約50年前、テレビというものが生まれた。それからしばらくの間、つまりビデオデッキが登場するまで、テレビはテレビ番組を見るためだけの道具だった。しかし、ビデオデッキがテレビに繋がれるようになってからは、次々とテレビに繋ぐ機器が作られるようになった。1983年のファミコンを筆頭として、レーザーディスク、VHDなど、80年代初頭には様々な機器が誕生し、テレビに繋げられていった。こうしてテレビは、電波を受信する道具としてよりも、表示用の機械として使われるようになっていった。
当然、この事は、テレビの視聴率に大きな影を落とした。紅白歌合戦の視聴率や、テレビ視聴時間の平均は、80年代を境にガクッと落ちている。以前はみんながテレビを見ていた時間に、マリオをやったり、レイダースを見る人が出てきたのだから、テレビの地位が落ちるのは仕方のないことだった。
しかし、90年代に入って、BSやCS、CATVなどが普及しだし、放送側の巻き返しが始まる。この動きもまた、チューナーという「テレビに繋ぐモノ」を増やしていった。
こうして今やテレビには、様々なものが繋げられ、家庭の居間にはリモコンが溢れるようになってしまった。ある意味、昔よりもいろんな事ができるようになって便利なのだが、考えようによっては非常に複雑で使いにくい状況だとも言える。そこで、全てを一つにまとめられないだろうか、という事が考えられている。
例えば、ありとあらゆる放送や通信のデータを送受信するケーブルを引く。そして、そのケーブルの先にある家庭側の端末に、DVDやビデオのようなパッケージ・メディアの受け皿としての機能も持たせる。そういう端末を、家庭における情報送受信の最上位に置かれる道具と言う意味で「セットトップ・ボックス」と呼んでいる。
セットトップ・ボックスは、まだ概念が考えられているだけで、現実には存在していない。しかし、ソニーのPlayStation2や、マイクロソフトのXboxは、将来的にはセットトップ・ボックスを目指そうとしている。さらに、テレビ自体が進化してセットトップ・ボックス的な存在になるかも知れないし、パソコンがそうなるかもしれない。
何が天下を取るかは分からないが、今までのアンテナとテレビと周辺機器という状況は、そう遠くない将来、変わっていくだろう。