SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年5月12日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「スポーツ解説」


 今年、サッカーくじ「toto」が始まってから、やけにサッカーの中継を見るようになりまして。それで気付いたんですが、実況するアナウンサーや解説者によって、スポーツの見方というのはずいぶん変わってしまうんですね。
 解説というのは、冷静に選手のプレーや監督の采配を分析するというのが普通ですが、あちらのテーブル席にいらっしゃる金子達仁さんは、「絶叫型」の解説をなさっているんですよ。さっきからみんなの冷やかしの声に、一生懸命言い訳をしてますけど、どう見てもあれは"素"で叫んでいるようにしか見えませんからね。でも、金子さんの解説は、それが面白いんです。
 今日は金子さん以外にも、スポーツ中継の解説者として活躍中の方々が、グラス片手に話し込んでおられます。その話し声に、ちょっと聞き耳を立ててみませんか?



  • 田尾安志さん(野球解説者)の

    「解説者向きの性格」の話

     僕がタイガースにいた時、監督がマウンドへ行くので、ベンチで「まさかこんな所でピッチャー代えるワケないだろう!」って大きな声で言ったら、本当にピッチャー交代だった。しかも止せばいいのに、また大きな声で「おいおい、本当に代えたよ!」って言ったら、後でコーチに怒られた。僕は昔から、そんな風にいつも一言多い。
     でも、言い訳をさせてもらえば、その場面は本当にピッチャーを代えてはいけない場面だった。ピッチャーには、目先の勝ち負けだけじゃなくて、本人のプライドを考えて、長い目でプラスかマイナスかを考えなければならない場面がある。似た例を挙げるなら、野茂が近鉄を離れてしまった理由もそれ。開幕戦のすごく大事な場面で代えられて、代わったピッチャーがホームランを打たれて負けてしまった。それ以来、野茂と鈴木監督の関係がおかしくなってしまったのだが、やっぱりエースという存在は、監督は心中するつもりじゃないとやっていけない。
     という言い訳はさておき、世間で僕はクールな人間と思われているみたいだけど、一言多いせいでいつも上の人間とぶつかることが多い、というのが本当。
     監督に向かって「監督、勝つ野球をして下さい」って言ってしまったこともある。それも野手が全員集まったミーティングで。これも言い訳すれば、監督はチームの成績が悪いことに対して、「若手を育てているから」みたいな逃げ道を明らかに作っていて、それはプロとして絶対にやってはいけないことだから、そう言ったんだけど、言った瞬間、周りはシーンと静まり返ってしまった。さすがに自分でもヤバイと思って、「……例えば、僕たちベテランをもっと叱って下さい」ってフォローしたけど、もう後の祭り。その日の試合は使ってもらったけど、その後は2度と使ってもらえなかった。
     西武時代も、森監督に対してやってしまった。ちょうど清原が入ってきた年のキャンプで、監督室に呼ばれて「秋山の守備をどう思う?」と聞かれた。監督の腹づもりでは、サードの秋山をセンターで、清原をサードで、そして僕をファーストで使いたい、という事だったらしい。でも意見を聞かれて、つい「いくら清原がスター候補とは言え、ファースト、サード、センターと3つのポジションで冒険するのは危険でしょう。とりあえず清原をファーストで使ってみて、使えるようなら2年目からサードにしたらどうですか?」と、正論を吐いてしまった。今でこそ森サンとは仲良くしているけど、どうも当時は「使いにくいヤツ…」と思われていたらしい。
     こんな感じで、僕は現役時代、「意見を聞かれたから答えただけなのに…」という衝突が絶えなかった。でも今は、意見を言うのが仕事だから大丈夫。もしかしたら、今の仕事の方が向いているのかも知れない。

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  • 田尾 安志(ディスカバリー・エンターテイメント)
  • 田尾 安志(Y.A.H.P Corner)



