SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年7月28日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「沖縄」

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 そういえば今日は、いつも土曜日にいらっしゃる常連のお客様は、家族旅行で沖縄に行っているそうですね。ジェイクはお土産に頼んだ『唐芙蓉』をずいぶん楽しみにしているみたいです。
 それにしても沖縄ですか……羨ましい限りです。青い空と海、輝く太陽、それから美味しい料理とお酒!いえ、料理と酒ならこの店だって負けてはいないと思うのですが、あの開放感に溢れた空気だけは、東京では絶対に手に入りませんから。
 でも今日は、沖縄にお詳しいお客様がいらっしゃって、当店にも沖縄の空気を運んで下さったようです。その素敵なお話に、ちょっと聞き耳を立ててみませんか?  



image ■ 吉村喜彦さん(作家)の

「模合」の話

 ウチナーグチ(沖縄の方言)を聞いていると、言葉が音楽であるということがよく分かる。僕は沖縄の音楽が好きなんだけど、それは元々は1つだった音楽と文学の関係が、沖縄では今も続いているから。
 例えば、「5・7・5・7・7」の和歌と同じように、沖縄には「8・8・8・6」という韻律の「琉歌(りゅうか)」という詩の形式がある。そして嘉手刈林昌(かでがる・りんしょう)さんは、「歌の基本は8・8・8・6で歌詞を作ること」と言っていた。沖縄最古の歌謡集「おもろそうし」の頃からずっと伝わってきた8・8・8・6のリズムは、リンケンバンドやネーネーズを始めとする、全ての沖縄音楽のミュージシャンが、それに乗っ取って歌っている。
 これが日本だと、「三味線にのせて和歌を歌う」なんてのも聞かないけど、沖縄の琉歌はサンシン(沖縄三味線)を弾きながら歌うもの。そんな風に音楽と文学が現象的な形で一体となっている姿に、僕は感動を覚える。
 そういうわけで、とにかく沖縄が好きで、2ヶ月に1度は沖縄に通っている。でも本当は、毎月行かなくちゃいけない。というのは、「模合(もあい)」があるから。
 模合というのは沖縄独特の風習で、例えば6人の仲間がいたとしたら、毎月1度、日を決めては集まってお金を持ち寄る。その、1人1万円なら6万円を、メンバーの中で「今月は車検があるんで私に下さい」みたいに、ちゃんと説明できるだけの理由のある人が持っていく。複数の人が立候補した場合は、飲み食いしながら相談。まぁ結局、その飲み食いが目的で、模合を口実に集まっていると言えなくもないんだけど。
 僕は沖縄に通っているウチに、2〜3年ほど前、沖縄の友達から「模合に入らない?」って誘われたんだけど、半分くらいウチナンチュウ(沖縄人)として認められたような気がして、すごく嬉しかった。だから本当は毎月行かなければならないんだけど、どうしても仕事の都合なんかで行けないときは、お金だけを託している。
 ちなみに先月は、僕が「出版記念パーティーのお金が必要なので、今月は模合を取らせて下さい」とお願いして、認めてもらった。

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image ■ 早坂好恵さん(タレント)の

「琉球舞踊」の話

 親が琉球舞踊の家元で、私も3歳から10歳くらいまで習っていた。
 琉球舞踊は琉球王朝時代からある古い踊り。歴史の授業で習った話だと、琉球王朝の人達は武器を一切持たなかったんだとか。だから踊りで戦ったりもしたらしい。それから中国との貿易も盛んだったので、その時に披露したりもしていたと聞いている。そういう話を聞くと、琉球の人は基本的に穏やかなんだな、と思う。
 そして、琉球舞踊といえば結婚式。沖縄の結婚式はとにかく凄くて、「ザ・アジア!」って感じなんだけど、沖縄の結婚式では必ず舞台が用意されていて、常に誰かしら踊っている。一応、最初に一言二言は挨拶もあるんだけど、もう乾杯しちゃったら、後はずっと踊り。
 清明祭(シーミー)というお祭りも、結婚式に負けず劣らずスゴイ。沖縄のお墓は一軒家くらい大きくて、その前に必ずだだっ広い広場があるんだけど、毎年4月の上旬に、そこにゴザを敷いて、みんなで飲んで食べて歌って踊る。東京の人なら「お墓の前で何をしてる!」って思うかもしれないけど、「ご先祖さまも一緒に歌って踊ろうよ」っていうのが沖縄の供養。
 それ以外にも、小さなお祝い事や飲み会、お誕生日会とか、いろんなイベントは日常的にあるんだけど、どのイベントでも必ず出てくるのが「カチャーシー」という踊り。これは琉球舞踊をやっているいないに関係なく、みんな踊れるもの。イメージ的には盆踊りに近いんだけど、あれを年がら年中いつでもどこでも踊っている、という雰囲気。カチャーシーは特に誰かに教わるということはないんだけど、あれは自分から発するもの、出てくるものなので、みんな踊れる。

