■ 犬養裕美子さん(フードライター)の
「エル・ブジ」の話
今、「世界で一番」と言われているのは、スペインにある『エル・ブジ』というレストランの、フェラン・アドリアというシェフ。
そのお店がある場所は、バルセロナから車で2時間半も掛かるような辺鄙なところで、そこへ向かう道はその店の客しか通らないくらい。それでも客が押し寄せるほど、その店は評判になっている。さらに1年の内、お店が開いているのは半年の間だけ。じゃあ驚くほど値段が高いのか、と思いきや、1人8000円という安さ。
フェラン・アドリアというシェフは実験魔な事で有名で、たとえば「じゃがいも」という素材1つをとっても、化学成分から何からすべてを調べて、温度変化を与えるとどうなるか、水を加えるとどうなるか、などのデータを取っている。だから彼にとって水とは「H2O」であって、そのHはどうなってOはどうなる、みたいな事が頭の中に詰まっているらしい。
そうやっていろんな実験をしていく内に、彼はいろんな味を「泡」にしてしまう事に成功した。だからエル・ブジで出てくるサラダは、赤、緑、ピンク、青、白、といった色とりどりの「泡」の形をしている。とてもサラダには見えないけれど、その内の1つをすくって食べると、口の中でフワッと泡が消えて、レタスの香りがスッとする。さらに1つ1つの泡が温かかったり冷たかったり、様々な温度差が付けられていることあって、その泡の作り出す味の世界は、これまでにちょっと無かったモノになっている。
その独創性溢れる料理でミシュランでは96年から三ツ星が与えられ、それ以来、「21世紀の料理」として世界中から注目されるようになった。フランス料理界はちょっと頑固で「そんな変な料理は認めない」という人もいるけど、イタリアの若手シェフなんかはみんな彼の料理をマネしてしまって、「イタリア料理はどこへ行った?」と問題になったこともある。
このフェラン・アドリアが始めた新しい料理は、日本にも大きな影響を与えている。今年の3月、東麻布にオープンした『カメレオン』という店でも、「小皿料理をたくさん出す」とか「新しい組み合わせを考え出す」というようなエル・ブジ的なスタイルを取り入れている。こういう店はこれから増えていくかもしれない。
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■ 大森由起子さん(お菓子研究家)の
「ガレット・デ・ロア」の話
お菓子業界では「キャラメルが流行る」「いや、ナッツだ」「スパイス系では」など、いろんな事が言われている。
「パン・デピス」というスパイスの入ったパウンド型のお菓子なんか面白い。これはハチミツの入った古典的なお菓子で、昔は甘味料としてお砂糖がなかったので、ハチミツ、小麦粉、それにスパイスを加えて、固いお菓子にしていたもの。スパイスとしては、チョージ、ジンジャー、シナモン、ナツメグなど、いろいろ入っている。これは非常にコーヒーに合うので、個人的にもすごく好きなお菓子。
最近、私が注目しているのは「行事」のお菓子。たとえば、「ガレット・デ・ロア」というのは「王様のガレット」という意味で、フランスではこのお菓子をお正月に食べている。キリスト生誕の時に東方三賢者がベツレヘムまでやってきて、キリストに謁見した日というのが1月6日ということになっているらしくて、その祝日にこのお菓子を食べるのがフランスの習わしになっている。
このガレット・デ・ロア、折パイ生地の中にアーモンドクリームが入っているお菓子なんだけど、「フェーブ」という小さな陶器の人形が1つだけ入っているのがとてもユニークで、お菓子をカットすると当然1つだけそのフェーブが入っているヤツがあるので、その「当たり」を引いた人はその日1日「王様」になって威張れる、という遊びがこのお菓子には付いている。だからガレット・デ・ロアを買うと、安っぽい紙の王冠が付いてきたりしてちょっと楽しい。さらに陶器の人形もお菓子屋さんのオリジナルだったりして、これが意外と素敵なので、つい「来年もやろうかな?」と思ってしまう。
年の始めだから、おみくじ的な要素もある。厳密に1月6日とすると大変なので、最近は「新年最初の日曜日」にやる人が多いみたい。
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■ アンジェロ・コッツォリーノさん (自由が丘『バッボ・アンジェロ』シェフ)の
「リボッリータ」の話
僕が生まれたのは、イタリア・トスカーナ州のカンピ・ビゼンツェという、フィレンツェ近くの街。だから僕の店では北イタリアの料理も南イタリアの料理も出しているけど、トスカーナの料理が多い。
イタリアという国は不思議なもので、100〜200年くらい前にはイギリス人が入ってきて、さらにその前にはフランス人も入ってきているので、今でもフランス料理やイギリス料理、それからギリシャ料理の影響がかなり残っている。唯一、食にこだわるあまり、その影響をほとんど受けなかったのがトスカーナ地方。たとえば僕がたまにお店で出しているスープ「リボッリータ」などは、700年も前から伝わっている。このスープ、15〜16種類の野菜を2〜3時間煮込むんだけど、1週間前の余ってしまったようなパンを薄く切ってカリッと焼いて、その上にかけて食べるとすごく美味しい。
美味しいリポッリータを作るには、まず自分で作ったパンチェッタ(豚バラの塩漬け)を用意すること。ちょっと多めのパンチェッタとローズマリーをみじん切りにして、さらに、やっぱり自分で作った生ソーセージ、これはスパイスの味も出てくるので、乾燥させたものもみじん切りにして、一緒にたっぷりのオリーブオイルで炒める。リッボリータを作るのは10〜11月、ちょうどオリーブの収穫が始まる頃なので、非常にフレッシュな美味しいオリーブオイルもリッボリータには欠かせない。
野菜は大きめにカットして、サッと水にさらす。その水気を含んだ野菜を先程炒めたパンチェッタとあわせて1時間ほど煮込む。そこへ豆のピューレを入れ、このピューレがまた美味しいんだけど、そこからさらに2時間ほど煮込むと、一応の出来上がり。