  • 大林素子さん(スポーツキャスター)の

    「選手とテレビの解説」の話

     選手の頃は、やっぱり自分をけなすような解説や実況に対しては、嫌に思ったものだった。それから、実際の選手の心理とは違う解説を、それらしく言われるのも嫌いだった。もう一つ、これは勝手な言い分なんだけど、げん担ぎ的に「あの2人じゃない方が嬉しいんだけどな…」みたいな実況と解説のコンビ、なんてのもあって、結局マスコミはあまり好きじゃなかった。
     本来、選手はテレビの放送を見てはいけないとされている。というのは、解説1つで落ち込んだり勘違いする選手が出ることもあるから。相手を研究するときは、わざわざチームが撮った専用のビデオを見るくらい。でも、やっぱり気にはなるので、こっそりビデオで撮っておいて、後で見ては実況や解説に一喜一憂していた。
     で、今は現役を退いて、解説する側に回ってみて思ったのは、どうしても好きな選手や応援したい選手というのは出てきてしまう、という事。放送を盛り上げるために、ヒロインやスターを作ってしまう、というのはある程度仕方がないと思う。それに乗って本当に活躍する選手もいるし、悪いことばかりではない。実際、私も18歳の時に初めてW杯に出たときに、「大林!大林!」と応援してもらったお陰で実力以上に活躍できたし、その応援に追い付くようにと頑張ったからこそ、その後の私がいたのだと思う。テレビの影響力は、良くも悪くも非常に大きい。
     だから今、テレビで解説をするにあたって、自分の発する一言の影響というのものを、重く受け止めている。
     とは言っても、私はまだやめて4年なので、一緒にプレーしていた人がまだまだ現役でたくさんいる。そうすると、「あの子は次に何のサインを出して、どう打つだろう」とか、下手をすると「あ、あのサインはあのプレーだ」なんて事まで分かってしまって、どこまで言っていいのか戸惑うことも多い。

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  • 大林素子が行く!



  • 谷川貞治さん(格闘評論家)の

    「桜庭の本性」の話

     この間、桜庭がプライドで負けた。でも、桜庭が負けたのは、ファンのために負けたんだと思う。その証拠に、桜庭は1度もタックルに行っていない。相手はブラジル人で、ジェイソンのように凶暴なヤツ。なにも殴り合いに応じる必要はないのに、相手の土俵で勝負したのはファンのためだと思う。
     さらにうがった見方をすれば、桜庭は「ここで負けたらおいしいな」と考えていた節がある。ハッキリと意識していなくても、無意識にそう考えていた可能性は高い。ホイス戦以降、取材嫌いの桜庭が、マスコミの取材攻勢にあっていた現実。そのために練習もままならない日々。そして、いつか訪れるであろうヒクソン戦をにらんで、桜庭ストーリーの中に一度「負けた」というドラマがあってもいいと思ったのではないだろうか。
     桜庭は自身の敗因を「ムカついた」からと語っている。これは非常に珍しいことで、本来の桜庭は、相手のみならず、リング、観客、周りの全てが見えている希有な選手。だからこそ桜庭の試合は面白いのだけど、この間は「ムカついた」から「相手の顔しか見えなかった」らしい。
     そう言った意味では、この間の試合はわずか90秒の試合だったけれど、ホイス戦以来のいい勝負だったと思う。要するに滅多に見れない「桜庭の本性」が見れた、という事。
     例えばホイス戦。桜庭がコーナーでホイスの胴着を脱がしているときに、ホイスに足を踏まれた桜庭は、セコンドに「なんで足を踏んでるの?」と冷静に聞いた。セコンドが「桜庭さん、ホイスはモニター見て蹴ってます」と答えると、桜庭は「なんだよ、見えるわけねぇと思ったのに」と言った。つまり、密着した状態で見えるはずのない足を、モニターだけを頼りに攻撃したホイス。その攻撃を受けても、まったく慌てることなく、即座に状況を把握した桜庭。あの二人の闘いは、そういう一戦だった。
     その桜庭が、ムキになって殴り合いに行ったからこそ、この間の一戦は本当におもしろかった。そして次回の桜庭の仕返しも楽しみ。どうやら桜庭は、1度受けた屈辱は3倍4倍にして返さないと気が済まない性格と見た。桜庭のそんな面が見えたのは初めてだった。

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  • SRS-スペシャルリングサイド(フジテレビ)
  • 桜庭 シウバに負けた!(スポニチアネックス)