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image ■ 比嘉栄昇さん・島袋優さん
  上地等さん(BEGIN)の

「島唄」の話

 「ちゅらさん」に出演したときは、本当に参った。役者の皆さんに申し訳ないと言うか…
 でも、あの番組のお陰で沖縄に関心を持ってもらえるようになったのは嬉しい。聞くところによると、観光客も以前とは違うとか。今までは大きなホテルに泊まって、観光バスで名所を巡って、指定のみやげ屋でお土産を買って帰る人がほとんどだったのに、最近は自分の足で街を歩く人が増えているらしい。
 僕たちが生まれ育った石垣島は、沖縄本島よりもさらに南西に位置する島。山があって、海もあって、珊瑚が美しい。実は沖縄県で一番高い山があるのは石垣島で、と言っても530mくらいしかないんだけど、地形的に複雑な島で、観光に行くとすごく面白いと思う。
 そして石垣島は、「唄の島」とも呼ばれ、有名な古典民謡が数多く生まれた島でもある。その良さを少しでも分かってもらえたら、という願いを込めて、「島唄」のCDを出した。
 このCDを出したのは去年だったんだけど、なぜか徐々に売れていったみたいで、発売から1年も経った頃に「婦人会の振り付けがついて、祭りで踊っている」とか「琉球国祭り太鼓というチームが太鼓を叩きながら踊っている」なんて話を聞くようになった。
 古典的な方言で歌う本物の「島唄」は、初めて聞いても理解するのはなかなか難しいので、僕たちの「島唄」が入門編になれば、と思う。そして、いつか本物の「島唄」の良さも分かってもらえたら、これほど嬉しいことはない。

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image ■ 岡田恵和さん(脚本家)の

「ちゅらさん」の話

 一応、母親が沖縄生まれなんだけど、NHKがその事を知っていたとは思えない。だから『ちゅらさん』の仕事の依頼が来たときは、ある種の運命みたいなものを感じた。
 とは言っても、母親も5〜6歳の時に東京に出てきてしまっているので、「毎年沖縄に里帰り」みたいな事は一切なかった。ただ、母方の祖父祖母と一緒に暮らしていたので、いま思い出すとあれが沖縄の人だったんだな、とは思う。ちなみに、ドラマに出てくる「古波蔵」という名字は母親の旧姓。
 『ちゅらさん』の物語は、石垣島から船で20分くらいの所にある小浜島で、ヒロイン・古波蔵恵里が産まれるところから始まる。この小浜島や石垣島のある八重山諸島は、東京から沖縄へ行くのと、沖縄から八重山へ行くのでは、掛かる時間が変わらない、と言われるほど遠い場所にある。ドラマの舞台をそんな場所にしたのは、祖母が石垣島出身だったから。ただ、石垣島はかなり大きい島なので、物語にふさわしい小さな島を探して、ディレクターが八重山諸島中を駆け回って、その結果として小浜島が選ばれた。
 小浜島の人口は約500人。取材のために小浜島を訪れて、向こうの人に島を案内してもらったら、20分で一通り見終わってしまうような小さな島だった。ワゴンタクシーに乗って島を巡っている間にも、お婆ちゃんが僕たちの乗っている車を止めて「あそこまで乗せてってくれ」なんて言うくらい、のどかだし。でも、頑張って古い沖縄文化を残そうという姿勢じゃなくて、現代的な生活と古い文化が自然に混在している島ではあった。
 ところが、そういう島で生まれると、どういう感覚なんだろうという事が、どれだけ考えても分からない。ただ、1つだけ感じるところがあったのが、沖縄の人がよく使う「テーゲー」という言葉だった。それは「適当」とか「大概」という意味なんだけど、悪い言い方をすると「深く追求しない」、良く言えば「追いつめない」という、沖縄独特の考え方。
 例えば、台風が上陸したとする。すると、一生懸命作ってきた作物が、一瞬にしてダメになってしまう。それについて、いったいどうしたらいいんだろう……と考えても、結局どうにもならない。そういう感覚が強いのが、沖縄の人だと思う。そんな事ではめげない、めげていては前に進めない。そんなおおらかな強さが、沖縄の人にはある。
 だから人間関係でも、相手を追いつめるようなことはしない。思い返せば子供の頃、友達の家に行って驚いた記憶がある。僕の家なら、僕が「ゴメンね」と謝れば、親は大抵許してくれた。ところが友達は「ゴメンね」と謝っても、親に「何が悪いと思っているのか言いなさい」と言われていた。当然、その友達は「〜をした事が良くなかったと思います、スミマセン」と謝るんだけど、その人を追い詰める感覚が子供心に怖かった。たしかに、「ゴメン」と謝るだけじゃ解決になってなくて、また同じ過ちを繰り返すかもしれない。でも、そういう優しい人間関係も悪くはないと思う。

