SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2002年4月13日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ジャパン・アニメーション」

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 昨年、日本の映画史上空前の大ヒットとなった『千と千尋の神隠し』が、ディズニーによる配給で、いよいよアメリカやフランスで公開されるとか。『アキラ』『攻殻機動隊』をはじめとして、海外で非常に評価が高いといわれる日本のアニメですが、日本であれだけ当たった『千と千尋の…』はどれくらい受け入れられるのか、興味深いですね。
 実は、今日は先程から、その最前線で活躍されている方がいらっしゃっています。私も小学生の時にあのアニメを見て育ったもので、そのお話しには興味津々なんですが……



image ■ 片塰満則さん(スタジオジブリ)の

「アニメのCG」の話

 アニメーションにおいては、もちろん絵(セル画)も大事なんだけど、撮影が意外なくらい重要になってくる。それを僕たちは「処理」と呼ぶ。たとえば水面やグラフの縁の「光った感じ」というのはセルでは描きようがない。そこで撮影の時に光学的な処理が必要になってくる。
 そういった具合に、アニメーションが成立するまでには、動画、撮影処理、色彩設計など、複雑な工程を経ている。一般的には絵をパラパラめくればアニメーションが出来上がると思われているけど、さすがにそれではお客さんがお金を払ってくれない。
 そして僕の専門の「CG」に関しては、「処理」と呼ばれる工程で活躍することが多い。一番よく使われるのが、背景を動かすところ。従来の背景は1枚の絵だったので、カメラワークで左右に動かしたりズームしたりということはできたけど、基本的に「絵」そのものは変化できなかった。それを、カメラが回り込んだ時に裏側が見えてきたり、路地を進んでいけば見えなかったところが見えてきたりとか、絵に奥行きの情報を持たせるというのがCG部の最初の目的だった。
 『千と千尋の神隠し』でも、映画の最初の方、森の中で石のお地蔵さんみたいな像を見つけるシーンで、車に乗っている千尋の目線で像を回り込んでいくんだけど、そこをCGで処理して回り込んだ向こう側を描いている。
 もっとも、「CGで描く」と言っても、全部コンピューターで作るワケじゃない。描かれた絵を取り込んで、コンピューターで作った立体に貼り付けることによって、カメラが動きながら撮影したような映像を作り出す。
 『千と千尋…』の中盤、凄く汚れた川の神様をキレイにする、というシーンでもCGが使われた。体中からどんどん泥が溢れてきて、お風呂のお湯が一瞬にしてヘドロとなって溢れ出すんだけど、そのヘドロをCGで動かした。これはセル画で表現すると、床一面に広がったヘドロが単色になってしまって、画面全体がベタッとした感じになってしまうから。そこでCGを使って、深みのある絵を作った。ちなみにそこで使われた技術は「モーフィング」。『ターミネーター2』やマイケル・ジャクソンのプロモーション・ビデオで有名な技術だけど、今回は「ヘドロの流れ始め」「中間」「流れ終わったところ」の3枚を描いてもらって、その間をモーフィングで補完していった。
 こういう「本来は動かない背景に動きを与える」という効果が、スタジオ・ジブリのCG部の役割。

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image ■ グレゴリー・スターさん(映画誌『プレミア日本語版』編集長)の

「外国人から見た日本アニメ」の話

 若い頃、僕は本当にたくさんの映画を見ていたんだけど、なぜかアニメには興味がなかった。今から思うと「なぜなんだろう?」と不思議に思う。
 ある時、イタリアの友人の家に遊びに行って、その息子の部屋に泊まった。そこで『アキラ』のビデオを見て感動して、そこから僕は急にアニメを見るようになった。そういえばその『アキラ』はイタリア語の吹き替えで、僕はストーリーなんか全然わからなかったんだけど、映像だけも衝撃的だった。日本に帰ってきて、ジブリの作品も見たんだけど、『紅の豚』なんかも印象的だった。「もっと早くから見ておけば良かった……」と正直思った。
 インターネットで調べてみると、アメリカでも日本アニメのDVDはずいぶん出ているみたい。『Ain't It Cool News』という一番大きな映画サイトでも、日本アニメの話は週に一度ぐらいは必ず盛り上がっている。
 日本のアニメーションは、そのイマジネーションが凄いと思う。僕はアメリカのカートゥーンはつまらないと思うんだけど、日本アニメはそこら辺の映画よりイマジネーションが豊か。
 そして『アキラ』なんて、アメリカ人がどんなに考えても絶対に作れない。それは日本に『鉄腕アトム』という文化があって初めて生まれたもの。だから世の中には「日本では映画は文化じゃない」なんて人がいるけど、クロサワだってミヤザキだって、まさに文化だと思う。

