■ 青山剛さん(コーチ)と
中西真知子さん(トライアスリート)の
「トライアスロン」の話
トライアスロンでは、肉体的なスタミナと精神的なスタミナの両方が要求される。
持久力、すなわち肉体的なスタミナは、長い距離を走ることによって培われる。長い距離をゆっくり走ることによって、毛細血管網が広がり、体中に酸素が行き渡るようになる。これが体育学的に「スタミナが付く」ということ。
トライアスロンを1レース終えると、体重が軽く2〜3キロは減ってしまう。特に「アイアン・マン」と呼ばれるレースは、オリンピックで行われるトライアスロン競技と較べて距離が桁違いに長いので、途中で食料を摂る事が重要になるほど。オリンピック・ディスタンスでは水泳が1.5キロ、自転車40キロ、ランニング10キロなんだけど、アイアンマンは水泳4キロ、自転車180.2キロ、その後になんとフルマラソン42.195キロを走る。さすがにその距離は、私(中西さん)もやりたいとは思わない。
僕(青山さん)は昔、アイアンマンにも出ていたんだけど、人間は面白いもので、自転車で180キロ走った後だと、「なんだ、あとたった42キロを走ればいいのか」と思ってしまう。これがただのマラソンだと、スタートするときに「42キロも走るのか…」と思うクセに。きっと180キロも自転車を漕いでいる内に、頭がおかしくなっているに違いない。
そういえば、トライアスリートには酒飲みが多い。レースの前はひたすら我慢して、終わった瞬間にビールをグッと飲む、その1杯がたまらない。中には「あと○日で飲める!」なんて考えながらトレーニングしているヤツもいる。体育学的には、レースの直後にお酒を飲むのはあんまり良くないんだけど、その1杯が楽しみでやっている人が多いので、まあ体を取るか気持ちを取るか、という問題ではある。で、結局、みんな気持ちを取っている。
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■ 大場満郎さん(冒険家)の
「北極冒険の時の食事」の話
北極や南極には、「ペミカン」という特殊な食料を持っていった。これは練り食品の一種で、牛肉や乾燥させた野菜を粒にして、水分を抜いた上で真空パックに詰めたもの。食べるときはタッパーに入れて、雪を溶かして作った水で練って食べる。これが朝と夜の食事なんだけど、お昼は移動中の食事なので、ミルクチョコレートをドロドロに溶かして、ゴマやクルミやアーモンドを入れて固めたものを持っていって、それをかじった。
ペミカンは、見た目はドッグフードみたいな感じで、北極の時はあえて味付けをせず、砂糖や塩を持っていって食べるときに味を付けた。これは燃料がなくなった時に、そのままかじるため。と言うのは、強い味が付いていると、どうしても水が欲しくなる。ところが、水は燃料で雪を溶かして作るので、燃料がないと手に入らない。それでペミカンに味付けはしなかった。
北極の横断は、ロシアの海岸からスタートして、北極点を通って、カナダの海岸まで、直線距離にして1870キロを121日かけて歩いた。小さなソリにテントや寝袋など約80キロの荷物を積んで、時にはスキーをはいたりしながら歩いた。
3月の頭にロシア側から出発したときは、恐怖と不安で食欲も出ず、予定していた量の1/3しか食べられなかった。それが安定した氷の上まで来て、白夜の季節になると、1日10〜15時間も行動するようになるので、今度はいくら食べられるようになる。それでも体の脂肪は全部落ちてしまい、いつでもお腹はペコペコ。補給の時に受け取った食料は、持って歩くのが大変なので、なるべくその場で食べるようにしていた。
とにかく-50度という極寒の場所なので、出発前から体に脂肪を付けなければならなかった。でも私は農家の出身のせいか、あまり脂っこいものが好きじゃない。ノルウェーの冒険家などは、毎朝コップ1杯のオリーブオイルを飲むらしいけど、日本人が真似をしても、おそらく下痢をしてしまう。そういう意味では、日本人は極地での冒険にあまり向いていない。
それと、自分の体にあったものを食べないと、人間なかなか元気が出ない。そこで北極でもご飯を炊いた。ところが燃料は食うわ、時間はかかるわ、蒸気がテントの内側で氷になって張り付くわ、脂ものじゃないからすぐにお腹が空くわ、ロクな事がなかった。だけど、それでもご飯は欠かせなかった。韓国隊だってキムチを持っていたし。
それと、やけに美味しかったのがインスタントラーメン。「今日は頑張ったから、ラーメンを食べよう」なんて、自分へのご褒美にしていたほど。北極ではインスタントラーメンくらい美味しいものは他にない。
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■ 辛永虎さん(焼き肉「虎の穴」代表)の
「韓国のスープ」の話
よく誤解されているんだけど、韓国人は毎日焼き肉を食べているワケじゃない。というよりむしろ、韓国は魚文化の国。日本と同じで、あれだけ海に囲まれていれば、どう考えてもそうなる。魚と鍋、そしてスープが韓国料理の王道。
そして、韓国人のスタミナの根元は、スープにあると思う。韓国に行って焼き肉が美味しいと思ったことは一度もないけど、スープは感動するくらい美味しいことが非常に多い。こればっかりはかなわないと思う。
僕は韓国へ行くと、デパートの地下へ行って、食料品売場に必ず寄る。そこでいつも面白いと思うのが、食材として「骨」を売っていること。しかも、日本ならただでもらえそうな牛や豚の骨を、驚くほど高い値段で売っている。それは、韓国のメインディッシュがスープだから。日本だったら肉や魚がメインディッシュだけど、韓国ではそれはつまみにすぎない。ご飯があって、スープがメイン。そのスープに入っている、骨から取った濃厚なダシこそが、韓国の人のスタミナの元だと思う。