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image ■ 岸朝子さん(料理記者)の

「沖縄料理」の話

 最近、東京のスーパーでもゴーヤ(苦瓜)がよく見掛けるようになった。ゴーヤは頭と尻尾を切って、2つに割って、中の種をスプーンなんかで取れば、後は全部食べられる。皮は凸凹していて、ちょっと取っ付きにくいけど、あそこが一番栄養のあるところ。
 豆腐を炒めて、ゴーヤを入れて、最後に卵でとじれば、「ゴーヤチャンプル」の出来上がり。味付けは塩だけで、香り付けにちょっと醤油を入れてもいい。「チャンプル」というのはインドネシアなどの東南アジア系の言葉で、「混ぜる・混ぜ合わせる」と言う意味。だから必ず複数の食材を使う料理で、しかも大抵は豆腐が入る。ツナを入れてもいいし、スパム(豚肉の缶詰め)を合わせることもある。とにかく簡単で、5分もあれば作れてしまうのがゴーヤチャンプル。
 沖縄は昔から中国の影響を強く受けているので、豚肉もよく食べる食材の1つ。昔は豚を1頭飼っていて、それをつぶすと、隣近所みんなで分けた。肉は塩漬けにして保存していたから、ハムやベーコンと似たようなもの。脂はから煎りしてラードを取り、後で炒め物をするときに使った。ラードを取った後の「油粕(あぶらかす)」は、みそ汁に入れても煮物に入れても美味しい。今は自分の家で豚をつぶすようなことはなくなったけど、「沖縄料理は豚に始まり豚に終わる」と言われるくらい、豚との関わり合いは深い。
 「沖縄では豚は鳴き声以外は全部食べる」とも言う。耳も食べるし、尻尾も食べる。舌も食べるけど、牛に較べればちょっと小さい。血も食べるし、内臓だって食べる。レバーを食べるのは当たり前として、腸はキレイに洗ってお吸い物にしたりする。
 沖縄では豚は塊で売るので、茹でこぼしてから炒め物にしたり、角煮にしたりする。泡盛を入れて茹でれば肉は柔らかくなるし、余計な脂肪がとれて健康にも良い。沖縄の人があれだけ豚肉を食べてもコレステロールが低いのは、食べ方がいいから。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'03" Going Back To Okinawa Ry Cooder Warner Bros. WPCR-52
21'11" 汗水節 ネーネーズ Ki/oon Sony KSC 216
30'12" 涙そうそう ビギン BAIDIS TECN-20647
39'43" アサドヤユンタ 坂本龍一 Virgin VJD-32235
47'00" ムリカ六星 りんけんバンド Sony Record SRCL 4369


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