SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2003年2月8日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ショコラ」

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 チョコレート、フランス語ではchocolat(ショコラ)、イタリア語ではCioccolato(チョコラート)。
 バレンタインも間近ということで、女性のみなさんはあれこれ思い悩んでいらっしゃる最中かと思います。願わくばその悩みが、義理の重さとお財布の中身ではなく、想いを伝えるための心地よい悩みでありますように。
 幸い、当店を訪れるお客さまの中には、チョコレートの「プロ」の方もいらっしゃいます。本日はそういったお客さまのお話を、いくつかご紹介させていただきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
 それでは、素敵なバレンタインデーを過ごされることをお祈りいたします。


image ■ 神田光教さん(白金台『ショコラティエ・エリカ』)の

『おいしいチョコレート』の話

 おいしいチョコレートとは、原料から「何も引かない」チョコレート。
 カカオ豆をすり潰した黒い液体に、砂糖を入れたものが「スイート・チョコレート」、さらに粉乳を入れれば「ミルク・チョコレート」。こうやって作られた「原料から何も引かれていないチョコ」は、おいしい。
 もっとおいしくするなら、同じカカオ豆から油だけを採って、先ほどのチョコに加える。そうすると油分が多くなって、なめらかで口溶けが良くなる。
 チョコレートを買ってきて、自分で溶かして形を作る時は、よく言われるように温度が重要になる。というのは、やり方によってはチョコの風味を損なってしまうから。一度温めてチョコを液化して、また冷やせば固形化するんだけど、単に冷やしただけでは綺麗に固まらない。そうすると口当たりが悪くなって、おいしくなくなってしまう。そこである一定の温度まで下がったら、1〜2度温度を上げてやり、また冷やす。こうすると綺麗に固まる。本や雑誌でいろいろ書かれている「コツ」は、ようするにコレ。
 正直に言って、この温度の加減は難しい。温度計を使っても、リアルタイムに正確な温度がわかるわけではないので、うまくいかない。だから我々のようなプロは、手の感触とかチョコの柔らかさでタイミングを計る。そして「今だ!」と思ったら、ガス台で火に1秒くらい当てて、また冷やす。
 私のように毎日やっていれば、誰だって出来るようになると思うけど、やっぱり慣れないと難しいかも。でも、多少見栄えが悪くても、女の子が頑張って作った「愛情」のこもったチョコには、プロが作ったチョコだってかなわないから大丈夫。

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image ■ 梶睦さん(明治製菓)の

『チョコレートの歴史』の話

 チョコレートとココアは親戚のようなもの。同じカカオ豆から作られる。厳密に言えば、油分を絞って粉末にしたものがココアで、まるごと使えばチョコレート。
 実は液状のチョコレート(ココア)の方が古くて、固形のチョコレートはせいぜい140〜150年くらいの歴史しかない。昔はカカオ豆をすり潰して、水やお湯で割って飲む「チョコレート」だけだった。でも、昔ながらのチョコを試してみたことがあるけど、砂糖も入っていないから、とにかく苦くて飲めたものじゃなかった。嗜好品というよりは、むしろ薬だったらしい。
 有名なところで、アステカのモンテスマ王は、そのチョコレートが大好きだったと伝えられている。精力剤というか、飲んで元気が出るものと考えられていて、王様や貴族しか手に入らないものだったとか。
 それをヨーロッパに持ち帰ったのは、アステカを滅ぼしたスペイン人、フェルナン・コルテスだった。だからヨーロッパで最初にチョコレートが普及したのはスペイン。そして17世紀になって、チョコレートに砂糖を入れるようになって、修道院を中心として徐々にヨーロッパ中に普及し始めた。爆発的に人気になったのは、フランスが最初。マリア・テレサも大好きだったらしいし、ナポレオンも遠征のときは必ず携行したらしい。それでもチョコはずっと薬として扱われていて、嗜好品になったのは19世紀になってからだった。
 日本人で最初にチョコレートを食べたのは、文献上では、出島の外国人からチョコをもらった長崎の遊女、ということになっている。ただ支倉常長なら、どうもヨーロッパに渡った時に食べたらしい…のだけど、残念ながら証拠がない。
 本当は、長崎の遊女や支倉常長が食べたチョコレートというのは、時代的に液状のココアだったはず。では固形のチョコレートを最初に食べたのは誰かというと、明治の元勲、岩倉具視。フランスに行った時に「スズの紙に包んだおいしいモノを食べました」と書き残している。これが固形のチョコレートだった。