サッカー選手なんかを見ていても、日本と韓国では骨格の強さがぜんぜん違う。当たりに対する強さというのは、根性だけの問題じゃない。骨格の強さが韓国の選手を当たりに強くしている。
あの真っ白になるまで煮込んで、ゼラチン質のたっぷり入ったスープ。あれこそがスタミナの固まり。
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■ 鈴木正成さん(筑波大学大学院教授)の
「筋肉のタイプ」の話
人間の筋肉は2種類ある。
1つは白筋。これは酸素を貯められない、脂肪を燃やせない、ブドウ糖を燃やす力もそれほど強くない筋肉。しかし、酸素を使わずにブドウ糖(グリコーゲン)を燃やすので、短時間に大量のエネルギーを発生させることができる。その代わり、筋肉を疲れさせる乳酸という物質を作ってしまうので、長時間運動を続けることはできない。表現を変えれば、パワーはあるけどスタミナはない、という筋肉。短距離走の選手などは、この白筋の比率が高い。
もう1つは赤筋。この筋肉は、酸素を補給しないと脂肪やブドウ糖を燃やすことができないので、瞬発的な力は出せない。しかし酸素の供給さえうまく行けば、乳酸も作らないので、長時間の運動を続けることができる。マラソンの選手などは、この赤筋の比率が高い。
「スタミナ」という言葉を、「時間的に長く運動を続ける能力」と定義すれば、赤筋派に与えられた体力だと言うことができる。それに対して、白筋派に与えられるのは「瞬発力」。そして、赤筋の多い人は脂肪やブドウ糖を燃やしやすいので太りにくいが、白筋の多い人は脂肪やブドウ糖を燃やしにくいので太りやすい。
もう少し専門的な話をすると、赤筋は「タイプ1」、白筋は「タイプ2」と呼ばれていて、さらに白筋は「タイプ2A」と「タイプ2B」に分類される。「タイプ2A」は比較的タイプ1に近く、2Aと2Bの間は行ったり来たりができる。つまり、日常的にトレーニングを続けて、タイプ2Aの筋肉を増やすよう努力すれば、本来太りやすい体質の人でも、太りにくい体質に近づくことができる。
ただし、放っておけばいつしか筋肉は2bに戻ってしまうので、恒常的にトレーニングを続けることが必要になる。そこでダンベル体操をやるとか、軽いジョギングをするとか、とにかく毎日、そして一生続けることが大事。
筋肉自体の赤味を強くすることもできる。毛細血管のネットワークを密にする。ミオグロビンという赤い鉄を持った色素を筋肉に増やして、酸素をたくさん貯蔵する。ミトコンドリアという赤い袋、が実際に脂肪やブドウ糖を分解してエネルギーを作るので、その数を増やす。そういった筋肉の赤筋化を促すのがダンベル体操。
基礎代謝というのは、静かな状態で体が酸素をどれだけ使うかという指標で、早朝の目覚めた時に計るもの。これは赤筋の多い人ほど高い数値が出るのだが、ダンベル体操を続ければ、4ヶ月目くらいからだんだん数値が上がっていく。これはすなわち、筋肉の一部が赤筋化しているという証拠。
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■ 日野皓正さん(ミュージシャン)の
「トランペットの体力」の話
トランペット奏者は体が資本。だから体作りのために、ゴルフをしている。ゴルフなら70歳を過ぎても続けられそうだし……という冗談はさておき、トランペットがハードな肉体労働というのは本当。
以前、玄米食をやってみた事もある。でも、旅の多い生活なので、あまりちゃんと食べることができなくて、栄養失調になってしまった。赤血球が半分に減ってしまい、ボーっとしてしまい、音も出なくなった。で、それ以来ベジタリアンを止めて、「ニク(肉)タリアン」として生きている。ただし、太らないようにテニスなどの運動もするようになった。今もよく通信販売でトレーニング用品を買ったりしている。
トランペットを吹くためには体が大事、とは言っても、肺活量が必要という意味じゃない。要するに、健康であることが重要。内臓が柔らかくないと、トランペットは鳴らない。それから運動不足もダメ。もちろん体力的に優れている方が楽には違いないけど、適度に健康な体さえあれば、後は精神力の問題。ゴルフのトーナメントでも、普段はもの凄くうまいのに、大事な場面で崩れて負けてしまう人がいるけど、僕たちも同じで、プレッシャーの掛かるところで力の出るような、強い精神力のあるヤツだけが生き残れる。
その精神力は、長年の経験で培われる部分もあるけど、持って生まれた性格に依るところも非常に大きい。ファイトする闘争心があるかないか、それによって変わる。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 8'00" |
The Surry With The Fringe On Top |
Peggy Lee |
Capitol |
7243 8 56056 2 8 |
| 18'53" |
Stay |
Astrud Gilberto |
Verve |
314 519 801-2 |
| 29'08" |
For Sentimantal Reason |
Dean Martin |
Capitol |
7243 8 55393 29 |
| 39'51" |
Brigas, Nuncas Mains |
Antonio Carlos Jobin & Elis Regina |
Verve |
824 418-2 |
| 45'17" |
Frenesi |
Eydie Gorme |
Capitol |
TOCP-50457 |
|