SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年8月4日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

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 当AVANTIには、さまざまなお客様がいらっしゃいます。今日も、漫画家の楳図かずおさまや獣神サンダーライガーさまがおもしろおかしなお話をしているかと思えば、あちらでは大場満郎さまや和田誠さまが素敵なお話をなされています。
 ですから、そういったお客様たちのお話を聞いていると、実に面白いんです。映画、音楽といった柔らかい話や、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話。いろんな話を聞くことが出来ます。誰が言い始めたのかは知りませんが、常連のお客様の間では、そんな面白い話をして下さる方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいるとか。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいんですが。
 よろしかったら、私と一緒に「コニサー」のお話に、聞き耳を立ててみませんか?



image ■ 楳図かずおさん(漫画家)の

「まことちゃん」の話

 僕の代表作と言われるのは『まことちゃん』なんだけど、世の中にはあれをホラーだと思っている人も多い。いくら僕がホラー漫画家だからって、それは酷いと思う。
 とは言え、たしかに「ギャグ」と「ホラー」の関係は、追い掛ける側と追い掛けられる側という、ある種の共通性がある。「追い掛けられる」というのは、常に怖さを伴う。ましてや追い掛けてくるのが、口が耳まで裂けてる、目のつり上がった鱗のあるオバサンだったら、もの凄く怖い。ところが、これが追い掛ける立場になった途端、相手が怖いオバサンだろうが、超能力を持った子供だろうが、面白くてしょうがない。こっちの方が強い立場なんだから、捕まえて見せ物にしてしまえ、となる。
 だから読者が追い掛けられていると思えばホラーだし、追い掛けていると思えばギャグになる。『まことちゃん』を勘違いしている人が時々いるのは、まことちゃんに追い掛けられていると思ってしまったからかもしれない。僕自身は、ちゃんと「まことちゃんが追い掛ける立場」で描いている。だから逃げている人が変なモノを踏んで転んだりすると、それだけでギャグになる。
 それから、まことちゃん自身はギャグをやっているつもりはない。非常にマジメに、一生懸命にやっているんだけど、ハタから見るとギャグに見えてしまうだけ。子供や猿の仕草がおかしいのと、基本的には同じ。
 『まことちゃん』を描いたのは、もともと幼児に興味があったから。漫画を描きながら、実は絵本も描いてみたいと思っていた。それが実を結んだのが『まことちゃん』。あの髪型だって、「いかにも日本の幼児!」という感じで描きたくて、ああいう風にした。
 「名は体を表す」とも言うけど、『まことちゃん』という名前も時代を反映している。というのは、連載当時、ちょうど「○男」とか「○子」という名前が不自然になってきていて、それで「みか」「まこと」という名前の姉弟にした。ところが最近は、「まこと」という名前は、女の子の方が多いらしい。それでも「まこと」という名前が気に入っているのは、どこか日本を象徴するような雰囲気があるから。

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image ■ 本橋里紗さん(サントリーモルツ生ビール・キャンペーンガール)
  仙川明さん(マグナムドライ・キャンペーンガール)

「オーディション」の話

(本橋さん)
 ビールのキャンペーンガールをやるに当たって、ビール工場へ行って「美味しいビールの入れ方」を習ってきた。最初は上から落として泡を立てて、次にグラスを傾けてカンとくっつけて、そっと注ぎ込む。最終的に、ビールと泡の割合が7対3になるのがベスト。実際、工場でちゃんと入れたビールと大雑把に入れたビールを飲み較べてみたら、ビール歴の浅い私でも味の違いをまざまざと感じた。
 今まで、いろんなオーディションを受けたけど、一番大変だったのがNHKの朝の連続ドラマのオーディション。オーディションが進んでいくと、実際の俳優さんとのやり取りを試されるんだけど、「たこ焼き屋になって、どうにかお客さん(俳優)を呼び込む」みたいな事をやらされる。「いや、オレは隣の焼きそばを食べるから」「ウチのたこ焼きは本当においしいですから!」なんて言って引き留めるんだけど、これは本当に緊張した。
(仙川さん)
 私の場合、実は今回のサントリーのキャンペーンガール・オーディションが、芸能界で最初の仕事だった。だからとにかく緊張しちゃって、体中の毛穴から嫌な汗が出まくっていた。周りはみんな敵、じゃないけど、むちゃくちゃ怖かった。