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image ■ 富野由悠季さん(アニメーション監督)の

「世界の中の日本アニメ」の話

 今でも『ガンダム』は生き続けていて、新作のゲームが発売されたり、海外ではCGを使った実写に近いガンダムが作られたりしている。正直、悔しい。直接それらに関与できないのが悔しい。「実写を撮るならオレに撮らせてくれ!」と言いたい。とは言っても、腹を立てているワケじゃない。ただ羨ましいだけ。
 『ガンダム』では「大人でも見られる普通の物語」を作りたかった。だからTV局には半分ウソをついた。「必殺技は出てきます、1話ごとにやられる敵も出てきます」なんて普通の子供向けアニメを作るようなことを言って、実際に作ったのがアレ。
 海外でジャパニメーションが人気になっている、と言われるけど、ジャパニメーションという言葉自体が日本の言葉だし、しょせんは「アニメ好きの間で人気が高い」というだけのこと。一般の人がハリウッドの映画と同列に扱っているワケじゃない。そこまで行くには、あと10年かかると思う。
 むしろ、最近もてはやされているジャパニメーションではない、『世界名作劇場』や『ポケモン』の方が、ヨーロッパや南米では「日本のアニメ」としてではなく、ちゃんと「普通の娯楽」として受け入れられている。悔しいけれど、特に高畑・宮崎コンビの作品は、ヨーロッパへ行ってTVのスイッチをパッと入れると、必ず放送しているのを見る。そういう子供向けの作品から認識されていって、少しずつ年齢層が広がっていけば、その先にやっと日本のアニメの中に作品として認知されるものが出てくるのではないか。
 その時になってやっと『Ζガンダム』という作品も、「ちゃんと人の問題を意識した作品が20年前に作られていたのか」と認識してくれるのだろう。そこまであと4〜5年だと思う。そうなった時に始めて「日本のアニメ」の認識が変わるのだろうし、やっと僕も海外の人に「『∀ガンダム』を見てくれ」と言えるようになる。

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image ■ 伊藤有壱さん(クレイアニメ作家)の

「クレイ・アニメーション」の話

 「クレイ・アニメーション」は、本来は柔らかい粘土を使って作るアニメーションだけを指す。それ以外の人形を使うアニメーションは、正しくは「パペット・アニメーション」と言う。ただ、日本ではどこかで「クレイ」という言葉が一人歩きしたみたいで、どちらもまとめてクレイ・アニメーションと呼ばれている。
 1コマごとに粘土にギュッと触って、パチリと撮って、ということを繰り返して映像を作るクレイ・アニメーションは、かなり特殊。たとえば他の人形では決められた関節の決められた動きしかできないけど、でも粘土の場合は、指でちょっと触っただけで自由に形が変えられる。お腹を押せばペッチャンコにもなるし。それが他の人形では絶対にない特徴。
 ただ、やり直しがきかないのが大変なんだけど。だから5分の作品1本仕上げるのに、準備から含めると2ヶ月半くらいかかったりする。一番難しいショットだと、カメラはモーションコントロール、キャラクターは何体も動いて、背景も動かして、なんて時には、最大で1日4秒くらいしか撮れない。『ニャッキ』の場合は1日に15秒は撮らないと間に合わないので、そうなるともう徹夜の連続。スタッフはみんなキリキリしてくるし。
 だからこの仕事は、とにかく忍耐力がないとできない。ちょっとマゾが入ってるかもしれない。それから指紋が深い人もダメ。ニャッキが指紋の模様で縄文式土器みたいになってしまって、撮り直しになったこともある。
 僕の場合は長年やってきたせいか、いつの間にか「粘土手」になってしまった。指紋は浅いし、粘土が汚れを取ってしまうのでやけに清潔。クレイをやっている人にはそういう手の人が多い。

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image ■ 湯山邦彦さん(映画監督)の

「ポケモン」の話

 『ポケモン』のTVシリーズは世界68カ国25言語で放送されているらしい。映画の方も、アメリカ、ヨーロッパをはじめとして、世界中で公開されている。
 僕もアメリカのロスで観客の反応を見てきたんだけど、ウケるところは基本的に日本と同じだな、と思った。ただ、アメリカ人の方が大袈裟。主人公が格好良く現れると「イエ〜イ!」とか言って拍手するし、悪役が登場すればブーイング。それは見ていて嬉しかった。
 吹き替えに関しては、向こうのディレクターにお任せで、僕は一切タッチしない。ところが面白いモノで、やっぱり向こうのディレクターも、こっちの声とよく似た声の人を選ぶみたい。最初に吹き替え版を見た時に「いつの間にこんなに英語が上手くなったんだ?」と思ったくらい。だから吹き替え版も意外と違和感はない。
 吹き替え版の時に気がついたんだけど、日本語は「閉じ口」と言って口を閉じた状態で喋り終わることが多いのに、英語だと「開き口」で終わることが多い。だから向こうの人に「ちょっと言葉が選びづらい」と言われたし、口調としても違和感を感じるらしい。
 向こうの人にも「なんでポケモンがヒットするんだ?」と聞かれるけど、それがわかれば苦労はない。ただ1つだけ思うのは、あの話には子供達が好きなものが全部詰まっているのではないか、ということ。格好良いものはもちろん、怖いもの、気持ち悪いもの、変なもの、そういう子供が好きなものが『ポケモン』には全部入っている。そして子供のそういう部分は、万国共通なのだろう。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'33" Trevo De 4 Folhas Joao Gilberto World Pacific CDP 7938912
15'58" Getting To Know You Nancy Wilson Capitol CDP 7243 8 28107 2 8
29'26" Some Like It Hot Mel Torme Verve 511 522-2
36'44" Pop! Goes The Wesel Merry Macs Capitol CDP 7 99179 2
44'31" Jeepers Creepers Tonny Bennett Capitol CDP 7 99179 2


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