僕がタイガースにいた時、監督がマウンドへ行くので、ベンチで「まさかこんな所でピッチャー代えるワケないだろう!」って大きな声で言ったら、本当にピッチャー交代だった。しかも止せばいいのに、また大きな声で「おいおい、本当に代えたよ!」って言ったら、後でコーチに怒られた。僕は昔から、そんな風にいつも一言多い。
でも、言い訳をさせてもらえば、その場面は本当にピッチャーを代えてはいけない場面だった。ピッチャーには、目先の勝ち負けだけじゃなくて、本人のプライドを考えて、長い目でプラスかマイナスかを考えなければならない場面がある。似た例を挙げるなら、野茂が近鉄を離れてしまった理由もそれ。開幕戦のすごく大事な場面で代えられて、代わったピッチャーがホームランを打たれて負けてしまった。それ以来、野茂と鈴木監督の関係がおかしくなってしまったのだが、やっぱりエースという存在は、監督は心中するつもりじゃないとやっていけない。
という言い訳はさておき、世間で僕はクールな人間と思われているみたいだけど、一言多いせいでいつも上の人間とぶつかることが多い、というのが本当。
監督に向かって「監督、勝つ野球をして下さい」って言ってしまったこともある。それも野手が全員集まったミーティングで。これも言い訳すれば、監督はチームの成績が悪いことに対して、「若手を育てているから」みたいな逃げ道を明らかに作っていて、それはプロとして絶対にやってはいけないことだから、そう言ったんだけど、言った瞬間、周りはシーンと静まり返ってしまった。さすがに自分でもヤバイと思って、「……例えば、僕たちベテランをもっと叱って下さい」ってフォローしたけど、もう後の祭り。その日の試合は使ってもらったけど、その後は2度と使ってもらえなかった。
西武時代も、森監督に対してやってしまった。ちょうど清原が入ってきた年のキャンプで、監督室に呼ばれて「秋山の守備をどう思う?」と聞かれた。監督の腹づもりでは、サードの秋山をセンターで、清原をサードで、そして僕をファーストで使いたい、という事だったらしい。でも意見を聞かれて、つい「いくら清原がスター候補とは言え、ファースト、サード、センターと3つのポジションで冒険するのは危険でしょう。とりあえず清原をファーストで使ってみて、使えるようなら2年目からサードにしたらどうですか?」と、正論を吐いてしまった。今でこそ森サンとは仲良くしているけど、どうも当時は「使いにくいヤツ…」と思われていたらしい。
こんな感じで、僕は現役時代、「意見を聞かれたから答えただけなのに…」という衝突が絶えなかった。でも今は、意見を言うのが仕事だから大丈夫。もしかしたら、今の仕事の方が向いているのかも知れない。