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image ■ 国生さゆりさん(女優)の

『バレンタインの想い出』の話

 『バレンタイン・キッス』を歌っていたアイドル時代は、バレンタインデーといえども仕事だった。スタッフの方に「お世話になりました」ってチョコを配ったりはしたけど……そのかわり(?)、ファンの女の子からチョコをもらったりもしたけど。けっこう複雑な気分だった。
 ちゃんと人にチョコレートをあげられるようになったのは、20歳を過ぎてから。評判のお店に行って買ってきたり……自分で作るということはなかったけど。バブルの頃だったから、いろんなお店がいっぱいあったし、むしろラッピングなんかに凝ってたような。
 一度、バレンタインデーを完全に忘れていたことがある。当日になって「あっ!」と思い出して、大慌て。スーパーに駆け込んで、いろんな種類のチョコを買ってきて、たまたま家にあったキャンティの紙袋に詰め込み、少しでもオシャレに見せようと包み紙をクシャクシャにしたりして、何くわぬ顔でニッコリ笑って「ハイ!」ってあげちゃった。内心「我ながら酷いよね」とは思いつつ。

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image ■ 米津一郎さん(森永製菓)の

『ココア』の話

 ポリフェノール・ブームの時は、ちょうど営業にいたんだけど、お客さんから「いつ持ってくるんだ!」って何度も怒られた。それくらい品薄だった。しかもスーパーに品物を入れたら、即完売だし。もう8年も前の話だけど、おかげさまであのブーム以来、ココアもすっかり定着したみたいで、ブームの前の2倍の売り上げで安定している。
 ウチは1919年から『森永ミルクココア』の名前でココアを作り続けている。名前は変わっていないけど、味は少しずつ変わってきている。それは日本人の味覚が変わっていて、「甘い」と感じる点が下がっているから。昔は「10」の甘さで感じる甘さを、今なら「5」くらいで感じるようになった。
 ココアが身体にどんな影響を及ぼすか、という研究もだんだん進んでいる。ピロリ菌を殺菌する効果があったり、冷え性に良い効果がある、ということがわかってきた。コーヒーや紅茶は成分を抽出して飲むものだけど、ココアは豆をすりつぶしてそのまま飲むもの。その分、いろんな成分を含んでいて、研究の切り口によってはいろんな発見がある。

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image ■ 西沢昭紀さん(日本橋三越『カフェ・ウィーン』)の

『ザッハ・トルテ』の話

 「ザッハ」というのはフランツ・ザッハさんという人の名前から来ている。1932年、ハウスブルグ家の司房長として働いていたザッハさんは、ウィーンで開かれる会議に際して「誰も食べたことのないケーキを考案してくれ」と頼まれ、「ザッハ・トルテ」を考え出したとか。
 世界で一番有名なケーキ、とも言われるザッハ・トルテだけど、そのおいしさはチョコレートそのもののおいしさが味わえるところにある。とは言っても、ウィーンのお菓子は全般的に飾り気がなくて、見た目よりは舌で味を楽しむもの。ザッハ・トルテもその例に漏れないので、幸か不幸かバレンタイン需要はそれほどない。むしろ1年を通してコンスタントに人気のあるケーキ。
 ザッハ・トルテの歴史をたどると、ザッハ家はザッハ・トルテで財をなして、ザッハ・ホテルを創設して……などと、いろんな伝説が残されている。その1つが、ザッハ・ホテルの経営が息詰まった時のお話。ザッハ家の息子とデメルという大きなオーストリアのケーキ屋の娘が結婚して、そこからザッハ・ホテルのレシピが流出した。デメルのザッハ・トルテがあまりに売れたため、ザッハ家とデメル家の間で裁判沙汰になり、『甘い7年戦争』とも言われた。
 この裁判、最終的にはウィーン名物を惜しむ市民の声によって、灰色決着に終わった。その結果、ザッハ・ホテルとデメル、それぞれのザッハ・トルテに、どちらのものかわかるような刻印が付くようになり、ザッハ・ホテルではスポンジの間に杏子のジャムを挟むスタイル、デメルではスポンジの表面に杏子のジャムを塗るスタイル、と定められた。
 その後、ザッハ・トルテはいろんなお店で作られるようになったけど、今でもオペラ座でオペラを観て、すぐ近くのザッハ・ホテルでザッハ・トルテを食べる、というのが一番おいしいと思う。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'45" L-O-V-E Nat King Cole Capitol CDP 0777 7 80536 2 0
22'10" Recipe For Love Harry Connick Jr. SONY SRC5 5910
31'47" I Remember You Eydie Gorme CBS/SONY 32D2 696
41'27" When My Sugar Walks Down The Street Ann Gilbert BMG BVCJ-7368
47'02" Same Old Saturday Night Frank Sinatra Capitol CDL-57252


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