■ 林家こぶ平さん(落語家)の
「ジャズ喫茶」の話
今はほとんど無くなってしまったけど、その昔モダンジャズ喫茶に通い詰めて、ジャズのイロハを学んだ。僕が通っていたのは上野。吉本の演芸場の近くに「いとう」というジャズ喫茶があった。
その「いとう」があった通りは子供の頃から何度も通った道で、今でこそその通りには風俗店が多くなってしまったけど、奥には「池之端の藪」というそば屋もある。ここはつゆが辛口のいい店で、今の季節なら鴨南蛮なんか美味しいと思う。
「いとう」は真っ黒な扉の大きな入り口で、扉には「店内での談話はお断り致します」と書いてある。表から見て判断できるのは、「コーヒー」「いとう」という看板と、その文章だけ。そしてわずかな隙間から大音量のジャズが表まで漏れている。子供の頃はジャズなんてよく分からなかったから、『全員集合』のカトちゃんのコントから連想して、ここはストリップ劇場に違いないと思いこんでいた。
中学生の時に先輩に「あれはジャズ喫茶だよ」と教えてもらって、「いとう」に連れて行ってもらった。扉を開けておそるおそるのぞくと、暗い店内にカウンター、それから驚くほど音のいいジャズ。「生演奏か?」と思ったほどだった。それからはもう、「いとう」に通い詰め。
演芸場に近かった関係で、噺家の客も多かった。普通の声で喋っても、大音量の音楽にかき消されてしまうので、稽古場として使っていた人もいたとか。ただし、高座用のデカイ声を出したらさすがに怒られるので、小さな声でやっていたハズ。
僕も初めて行った時に、「ご注文は?」と聞かれて「コーヒー!」って元気に答えたら、「シッ!」とたしなめられた。他の人の注文を見てると、馴染みの人には「いらっしゃいませ」も言わない。脇に立ってジッと目を見るだけ。するとお客も馴れたモノで、口の形だけで「コーヒー」と伝える。それだけで、ちゃんとコーヒーが出てきていた。
この店のコーヒーも絶品だったんだけど、もっと良かったのがマッチだった。ここのマッチは、たぶん無断使用だったんだろうと思うけど、ケニー・バレルのブルーノート版のジャケットを使っていた。このジャケットはアンディ・ウォーホールが描いた素晴らしいデザインで、今でもそのマッチは宝物として大事にしまってある。
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■ 青島達也さん(フジテレビアナウンサー)の
「セリエAダイジェスト」の話
『セリエAダイジェスト』は大変。視聴者の方が聞き取れないのも当然だと思う。だって後で自分で聞いても何を言っているのかよく分からない事があるし。
僕はテレビ局のアナウンサーであるにもかかわらず、ほとんどテレビに映る事がない。1週間で、多くて20秒くらい。9時前のニュースを当番で時々読むのと、競馬中継で「実況席解説は吉田均さんで……」という横顔、これで全部。それ以上テレビに映るとカラータイマーがなるのか、本当にそれしか出ていない。
それでもサッカー場に行くと、おかげさまで声を掛けていただいている。言われるのは大体「ビエリやって〜!」。ビエリというのは屈強で頑丈で、猪突猛進型の点取り屋のイタリア代表選手。『セリエAダイジェスト』でこの選手をキャラ付けするのに、「ウ゛〜ウ゛〜」ってうめき声を当ててみたら、これが妙にウケて今や一番人気になってしまった。もしこれがイタリアでバレたら、ちょっと表を歩けないかもしれない。
セリエA最年長監督のマッツォーネさんは、もの凄く「お爺ちゃん」なキャラにしてしまった。「フガフガ」なんてセリフを当てているんだけど、これも本人が聞いたら怒りそう。キエーボの監督、デリネリさんも結構面白いキャラクターなので、桂小枝さんの「お〜っと」「ど〜して」を使っていたのが、どんどんデフォルメされてしまい、今や元ネタが小枝さんである事すら分からなくなってしまった。
そんなムチャクチャばかりやっている番組『セリエAダイジェスト』だけど、おかげさまで視聴率は悪くないのはありがたい。
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■ サエさんとカズミさん(OL)の
「占い」の話
4年くらい前に1度結婚して、1年前に離婚した。
別居してからちょっと揉めて、3〜4ヶ月は離婚届を出せなかった。それでちょっと情緒不安定になってしまい、「すごく当たる占いの先生がいる」とサエちゃんに紹介されて、その先生のところへ行った。
その先生は本当にスゴかった。何がスゴイって、渋谷のとある場所で待ち合わせだったんだけど、女性がたくさんいる場所で、いきなりツカツカと歩み寄ってきて「サエさんですね?」と話しかけられたのにはビックリ。何も目印なんか持っていなかったのに。
それで喫茶店へ行って占ってもらったんだけど、その2時間はずっとドキドキしてしまった。すごい巨乳の先生だったんだけど、そんな事を考えていたらまた見抜かれそうだし、どこを見て何を考えていいのかわからなくなっちゃって。
その先生は「後ろの気」を見る人で、私の肩とか頭の上を見ながら「あなたココに何色が見えるんだけど、今度引っ越しする?」とか、ズバズバ当てる。そして私の左肩を見ながら「ココに入ったり出たりしている男の人がいるんだけど、この人誰?」と聞いてきた。誰と聞かれても私には見えないので、仲間10人くらいで写っている集合写真を見せたら、「あ、この人よ」ってズバリ元旦那を指差し、こう言った。「彼はまだ別れたくないと思っているから、彼に貰ったモノをいっぺんに身に付かないで。そうしないと、彼の念が通じてくるから。」これはホントに怖かった。