でも、リボッリータはこれで終わりじゃない。今日はリボッリータを作って、食べました。たくさん作ったので、あまりました。そこで次の日、もう一度煮込んで(リボッリーレして)食べると、さらに美味しくなっている。
ウチのお店でも、10月の終わりくらい、新鮮なオリーブオイルが入ってくる頃に出している。日本人はこの料理をあまり知らないと思うので、ぜひ一度試してみて欲しい。
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■ 高師邦昭さん(『料理百科』編集長)の
「日本人の食」の話
海外では、松茸を日本へ輸出する国が増えているらしい。ネパールだったかどこだったか、「松茸大臣」がいて、「こんなものを日本人が食べるらしい」と言いながら、必死になって採っているんだとか。
マグロだって、昔は「ツナ缶」でしかなかったのに、日本人が好んで食べるというところから海外へ広まっていった。でも、よく考えれば日本だって、昔は「猫またぎ」と呼んだほど、トロなんて誰も食べなかった。結局、脂が強すぎてすぐ傷んでしまう、という事だったらしい。だから冷蔵庫が普及する前は、マグロといえば赤身で、トロなんて捨てていたものだった。
一説によると、タンパク質や脂肪の摂取量が、文化の上昇度を測るバロメーターになるらしい。そして日本人のタンパク質や脂肪の摂取量が増えたことの傍証として、「コーヒーの好み」が挙げられている。昔の日本人は、酸味の強いコーヒーを好んだ。ところが最近は、ハードローストの苦みの強いコーヒーを日本人が好むようになってきた。この「苦いコーヒー」というのが、口の中がタンパク質や脂肪で満たされないと、なかなか受け付けられないものなんだとか。つまり、エスプレッソやハードローストのコーヒーを飲んで美味しいと感じるようになったと言うことは、日本人がフランス人やイタリア人のように、タンパク質と脂肪を摂取するようになったという事らしい。
それから最近感じるのが、今の日本は料理や食材における「大ヒット」が、昔と較べて生まれにくくなったということ。昔の大ヒットの典型は、たとえばフォアグラがそう。1980年頃、当時の日本のフォアグラの輸入量がだいたい年間5トンくらいだった。それが去年、2000年の通関データによると400トン弱が輸入されているというから、実に約80倍。そういうヒットが生まれなくなったのは、一言で言えば供給過多になっているからだろう。すでにある程度の飽和状態になってしまっているので、大きいヒットが生まれる余地が残されていない。ヒットするにしてもプライベートなヒットで、小粒だけど濃厚、という形が多い。
そんな中で、最近の沖縄ブームは比較的大きかったかもしれない。特にゴーヤは町の八百屋でも見かけた。でも、そのゴーヤは色が淡くて、味もそれほど強烈ではなかった。やっぱりそういう形じゃないと、流通量は増えないものなんだと思う。ブームが頂点から広がっていくときは、そういう風に淡くなっていくというか、クセがなくなっていく、というのを実感した。
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■ 田中秀和さん(博報堂・買い物行動研究所)の
「コンビニの売れ筋食品」の話
「甘栗むいちゃいました」というコンビニのヒット商品があるんだけど、二匹目のドジョウを狙って「小豆版」とか「焼きトウモロコシ版」が売られている。焼きトウモロコシなら、コーンの粒々がとってある状態でパックに入っているんだけど、これがちゃんと醤油味を付けて焼いてあるところが意外。
実は、この手の「昔からある商品をコンビニ向けにリニューアルして持ってくる」という手法は、コンビニが生まれた頃からよく使われてきた。その一番いい例が「おにぎり」。日本古来どこにでもあった「おにぎり」を、コンビニ向けにああいう包装にして持ってきて、今やコンビニの商品としてすっかり定着してしまったけど、最初はみんなかなり違和感を感じたもの。そう考えると、みんなが当たり前のように食べている日本固有の食べ物をちょっと加工し直せば、他にもコンビニ向けの商品になるものがあるかもしれない。そういう視点で商品開発を考えていけば、「甘栗〜」とはまた違うヒット商品が生まれる可能性はある。
日本のものではないけど、今ちょっと目を付けているのが、東南アジア系の食べ物。というのは、今年以降は「辛いもの系」は飽きられて、ヘルシー志向の「ナチュラル系」になるのではないか、と思っているから。女性はコンビニでお弁当を買うときに、カロリーを気にしたり添加物を気にしたりするので、技術革新で保存料や添加物を使わずに済むようにしたり、賞味期限は短くても保存料や添加物が少ない商品がもっとあってもいい。
で、個人的に好きなこともあるんだけど、そういう商品にはベトナム料理が向いているんじゃないかと思っている。ベトナム料理はタイ料理よりもさっぱりしていて、味覚的に日本人に合っているし、野菜をふんだんに使うところがとってもヘルシー。夜中にコンビニで売っていて、味噌のたれとサワーのたれが選べたりして、片手で持ちながら食べられる、そんな商品ができたらいいと思うし、楽しいと思う。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 9'16" |
Someone Like You |
The Four Freshmen |
Collecters Chice Music |
CCM 017-2 |
| 18'48" |
Sugar (That Sugar Baby of Mine) |
Peggy Lee |
MCA |
MCAD 2-11122 |
| 29'29" |
Cah Cha Cha D'Amour |
Dean Martin |
Capitol |
7243 8 55393 2 9 |
| 40'15" |
Aruond The World |
Kay Starr |
Jasmine |
JAS CD 307 |
| 47'35" |
Diane |
Vic Domone |
Capitol |
CDP 7243 8 2851325 |
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