■ 馬場啓一さん(作家)の
「白州次郎」の話
最近、ファッション系の雑誌で取り上げられたりして、白州次郎さんの格好良さが見直されている。身長は180cmくらいあったし、ケンブリッジ大学を出ているし、寝言は英語だったし、とにかくスゴイ人だった。
彼の80余年という生涯は、前半と後半に分けることが出来る。終戦までが前半で、後半は典型的な「アーリー・リタイア」の生活。水産会社の役員をしながら、年に何度もヨーロッパへ出掛けるような生活にさっさと見切りをつけて、退職金で鶴川に土地屋敷を買って移り住んだ。家の補修なども自分でやっていたらしいが、実際に日本の古民家を手入れするのは大変だったろう。
正確に言うと、鶴川に住み始めたのはちょうど戦争が始まった頃。そこで終戦を迎えると、吉田茂に呼び出されて「終戦連絡事務局」の仕事を任される。それから10年くらいの間、再び公人として活躍するんだけど、それがなかったら、きっと「タダの田舎の人」だったのではないだろうか。つまり、普段は田舎に住んでいて、必要があれば都会に出てきて仕事をする、みたいな、いわゆる英国流の「カントリー・ジェントルマン」が、彼の理想だったのだろう。だから、当時はまだ本当に田舎だった所に家を作ったのは、彼一流のダンディズムだったに違いない。
「カントリー・ジェントルマン」というのは、英国貴族の生活を指している。彼らには各地に自分の領地があって、そこにいるだけで生活は成り立ってしまう。そして特別な用事があるときだけロンドンまで出向く、という生活。だから、そういう所で住むための洋服や館(やかた)のスタイル、馬車(車)を使う。例えば、ランド・ローバーに人気があったのはそのせい。ロンドンに行くときはロールス・ロイス、山の中を走るときはランド・ローバー、という風に使い分けるのが彼らの流儀。
そういった意味では、白州次郎さんの場合は、40そこそこで仕事を切り上げてしまって、さっさと田舎に引っ込んでしまっているので、厳密な意味でのカントリー・ジェントルマンではないかもしれない。むしろ、今一番新しいスタイルの生き方だったと思う。
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■ 細川護煕さん(元政治家)の
「アーリー・リタイヤ」の話
今住んでいる湯河原の自宅は、だいたい25坪。まあ、家内と二人だけの暮らしなので、こんなモノで十分。しかも家内は、ボランティアの仕事で世界中を飛び回ってて、1年の2/3は一人で気楽な生活を楽しませてもらっている。
食事だって、パンを焼いたり、コーンフレークを食べたり、簡単なものなら自分で賄える。買い物も自分で行く。最初は驚かれたり記念撮影を頼まれたりしたけど、もうさすがにお互いに慣れたので、普通の馴染み客として扱ってもらえている。
いつかはこういう生活をしようと、30歳くらいの頃から考えていた。英国にもカントリー・ジェントルマンという言葉があるけど、60、とは言わず、40、50でも、自分で納得のいく仕事をして、十分に社会に貢献したと思ったら、さっさと田舎に引っ込んでしまうのが理想の生活、という考え方がある。とは言っても、あんまりド田舎に引っ込んでしまうのもつまらないので、ロンドンまで車で1時間くらいの場所が良い。こういった考え方はイギリスに限った話ではなく、フランスだって同じような考え方はあるし、日本だって「山居(さんきょ)」とか「隠棲(いんせい)」という言葉が昔からある。蕪村だって吉田兼好だって、世俗とは距離を置いて、自分の好きなことに没頭した。ただ、世俗との道を完全に閉ざさないように、街の灯が遠くに見える程度に距離をおくのがポイント。たぶん、まったく閉ざしてしまうと、宗教者のようになってしまうのではないだろうか。
だから私も、新聞は取っていないし、テレビだってほとんど見ない。だけど、馴染みの植木屋さんや魚屋さんに、ちょっとその辺でお茶でも飲んでいきませんか、なんて誘われて、そこでチラッとテレビを見る機会があったりすると、大筋の所は分かるので、特に困らない。
昔から家に帰ってまで仕事の資料は読まない主義で、知事をやっていた時も、日常生活とは出来る限り無縁なものを選んで読んでいた。そういう事をしないと、なかなか発想を転換するのは難しい。
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■ 細川護煕さん(元政治家)の
「リタイヤ後の生活」の話
アーリー・リタイヤしたと言っても、決して暇な生活を送っているワケじゃない。というのは、性格的に無駄な時間を過ごすのが嫌いだから。
まず、朝は7時に起きる。朝食を済ませたら、庭の手入れをすることもあるし、畑で草取りをすることもある。それから、ろくろも回さなくちゃいけない。土をこねて、作って、釉薬を掛けて、削って、釜に入れて、作業は天気に合わせなければいけないので、どれも非常に難しい。