私は占いに行くとロクな事を言われない質で、結婚中に占ってもらった人には「いや〜結婚して良かったね〜、君は結婚してなかったらガラの悪い人の愛人とかになってるタイプだよ」なんて言われたし。「ワイドショーのネタとかになるかもしれないから気を付けてね」とか言われたり、占いではいつもボロクソ。
「あなた、周りに男の人がいっぱい見えるけど、だけどなんでアウトレットばかりなの?」って言われた事もある。見た目はキレイでも、コンプレックスを持っているとか、家庭環境が良くないとか、B級品ばかりなんだとか。確かに、過去を振り返るとそうだったような気もする。
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■ 宇都宮隆さん(ミュージシャン)の
「好き嫌い」の話
TMNの3人は食べ物の好き嫌いが多くて、普通、地方のコンサートの後は土地の料理でも食べてから遊びに行きそうなものなのに、いきなりディスコにいって、冷めたスパゲッティとか大しておいしくない唐揚げなんかを食べていた。
特に味の好みが合わなかったのが、僕と小室。僕は香りの強いものがダメで、香辛料の強いアジア方面の料理や食べられないし、チーズがかかっているヨーロッパ系の料理もダメ。鍋は好きなんだけど、春菊がダメで、入っていたら速攻で鍋から取り除く。
主張の強い野菜も食べられない。ちょっと子供っぽいんだけど、ピーマンとかニンジンとかタマネギなんかは、大きいまま生で入っているとダメ。小さく切ってあれば、けっこう美味しいと思うんだけど。
一方、小室は肉、しかも鶏肉がダメで、牛肉と野菜ぐらいしか食べられなかった。魚介類がいっさいダメ。そんな2人が一緒だから、食事はいつも大変だった。
誰かの結婚式に3人で呼ばれた時は、木根はジッと僕ら2人の行動を見てたらしいんだけど、後で「最初からずっとなにも食ってない」って笑ってた。フランス料理のコースだったと思うけど、最初のスッポンのスープ、変なソースで味付けしてある肉、2人の皿はまったく手が付けられないまま次々に下げられていく。そして最後に出てきたのが生ハムとメロン。僕はメロンがダメで、小室は生ハムがダメ。結局最後まで何も食べられないままの2人だった。
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■ 中村獅童さん(歌舞伎俳優)の
「狐狸狐狸ばなし」の話
お正月は浅草公会堂で、若手花形が集まって歌舞伎の公演をするのが恒例行事になっている。一昨年だけはちょっとお休みだったけど、去年から復活して、今年もやっている真っ最中。
歌舞伎は難しいと思われがちだけど、実際はそんな事はない。ただ、最初に見る歌舞伎は肝心かもしれない。例えば、喜劇なんかから入ると分かりやすいと思う。もう5年も前の話なんだけど、『狐狸狐狸ばなし』という歌舞伎を勘九郎さんが歌舞伎座でおやりになった時に、僕は初めて三枚目役の女を演じた。名前は「牛娘」といって、相手の男をベロベロ舐めてしまうような淫乱な娘。その舞台が終わった後、楽屋を出て横断歩道で信号待ちをしていたら、隣にいた典型的なコギャルが「歌舞伎ちょ〜おもしれ〜よ〜、勘九郎マジ笑った〜!」なんて言っていた。おそらく、たまたま誰かからもらったチケットで、初めて歌舞伎を見た娘が、チケットをくれた人に感想を言ってるという雰囲気だったんだけど、もう嬉しくて嬉しくて、よっぽど「オレ、牛娘、オレだよ」って言って顔を舐めようかと思ったくらい。『狐狸狐狸ばなし』は本当に面白い芝居なので、そう遠くない未来にまたやると思う。機会があったらぜひ見て欲しい。
ただ、地方に行くといまだに「ホラ、牛娘のあの人よ!」なんて言われて、嬉しいやら困ったやらで、複雑な気分になる事もある。しかも時間というのは恐ろしいもので、「牛娘」がいつの間にか「蛇女」になってたりして。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 10'28" |
June in January |
Eydie Gorme |
Universal Victor |
MVCJ-19207 |
| 20'41" |
Ain't That A Kick in The Head |
Dean Martin |
Capitol |
CDP0777 7 98409 2 2 |
| 35'38" |
Look Out Up There |
June Christy |
Capitol |
7243 5 35209 2 2 |
| 43'46" |
Too Little, Too Late |
Nat King Cole |
Capitol |
CDP 7 943112 |
| 48'54" |
I'm Falling In Love with Love |
Anita O'day |
Verve |
POCJ-1914 |
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