  • 金子達仁さん(スポーツライター)の

    「サッカーの楽しみ方」の話

     スカパーのサッカー中継に出演している。だけど、僕に「解説」はできないので、「ゲスト」として出演して、相槌を打ったり感情のままにわめいたりしているだけ。本当にこれで良いのかな、とは思いつつ。
     日本のサッカー解説がヨーロッパと決定的に違うのは、日本の解説はコーチのための解説になっていること。サッカーをやっていた人が、コーチングスクールで習うような事を喋っている。そしてもちろん、そういう解説も必要なんだけど、そればかりというのはどうだろう、と思う。プレーヤーの視点に立った解説ばかりじゃなくて、お客さんとしての視点に立った解説だって、あってもいい。
     プロ野球の解説は、見るお客さんがある程度の知識を持っているという前提が成り立つので、細かい技術的な解説でもすんなり受け入れられる素地がある。ところが、サッカーはまだ受け入れられにくい状況であるにも関わらず、野球と同じやり方をやってしまっている。しかも、解説者がサッカーを楽しんでいないように感じる。見る側は勉強のためでも仕事のためでもなく、楽しみのために見ているので、そのギャップはツライ。
     Jリーグの中継がつまらないとしたら、それは決してレベルが低いせいじゃない。スポーツはどんなレベルでも「賭けているもの」が大きければ面白いもの。だからW杯は面白いし、去年のJ2だって面白かった。ただ、レベルの高い試合の方が、面白みの深みが違う、というだけ。
     サッカーを一番面白く見る方法は、一方のチームに肩入れしてみること。Aチームがチャンスだ、Aチームがピンチだ、と思う方が面白い。サッカーに限らず、どんなスポーツでも同じ。イチローがマリナーズに入って、マリナーズに肩入れしてみているから、今年のメジャーリーグは面白い。

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  • 〜金子達仁のサッカーコラム〜 グリーンカード



  • 戸張捷さん(ゴルフトーナメントプロデューサー)の

    「1980年全米オープン」の話

     1980年、アメリカのニュージャージー州、バルタスロールゴルフクラブで行われた全米オープンで、帝王ジャック・ニクラウスと青木功が、歴史に残る激闘を繰り広げた。初日から4日目まで、ニクラウスと青木は常に同じ組で回り、最後まで優勝を競り合った。
     この試合、日本ではNHKが中継していたのだけれど、実況が羽佐間アナウンサーで、解説が僕。だから今でも光景は、まぶたに焼き付いて離れない。
     ホールアウトした後で青木に話を聞いたら、こんな事を言っていた。こういう球でこういう条件だったら、このクラブでこういう風に打とう、という選択を、体が勝手に考えていた。普通は150ヤードだから7番、という風に頭で考えるものなのに、体が勝手に動いて、しかもその通りの結果が出た、と。
     ところがニクラウスは、さらにその上を行った。
     そして迎えた18番最終ホール。しばらく勝てずに苦悩が続いていたニクラウス、その復活の優勝が近づくにつれて、どこからともなく「Jack is back! Jack is back!」という声がギャラリーの中から上がり始めた。そして2人がグリーンにやってくる頃には、その歓声は1万人以上の大合唱となっていた。
     たぶんその声は、相手の青木にとっても喜びだったんじゃないかと思う。アメリカのギャラリーがこれだけ興奮する相手と、最終日の最終組で一緒に回って、最後まで優勝を競り合えたという事実は、1人のアスリートとして嬉しかったのではないだろうか。
     18番ホールは互いにバーディーを取り、2ストロークの差を付けて、ニクラウスが勝利した。その時期、なかなか勝てなかったとはいえ「帝王」には違いなかったニクラウスと、その帝王に果敢に挑んだ日本からの挑戦者「オレ達の」青木。帝王の復活も嬉しかったし、青木の勇姿には感動のあまり声が詰まった。
     正直な話、やっぱり勝たなくて良かったのかな、とすら考えてしまうほど、素晴らしい闘いだった。

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  • USオープン 日本選手グラフティー 1980年(テレビ朝日)





    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    10'58" More Than Likely Joe Williams Collectable COL-2706
    19'59" Jump For Joy Peggy Lee Capitol CDP 7243 8 28106 2 9
    29'25" Doncha Go 'Way Mad The Hi-Lo's with Rosemary Clooney Sony Music A 24198
    41'04" You're Making Me Crazy June Christy Capitol CDP 7 963292
    46'55" Doody Goody Frank Sinatra Reprise WPCP-5793

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