■ 奥村愛さん(ヴァイオリニスト)と 葉加瀬太郎さん(ヴァイオリニスト)の
- 『ヴァイオリン』の話
[奥村さん]
父がアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のヴァイオリン奏者だったので、生まれはアムステルダム。周りからは一応「音楽一家」と言われる環境で、自然に音楽をやるようになった。
でも実は、3〜4歳の頃にヴァイオリンとピアノを習い始めて、ピアノは1年くらいしか続かなかった。だからそれ以来、ずっとヴァイオリン一筋。練習が嫌になったことは何度もあるけど、ヴァイオリン自体をやめようと思ったことは1度もない。
ヴァイオリンの練習はとにかく孤独。部屋に1人でこもって、アレコレ考えながら練習する。子供の頃は友達と遊びたくてもヴァイオリンの練習をしなきゃいけないのがつらかった。その頃やめなかったのは「練習しないならヴァイオリンをやめなさい」という親の脅迫があったから。私にとってヴァイオリンをやめるというのは、食事をやめるのと同じくらいあり得ないことだったので、つらくても何とか続いた。
それが変わったのはコンクールに出るようになってから。最初は小学校6年生の時の学生音コン(全日本学生音楽コンクール)だった。その頃は新潟に住んでいて、東京に出てきたら周りは上手い子だらけ。その中に田舎者の私が入っても、なんとか予選を通るのが精一杯だった。次の挑戦が中学2年で奨励賞。そして中学3年で1位になった。
[葉加瀬さん]
僕もほとんど同じような経歴だけど、中3の成績が人生の別れ道だったのかも。僕は2年の時に2位を取って、3年の時に「絶対に1位だ!」と思って挑戦したら、今も忘れないラロの『スペイン交響曲』第1楽章、初っぱなの「ラララミ」の「ミ」を外した。もうその瞬間、僕の1位がないことはわかってしまった。それでも、そこから5分も弾き続けなきゃいけないつらさと言ったら……夏休みも返上で半年間そればっかり練習してきたのに、よりにもよって本番で外すなんて。
[奥村さん]
私は中2の時の課題曲がチャイコフスキーのコンチェルト第3楽章で、葉加瀬さんとは逆に1番最後の音を外してしまった。楽譜通り完璧に弾くのは当たり前だから、1音外すのが命取り。あれは本当につらい。
今はまだ23歳なので、これからいろんな音楽をやってみたいと思う。今まではクラシックの人はクラシックだけをやっていれば良かったのかもしれないけど、これからの時代はそうもいかないかもしれない。その時代についていく、できれば先頭を走れたらいいな、なんて思いつつ、マイペースで。
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■ 加羽沢美濃さん(ピアニスト)と 軽部真一さん(フジテレビアナウンサー)の
- 『作曲』の話
私は作曲家でもあるので、ドラマや映画の音楽を作ったりするけど、曲が浮かぶ時というのは天から降ってくる感じ。たとえば2時間の映像を見てそれに音楽を付けるのなら、2時間の映像を見終わったあとに何十という曲が一気に降ってくる。それも洪水のように速いスピードで落ちてくるので、急いで書き留めないとどここかに行ってしまう。
一度、スマスマ(バラエティ番組『SMAP×SMAP』)の特番に出て、木村拓哉と対談した時には、100曲くらい降ってきた。でもゴメンナサイ、いま軽部さんとお話ししていても、正直ぜんぜん曲が降ってこない……やっぱりイメージが湧きやすい人とそうじゃない人っているから。
本当は、一番刺激を受けるのは「風景」。だから曲に行き詰まったら、散歩に出掛けたり山に登ったりして、いろんな風景を見て気持ちを新たにする。
『パリ気分』という曲は、初めてパリに行った時に書いた曲。ちょうどゴミ清掃会社がストをしている最中で、パリの街のあまりの汚さにショックを受けた。それで仕方なく「……これは見なかったことにして、パリに行く前の気持ちに戻って1曲書こう」と思ってできたのがあの曲。
その曲のことはさておき、ヨーロッパや知らない土地に行ったりすると、それまで自分の頭になかった風景に刺激を受けて、それによって曲ができるという瞬間は多い。
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■ 高木綾子さん(フルート奏者)の
- 『フルート』の話
フルートをはじめたのは小学校3年生の時。もともと母がピアノをやっていて、父とデュエットができるかと思って、父に何か楽器ができるか聞いたらしい。父は「ピアノとヴァイオリンとフルートなら“触った”ことがある」と答えたので、母がフルートをプレゼントした。ところが案の定そのフルートは、そのまま棚の奥に仕舞われてしまいホコリをかぶっていた。それを小学生の私が引っ張り出して吹き始めた、という次第。