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image ■ 獣神サンダーライガーさん(プロレスラー)の

「マスク」の話

 いま被っているマスクは対ヘビー級用。本来はツノがあって、目もメッシュになっている。だってツノが付いていると、そこを持たれちゃったりするし、メッシュは見えづらいし、何かと大変だから。
 もともと「獣神サンダーライガー」というのは、永井豪さんのアニメのキャラクターだった。だからマスク屋さんと相談して、平面のデザインを3Dに起こしたのがこのマスク。そういえば模型マニアという趣味が、初めてちゃんと役に立ったのかも。
 でも自分で設計に関わっておいてこう言うのも何だけど、このマスクを被っていると本当に大変。真横や真下はほとんど見えないし、ライトはメッシュで乱反射するし。だから「この辺かな?」なんて当てずっぽうで技を掛けたりしてるんだけど、もしかしたら自分って天才かも、なんて思いながらやっている。
 マスクだけじゃなくてコスチュームもあるので、1試合終わると汗で2〜3キロは体重が減っている。水分なので、ちょっとお茶でも飲めばすぐに体重は戻るけど、我ながらスポンジみたいで面白い。
 マスクは当然、破れない限り何度でも使うんだけど、わざと破くヤツには腹が立つ。あれ1つ作るのに、掛かる費用は3万円。一応、必要経費で落ちるけど、軽くなった財布を思うと本当に腹が立つ。
 ちなみに、素顔を出すことにはそんなに抵抗はない。だって一番最初に、「今度からライガーをやります!」ってVサインしながら、プロレス雑誌に素顔で出ちゃってるし。そんな事をしたのは、その前4年くらい普通にプロレスラーをやってきて、顔と名前もみんな知ってるのに、今さら正体不明の覆面レスラーもないだろうと思ったから。だから「今までの名前を捨てて、ライガーとして再出発します」という形で、獣神サンダーライガーというプロレスラーは生まれた。前代未聞、というか、こんな間抜けなことをしたのは僕だけかもしれない。
 それでみんな僕の正体を知っていて、素顔で街を歩いていても、平気で「あ、ライガーだ」なんて言われたりする。模型の展示会で「ライガーさん」と声を掛けられたりもするので、「いや、今はライガーじゃないから…で、ゴモラ買ってよ」なんて言っていたりする。

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image ■ 大場満郎さん(冒険家)の

「アマゾン川下り」の話

 アマゾン川6000kmを、筏で川下りしながら、周辺の村々を見てきた。
 日本から、まずペルーの首都リマまで行き、そこからオンボロバスに乗った。1昼夜かけてアンデスの山々を越え、その行き止まりの街「イキトス」で筏を組み立てた。ジャングルに入って木を切り倒し、4mの長さに揃え、皮を剥いで乾燥させ、筏を組み立てたんだけど、地元の人はみんな親切で、ずっと一緒に手伝ってくれた。
 川を下って行くと、今度は木彫りのカヌーに乗った地元の人が近づいてきて、「どこからきたんだ?」「どこまで行くんだ?」なんて聞いてくる。夜中に勝手に筏に乗ってくるお婆ちゃんもいて、ビックリもさせられたけど、本当にみんな人懐っこくて、話好きで、いい人ばかりだった。時々、村に寄ってはバナナやココナッツを買って、食料にしていたんだけど、100本くらい付いている大きなバナナの房を筏の前にドンと置いておくと、「売ってくれ」なんて寄ってくる舟もいた。
 本当は、夜は陸地に上がって泊まったり、村の様子を見ていこうと思ったんだけど、なにしろ雨期のアマゾンは風も凄くて、普段は鏡のような水面が、2m以上の高波で覆われる。危なくて筏を岸に止めておけないので、昼夜ぶっ通しで川を下った。そのスピードは、だいたい1日で100km。
 ところが雨期のアマゾンは、川幅30〜50km、河口近くになると150kmにもなる。もうほとんど海みたいなもので、広すぎて岸辺が見えないので、流れているのか止まっているのかよく分からない。しかも1度スコールが来ると、ジャングルのあちこちが根こそぎ流されて、島なんか跡形もなくなくなってしまう事がある。だから自分がどこにいるのかなんてぜんぜん分からなかった。
 結局、52日間掛けて、アマゾン川の河口まで下ったんだけど、長いようで、あっという間の日々だった。スコールの時は、筏が壊れたらそこで死ぬしかないので、いつも祈っていたし、晴れの日は360度見渡す限りの、真っ青な空か満天の星空に見とれていた。意外だったのが、赤道直下では夕焼けがないこと。日が落ちてきたなと思ったら、あっという間に夜になる。
 ゴールはブラジルの「マカパ」という街だった。河口近くまで行くとアマゾン川はほとんど流れていないので、河口近くを漂っているところをワニ狩りに来た人たちに拾ってもらった。別にそこをゴールと決めていたわけじゃなくて、河口近くまで行けば誰かが拾ってくれるだろうと、最初から見込んでの旅だった。いい加減なようだけど、現地の文化や習慣を知っていたので自信はあった。異文化や自然の脅威に直面したときは、それを克服するのではなく、謙虚に受け入れる。冒険が成功するかどうかは、そういうところに掛かっている。

