「K−1」のを始めたのは空手の人。でも、ルール的にはキックボクシングにボクシング的要素を加えたようなものなので、空手の人はなかなか勝てない。
空手は、素手でやる格闘技で、しかも顔面は殴らないというルールでやっている。だからK−1のルールでは、キックボクシング出身の人間の方が有利に決まっている。でも、だからこそ不利な人間がどう頑張るか、という部分で興行的に成功した。
例えば、ピーター・アーツやアーネスト・ホーストはキックボクシング出身。キックボクサーとしても優秀な選手なので、K−1でも当然強い。でも、人気があったのは空手のアンディ・フグだったりした。
実は、キックボクシングも日本で生まれて、日本人がオランダに持ち込んで人気になったもの。オランダという国は、遡れば江戸時代の出島の頃から日本と交流が始まっているんだけど、日本人的な我慢強さと、ヨーロッパ的な合理主義と、バイキングの血の猛々しさで、非常に格闘技に向いているお国柄。しかも、平均身長が世界一高い。だから格闘技、特に日本の武道が大好きだし、強い。
最初にオランダに伝わった武道は柔道だった。朝鮮戦争の時も、オランダ人の傭兵がけっこう居て、その中には日本で柔道を学んだ人が少なくなかった。そういう人達がオランダに帰ってから育てた柔道選手が、アントン・ヘーシングやウイリアム・レスカだったりする。
さらに、「ヘーシングより強い」と言われた柔道家、ジョン・ブルミンという人がいた。この人は、弱小道場出身という政治的な理由でオリンピックに出られなかった人なんだけど、日本へ来たら、2m以上あるブルミンが160cmそこそこの極真空手の人にかなわなかった。それで大山倍達に心酔して、極真をオランダへ持ち帰った。
キックボクシングは、極真から生まれたと言っても良い。野口さんというプロモーターがタイのムエタイを見て、「日本人はコレに挑戦しなきゃいけない」と考え、空手の道場を片っ端から当たっていった。すると手を挙げたのが極真だけだったので、極真の選手が3人、タイへ行って試合をした。結果は2勝1敗だったんだけど、その1敗した人が、黒崎先生と言って、ジョン・ブルミンが一番恐いと言っていた人だった。その人が日本に帰ってきて、悔しさのあまり極真をやめてキックボクシングを始めた。それで、ジョン・ブルミンとの関係で、早くからオランダにはキックボクシングの道場があった。
極真が立ち技を創り、柔道が寝技を創った。日本は、格闘技に関しては、凄い存在。