最初は、母が持っていたフルートの練習帳みたいな本を見て、見よう見まねではじめた。もっとも、ビール瓶で音を鳴らす感覚で吹いてみたら、その日の内に音は出るようになったので、それほど苦労した記憶はないけど。最初に吹いた曲は、その練習帳に載っていた『こぎつねコンコン』だったのをよく覚えている。
私は「練習嫌いの女王」。子供の頃は「2時間練習しないと遊びに行っちゃダメ」と言われていたので、カセットテープに自分の演奏を録音して、それを再生しっぱなしにして遊びに行ったりしていた。しおらしく練習しているようで、実はテレビがついていたり、足で漫画をめくっていたり。
そんな練習嫌いの私でも、さすがに入試、コンクール、演奏会なんかの時は練習した。一番やった時で、1日10時間くらい。連続してじゃないけど、3時間練習して、休憩して、2時間やって休憩して、みたいな感じで、10時間くらいやっていたことはある。
フルートは、演奏している間に人の息で温まってくる(その結果、音が変わる)ので、演奏の前に温めておく。キーを全部ふさいで、中に息を吹き込むんだけど、寒い時にかじかんだ手を温めるのにちょっと似てるかも。
なにか1曲、とリクエストをいただいたので、大人になってからフルートをはじめたという方が、必ず「この曲が吹きたくてはじめました」とおっしゃる名曲『ハンガリー田園幻想曲』の触りの部分を……
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■ 竹松舞さん(ハープ奏者)と 小沼純一さん(早稲田大学助教授)の
- 『ハープ』の話
ハープをはじめたのは9歳。もっと前からやりたかったんだけど、足が届かなくて。知らない人もけっこういるけど、ハープはペダルが7つもあって、足の方がけっこう大変。
7つのペダルは、左側に3つ、右側に4つ。それを両足でバタバタと踏んでいる。しかも音を出すのと同時に踏んでいては間に合わない(音がゆがむ)ので、脈絡のないところであらかじめ踏んでおかなくてはならないのがストレスを感じる。バタバタと言っても、やっぱり静かに踏まなくちゃいけないし。
ペダルを踏みやすい靴を選ぶのにも苦労している。ヒールが高すぎず細すぎず、底が滑らなくて、なんて欲を言えばキリがない。
梅雨の時期は、湿度の影響か夜中にいきなり弦が切れて驚かされることがある。もうバンバン切れる、というのは言い過ぎかもしれないけど、知らない人が想像するよりははるかに切れる。
ハープの魅力は、とにかく広いその音域。手が届かないくらい遠くまで弦があるので、その音のスケールの大きさはスゴイ。それから自分の身振りで音を作れるのも魅力。さまざまな奏法があるので、いろんな音が出せる。もっとも、グリッサンドでジャラジャラ弾くのはけっこう痛いんだけど。
ハープを弾いていると指の先が固くなるんだけど、その固い指のままだと音まで固くなってしまうので、爪用のヤスリを使って、爪とは反対の指の腹を夜な夜な削っている。その場合、なるべく目の粗いヤスリがいい。
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■ アレサンブル・プラネタ(ア・カペラ・グループ)のみなさんの
- 『声楽』の話
クラシックの声楽というと、よくイメージされがちな体型があるけど、最近は意外とそうでもない。「ビア樽みたいな体型」なんて言う人もいるけど、それはお肉じゃなくて空洞の問題で、たぶん私たちもあばら骨の隙間は普通の人より大きいはず。横隔膜を下げて、空気をたっぶりいれて、それを声に乗せる。だから私たちも、歌う時は普段より膨らんでいる。遠目にわかるほどじゃないけど。
衣装もそれを考えて作る。普段の状態でピッタリの服を着たら、息を吸った時に大変なことになる。1度、後ろがゴムのギャザーになっている衣装を着たら、本番で息を吸うたびにそのギャザーの部分が「シャワシャワ」と音を立てて、吹き出しそうになった。
ア・カペラは、楽器がないぶん大変ではあるけど、ピッタリ合った時の合い方というのは半端じゃない。その凄まじいまでのハモリは、5人で歌っていても「10人いるんじゃないか、自分の頭の後ろにもう1人の誰かがいるんじゃないか」と自分たちで錯覚してしまうほど響く。
せっかく5人揃っているので、映画『卒業』のサイモン&ガーファンクルで有名な、『スカボロー・フェア』をプラネタ流のアレンジで……
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 9'10" |
愛のあいさつ |
奥村愛 |
Warner |
WPCS 11410 |
| 18'33" |
パリ気分 |
加羽沢美濃 |
Denon |
COCA-83197 |
| 30'59" |
ハンガリー田園幻想曲 |
高木綾子 |
生演奏 |
|
| 39'58" |
サルツェード 〜ルンバ |
竹松舞 |
Denon |
COCO-80592 |
| 46'32" |
スカボロフェア |
アンサンブル・プラネタ |
生演奏 |
|
|