■ 小雪さん(女優)の
「アロマテラピー」の話
最近は「アロマテラピー」と言っても、「焚く」とか「お風呂に入れる」みたいな使い方じゃなくて、普通の香水としても使うようになってきた。
香水は本来、体臭を消すために使われるモノだけど、日本人の場合は体臭を消す必要のある人はほとんどいなくて、結局自分の「色」とか、一種のステータス・シンボルとして使われている。でも、私はいわゆる香水の匂いがちょっと苦手なので、アロマ・オイルを付けて、疲れた時に嗅ぐようにしている。
そのアロマ・オイルは、自分が好きな匂いになるよう、自分でブレンドしている。アロマ・オイルにはいろんな効能があって、風邪に効いたり、頭痛に効いたり、本当にさまざま。風邪を引いてもケミカルな薬を飲みたくない時なんかにはすごく便利だし、偏頭痛くらいならすごくよく効く。
本格的なブレンドになると、ショップでお願いして作ってもらう。ショップに行くと壁中に何百種類ものアロマ・オイルが並んでいるので、その中から選んでブレンドしてもらっている。
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■ 島崎直樹さん(調香師)と
「香りの記憶」の話
私は海外旅行に行くと、その国のモノしか食べない。そうやって1週間くらいがたつと、自分の体臭、尾籠な話で恐縮だが、たとえば朝のオシッコの匂いが変わってくる。そうやってはじめて、その土地に同化できたという感覚を持てる。
だから東京に帰ってくると、「日本の匂い」を強く感じる。一番感じるのが、お風呂にはいる時のカルキの匂い。やっぱり日本の水道は、ヨーロッパなどに較べるとカルキの匂いが非常に強い。日本に住んでいると、そういうものだと思ってしまい、なかなか感じることはできないけれど。そういう「匂い」を感じられるのも、旅の楽しさの1つ。
そして時を経て、その匂いにもう1度触れることによって、昔の自分に帰れる、という楽しみもある。子供の頃に遊んだ砂場の匂いとか、鉄棒をした後の手の鉄の匂いだとか、そういう匂いを嗅ぐと、子供の頃に帰ることができる。別にその香りは、良い香りである必要はない。でも、そういった「香りの記憶」をたくさん持っている人は、豊かな人だと私は思う。
だからこそ、旅で知らない土地に行った時は、その土地の匂いを感じたいと思う。現代ではバーチャルで、離れた土地でもほとんどの事を見たり聞いたりすることができる。でも、そこに吹いている風の匂いだけは、そこに行かなければ感じることはできない。
ちなみに、私がその香りをまざまざと憶えているのはニースの空港。寒い北のロンドンあたりから向かうと、コートダジュールの真っ青な海すれすれを飛んで、海岸べりの滑走路に飛行機が着陸する。そして飛行機の外に出ると、ユーカリの木の匂いを生暖かい風が運んできて、「あぁ、ニースに来たんだ」と思わせてくれる。実はニースの北西30kmくらいのところにグラースという近代香料の発祥の街があって、そこに今から30年前に研修で2年ほど住んでいた。今ではずいぶん観光化も進んで、オリーブ畑やバラの畑だったところにゴルフ場ができたりもしているんだけど、今でも香りの記憶は褪せることはない。
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■ 山元大輔さん(早稲田大学人間科学部教授)の
「フェロモン」の話
フェロモンというのは、「匂い」じゃないけど、「ほぼ匂い」。
たとえば、「ウイスキーの匂い」があったとして、それを「ガソリンの匂い」だとは普通は思わない。そういう風に、ちゃんと識別できて、意味を持って、はじめて「匂い」という存在がある。でも、フェロモンというのは、基本的に嗅いでもそのことに気が付かない。でも確実に影響は受ける。だから「ほぼ匂い」。
「フェロモンは行動や感情に影響を及ぼす」と言われても、「思いこみなんじゃないの?」と思ってしまうかもしれないけど、実はちゃんと身体的な影響もある。具体的にはホルモンの出具合、女性だったら月経周期などで客観的なデータを採ることができる。よく、女子寮で一緒に住んでいると周期が一緒になると言われているけど、これもフェロモンの影響であることが実験でわかっている。その実験では、女性の脇の下にコットンを付けて、汗を採取し、まったく無関係の女性の鼻の下に貼り付ける、という事を2ヶ月続けた。すると、匂いを嗅がされた女性の月経周期が、汗を採取した女性の周期に徐々に合っていった。ということは、やはりその中に性的な影響を及ぼす化学物質が含まれている、という事になる。
実は、人間以外の動物では「この化学物質がフェロモンである」という研究がかなり進んでいる。一番研究されているのは「蛾」。蛾のメスがオスを呼ぶためにある化学物質をお尻から放出して、それにつられてオスが何キロも離れたところから飛んでくる事がよく知られている。面白いのが、ゾウのメスが出す尿の中に含まれているフェロモンが、蛾のメスが出すフェロモンとまったく同じである事。だからゾウの尿に蛾がたかっていてもおかしくもなんともないし、もっと言えば、蛾とゾウより、ゾウと人間の方が近いんだから、蛾のフェロモンだって人間に効くかもしれない。
