら「ちょっと難しいのでは……」と相談する。
素人発明家の特許にも、なかなか良くできたものがある。ただ、その特許でお金を儲けるとなると、なかなか難しい。自分で製品を作って売るというのなら話は簡単だけど、どちらかというとその発明を企業に売り込むのが普通。その時に、企画の段階でいい加減な会社に持ち込んだらアイデアを横取りされてしまうかもしれないし、かといって、しっかりした会社はトラブルが怖いので、企画だけではなかなか手を出してくれない。だから素人の発明は、ちゃんと特許を取ってから、せめて出願はしてから企業に提案した方がいい。
それでも、発明で儲ける、というのはなかなか難しい。だからこそ、「発明でこんなに儲けました!」なんて事が話題になるのだろう。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 10'07" |
This Could Be The Start Of Something |
Steve Lawrence & Eydie Gorme |
Jasmine |
JASCD 600 |
| 19'45" |
It All Depend On You |
Frank Sinatra |
Capitol |
TOCP-8131 |
| 30'07" |
They All Laughed |
Patti Page |
Emarcy |
PHCE-10014 |
| 40'11" |
I Got Plenty O'Nuttin' |
Rosemary Clooney |
RCA |
BVCJ-2030 |
| 48'05" |
It's A Pity To Say Good Night |
June Chirsty |
Capitol |
7243 5 35209 2 2 |
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