定年退職したサラリーマンが、やることがなくてしばらくブラブラする、なんていうのは、私にとってはちょっと信じられない話。それはやっぱり、若い頃から人生の意味と目的を考えていないと、そうなってしまうのかもしれない。
私なんかは、いくら時間があっても足りない。焼き物だってもっと良いものを作りたいし、絵や字も書かなくちゃならない。その間も畑の仕事もしなくちゃいけない。
こんな事を書いた人もいる。人生を20年ずつ4つの時期に分けると、最初の20年は勉強の時。次の20年は勤労の時。その次の20年は林住の時。これは都会から離れて、静かに思索に耽るという意味。そして最後の20年は遊行の時。全国の聖地を巡礼したり、温泉巡りをしたり。古い言葉なんだけど、昔の人も今の人も、考えることにそう変わりはない。
■ 猪田昌明さん(湘南スタイルプロデューサー)の
「豊かなリタイヤ・ライフ」の話
30代くらいから自分のライフスタイルにコンセプトを持っている人が、それを突き進めていった先にあるのが「セミリタイヤ・ライフ」だと思う。
リタイヤは、ある日突然来るものじゃない。10〜20代で自分の生活のコンセプトを立て、30代で努力して、40代で状況をちょっとずつ整えて、そうやって迎えた50歳なら、素晴らしいリタイヤライフが待っている。これが60になってしまうと、もう体が動かない。だからリタイヤするなら50に限る。そう思っている人が最近多い。
でも、趣味の事を毎日やっていれば楽しいかと言えば、そうとも限らない。ハワイに住んだから楽しい、というワケでもない。だから、そこで何をするか、周りにどんな人がいるか、が重要になってくる。
そこで問われるのが「環境年齢」。例えば、行きたいと思った時に遊びに行ける。これは実年齢が50歳だとしても、環境年齢は20歳。きっと、子供はすでに手を放れ、金銭的にもそれほど困っていない、という状況だろう。かと思えば、若くして子供が出来てしまい、お金を稼がなきゃいけない、遊びにも行けない、みたいな、若くても環境年齢が40〜50歳の人もいる。だから人生のコンセプトをちゃんと立てて、環境年齢を若く保つ努力をする必要がある。
幸せなリタイヤ・ライフを送っている人に話を聞いてみると、ライフパートナーとしての家族や友人、ペット、人間関係を含めた周りの環境に恵まれている人が多い。自分自身がやりたいと思っても、周りの人の協力が無いと出来ないことが多い。ましてや移住する、山にこもる、海辺に住む、なんて話は、お金があれば実現できるけど、そんなことよりも「誰と行くのか」「そこで何をするのか」の方が大事。だから人間関係の豊かな人生を送ってこそ、豊かなリタイヤ・ライフ、豊かな老後が送れるのだと思う。
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■ 江原達怡さん(夢穂高美術館館長)の
「長野の暮らし」の話
城下町、というのは独特の文化がある。金沢しかり、仙台しかり、そして松本もそんな街の一つ。ただ、大したお殿様が出なかったので、割と庶民的。
ただ、長野の人は理屈っぽいとも言われる。「街を良くする運動をしましょう」という話が出ると、街を良くする会を作る準備会、の役員を選ぶための役員会……みたいに、話がどんどん後ろ向きに進んでいってしまう。
東京から長野に移り住んで強く感じたのが、東京は窮屈だということ。歳をとって経験を積むと、人間は空間が欲しくなる。社長室がデカイのも、そのあらわれだと思うんだけど。で、その空間が、東京では手に入りにくい。電車に乗っているときも、自分を殺して、なるべく無機質になっていないといけない。
ところが長野では、隣の家の回覧板を持っていくのにだって車が必要なくらい、いろんな事が有機質。東京でしか売っていないお菓子をお隣に持っていくと、次の日はナスにトマトにキュウリが玄関の前に山ほどおいてあったり。鍵だって掛けてないから、隣近所の様子はお互いによく分かってる。
昔は東京もそうだった。田舎にはそれが今でも残っている。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 7'59" |
Corrida De Jangada |
Elis Regina |
Philips |
PHCR-1324 |
| 18'43" |
Coisa Mais Linda |
Paul Winter with Carlos Lyra |
Sony Records |
SRCS 8026 |
| 30'11" |
Conversa De Botepuim |
Doris Monteiro |
EMI |
829 712 2 |
| 35'37" |
Trevo De 4 Folhas |
Joao Gilberto |
World Pacific |
CDP 7 93891 2 |
| 42'23" |
Discussao |
Sylvia Telles |
EMI |
827535 2 |
|