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image ■ 和田誠さん(映画監督)の

「真夜中まで」の話

 映画『真夜中まで』が今日から公開。
 ジャズ好きなので、これまでの映画の中でもよくジャズを使ってきた。さすがに『麻雀放浪記』では、進駐軍のクラブに入ると「センチメンタル・ジャーニー」が流れている、というシーンだけだったけど。『怪盗ルビー』では、主題歌「怪盗ルビー」が、アメリカのコーラスグループが歌っている上に、キョンキョンが歌をかぶせる、というつもりで作った曲。現実には、僕がロスで向こうのコーラスを録音してきて、その音にキョンキョンの歌を重ね撮りした。
 今回はジャズのトランペッターが主人公の物語なので、「ライブハウスでこんな曲目を演奏している」なんて事まで、ちゃんとシナリオに描き込んであるけど、この選曲の作業はジャズ好きとしては楽しい仕事だった。1曲目はもちろん"Round Midnight"。これはテーマ曲のようなものだし。
 「月の砂漠」を選んだのは、この曲なら誰もジャズでやってないだろうと思ったから。ところが、リー・モーガンが日本で覚えて、向こうでレコーディングしたらしい、ということを後で教わった。しかもけっこう有名な話らしくて、「知らなかったの?」なんて言われてしまった。幸い、知らずに選んでしまったのだけど、知っていたらこの曲は選ばなかったと思う。
 真田君は、この映画で主役を演じるに当たって、トランペットのことは何も知らなかったので、トランペットを買いに行くところから始めてくれた。僕も素人で、楽器についての知識はあまり無かったので、プロのアドバイスもずいぶん受けた。
 たとえば、トランペットみたいな金属の楽器なら、山場でちょっと武器に使えたりしないだろうか、とか、どこかに引っ掛けてぶら下がる、なんて事を考えていたんだけど、プロにそのシナリオを見せたら「とんでもない!トランペットみたいなデリケートな楽器になんて事をするんだ!」って叱られた。「いや、それで何とかしなければ命を取られるかもしれないんだ」って説明しても、「命よりも楽器の方が大事なんだ」って言うし。それでずいぶんシナリオを直したんだけど、お陰でリアリティがあるというか、ミュージシャンが観てもいい加減なことをやっているとは言わないものができたと思う。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'52" I Got Plenty O' Nuttin Rosemary Clooney RCA BVCJ-2030
15'48" My Shining Hour June Christy Capitol 7243 8 55455 2 8
24'03" Dig That Crazy Chick Sam Butera & The Witnesses Capitol CDP 7243 8 35972 2 2
34'36" Barpuinho Maysa Sony Records SRCS 8026
43'04" Desert Moonlight Lee Morgan Blue Note 7243 5 21229 2 9


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