人間を使った実験でわかっているのが、「男のフェロモン」とか「女のフェロモン」というのは、男女それぞれで人類共通だという事。そしてそれらを嗅いだ場合、異性のフェロモンであろうと同性のフェロモンであろうと、脳はちゃんとフェロモンの存在を認識している。ただし、男と女ではフェロモンに反応する脳の場所が全然違う。男は匂いを識別する場所で反応するけど、女は脳の中でも本能を司る場所、ホルモンを出すところで反応する。だから男は同性のフェロモンを感じれば競争心を煽られるし、女性は異性のホルモンで知らない内に惑わされてしまう。
同じ化学物質でも、異性にとっては魅力的であり、同性にとっては敵愾心を煽るものになる。フェロモンとは、そんな奇妙な「匂い」。
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■ 義武利文さん(香りのデザイン研究所)の
「香りのデザイン」の話
『香りのデザイン研究所』では香りに関する空間演出を仕事としている。
たとえば、病院。やっぱり一般的に病院は「消毒臭い」みたいなイメージがあるんだけど、もっと清潔感のある良い香りを演出すれば、病院という空間がもっと快適になる。ただ、そこで香水とかバラの香りとかでは、たとえそれがどんなに良い香りであっても当然場にそぐわない。だから歯磨き粉によく使われるミントの香りとか、清潔感を感じさせる香りをその場所に合わせて作る。
それから、デパートならゴージャスな感じ、とか。老舗の百貨店ならそれなりのイメージをお客さんが持っているので、それに合わせた香りを作る。高島屋だったらバラの香り、とか。
柑橘系の香りは爽やかだし、ミントみたいにスーッとする香りもある。バラやジャスミンみたいに花を感じさせる香りもあれば、木の香りもある。そういった香りを組み合わせて、その場所に最適な香りを作り出す。匂いだけじゃなくて、ヒノキの香りみたいに殺菌効果を考えて調香することもある。
作った香りは、天井に取り付ける機材などで恒常的に供給する。中にファンが内蔵されていて、香料が染みこんだ部分に風が当たって、香りが空間に送り出される。香料はだいたい3ヶ月くらい持つので、それくらいのタイミングで補給する。
でもさすがに、ここみたいなバーで仕事をするのは難しいと思う。お酒の匂いを邪魔するわけにはいかないし。葉巻を吸っている人もいるわけだし。そういう所は、その匂いが1つの空間を醸し出しているので、特に演出は必要ないと思う。
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■ 古川隆弘さん(獣医師)の
「男性用香水」の話
『CK1』のおかげで多少は変わりつつあるけど、男性用フレグランスというと、夏場の満員電車で中年サラリーマンが汗まじり……みたいなイメージがいまだにある。だから私が考えているのは自然な、その人のプラスアルファになる香り。
購入の時に気を付けて欲しいのが、「コレを買う!」とちゃんと決めておくこと。デパートの化粧品売り場で買おうとすると、美しい女性の微笑みに負けて、ついいらないものまで買ってしまう。余計な出費を抑えるためにも、下調べは絶対に必要。
といっても、男性用フレグランスの情報なんてなかなかないので、私がホームページを作った。難しい専門的な用語はいっさい抜きで、簡単な説明と5つ星の評価、それと年齢的な目安を付けている。
人によって体温も違えば、汗の量も違う。だから「手首に付ける」とか「耳の後ろに付ける」とか言われているけど、絶対的なセオリーはない。一通りやってみて、自分にあった香り、人に違和感を与えない香りを見つけるのがコツ。
ちなみに今日付けているのは、エスティーローダーの『プレジャーズ・フォー・メン』。これは石けんのような親しみやすい自然な香りなので、比較的万人にオススメ。しかも女性でも使いやすい。勝負香水なら……シャネルの『エゴイスト』か。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 5'57" |
When Sunny Gets Blue |
Blossom Dearie |
Daffodil Records |
BMD-114 |
| 17'01" |
On The Street Where You Live |
Mel Torme |
Verve |
MGV6-2132 |
| 31'06" |
You Smell So Good |
Jackie And Roy |
徳間ジャパン |
TKCB-30460 |
| 42'12" |
Coddle Up A Little Closer |
Doris Day |
Columbia |
475750 2 |
| 47'54" |
You Do Something To Me |
Rosemary Clooney |
BMG Victor |
BVCJ-2030 |
|