SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年2月17日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「バーリトゥード」

 「バーリトゥード」と呼ばれる格闘技の大会をご存知ですか?その特徴を一言でいえば「ルール無用」。目と金的への攻撃以外は何でもありという、過激な大会なんです。
 元々はブラジルで行われていたバーリトゥードですが、10年ほど前にアメリカで大人気になり、やがて日本にも上陸してきました。今人気の「PRIDE」は、その代表格ですね。
 今日はこの店に、そのバーリトゥードで戦っている方がいらっしゃっています。「霊長類ヒト科最強」と言われるマーク・ケアーを破った藤田和之さん。「北の最終兵器」の異名を持つイゴール・ボブチャンチンを破ったアレクサンダー大塚さん。そして、「400戦無敗の男」ヒクソン・グレイシーに破れ、惜しまれつつも引退された船木誠勝さんもいらっしゃいます。
 やっぱり、命を懸けて戦う男って格好良いものですね。どんなお話をされているのか、私も大いに興味があるのですが、ちょっと聞き耳を立ててみませんか?



  • 谷川貞治さん(格闘技評論家)の

    「バーリトゥードとグレイシー一族」の話

    「バーリトゥード」と言うのは、ポルトガル語で「なんでもあり」という意味。ブラジルでは意外と普通に使われている言葉で、大学の学食で「バーリトゥード・バーガー」なんてのも見掛けた。要するに、パンだけ渡されて、後は肉やキャベツや卵、何を乗せて食べてもいい、というハンバーガー。バーリトゥードという言葉自体は、格闘技を意味するモノではない。
     そのポルトガルの言葉が日本で有名になったのは、あの「グレイシー柔術」が有名になったから。最初に日本でグレイシーが有名になった頃は、今のヒクソンやホイスのお父さん、エリオ・グレイシーが最強だった。
     そのエリオには10人ぐらいの子供がいて、中でも長男ホリオンがなかなかの策士。アメリカのアルティメット大会に参加して、グレイシー柔術の名を広めようとした時にホリオンは、三男にして最強の男ヒクソンではなく、六男のホイスをグレイシーの看板として指名した。これは喩えて言えば、『ゴッドファーザー』におけるジェームズ・カーンとアル・パチーノの関係。ドン・コルレオーネたるエリオの後継者としては、血気盛んでジェームズ・カーン的なヒクソンよりも、多少弱くてもアル・パチーノ的なホイスの方が、一族のために尽くすだろう、そうホリオンは判断したらしい。
     その結果、ヒクソンはむくれる、ホイスは「僕より10倍強い兄がいる」と発言して物議をかもす、ヒクソンはホリオンと喧嘩別れして勝手に動き出す、と複雑な事になっていった。こんな具合に、バーリトゥードの歴史はグレイシー一族の血のドラマでもある。
     バーリトゥードでは、打撃系の格闘技よりも寝技系の格闘技の方が圧倒的に有利だと思う。というのは、人間というのは危険な状態になると「寝る」のが本能だから。これは子供の喧嘩を見ているとよく分かる。最初は殴り合っていても、じきに取っ組み合いになり、最後には転がって上になったり下になったりしている。この最後の上になったり下になったりという部分で強いのが、柔道や柔術。レスリングも強いけど、レスリングは有利なポジションである「上」をどう取るかという格闘技。それに対して、柔道では三角締めや腕ひしぎといった「下」から攻める技術を持っている。
     桜庭が強いのは、レスリングで培った「上」を取る技術を生かして、なおかつそこから無理に攻めないから。他のグレイシーにやられた人は、みんな上から無理に攻めてやられている。

    【Hot Link !!】

  • SRS-スペシャルリングサイド
  • 日刊スポーツ・芸能・インタビュー・ヒクソン・グレイシー
  • ホイス・グレイシー(「フジテレビHP」)
  • ブラジリアン柔術データベース
  • TeamGracie.com(英語)



  • 森下直人さん(ドリームステージ)の

    「PRIDE」の話

     「ドリームステージ」という社名には、「ファンにとって、選手にとっての、ドリームステージ」という気持ちを込められている。そして、「PRIDE」というイベントネームは、「選手一人一人のプライドを賭けて戦う場所であり、そこで選手自身が力を出し切らなければ、もはや選手として生きていけないくらい厳しい環境なんだ」という意思表示。
     ルール的には「バーリトゥード」、つまり何でもあり。ストリートファイトに近く、どんな格闘技がベースの人でも有利不利がないようにしている。
     去年は、桜庭がホイス・グレイシーを倒した試合が話題になったけど、主催者側としては、グレイシー一族と交渉するのは大変だった。ルールの細かい部分で変更を求められたり、試合時間を無制限にして欲しいと要求されたりもした。イベント会場を借りている以上、時間の制限はどうしようもないので、無制限の要求には本当に参った。
     その桜庭vsホイス戦で一番驚いたのは、グレイシー側がタオルを投げ入れたこと。あれだけ勝ちにこだわるグレイシー一族が、まさか自ら負けを認めるとは想像だにしなかった。中盤からずっと桜庭ペースで試合が進む中、何らかの形で桜庭が決着をつけるまで、このまま試合は終わらないだろうと考えていた。
     あのグレイシー一族がタオルを投げ入れた潔さ、心配そうにリングを見上げるエリオの顔、そして最後に桜庭と握手を交わした時のエリオの笑顔が、今でも忘れられない。やっぱりエリオほどの人は、人間的にも大きい。

    【Hot Link !!】

  • PRIDE Official Site
  • Maninichi INTERACTIVE スポニチ ホイス「ひと晩中でも戦う」
  • 日刊スポーツ・バトル特報・PRIDE GRANDPRIX 2000 決勝戦



  • 船木誠勝さん(パンクラス)の

    「ヒクソン戦」の話

     新日本プロレスに入門したのは15歳の時だった。蝶野、武藤、橋本と同期なんだけど、歳が全然違うのでもう大変。例えば、僕はまだ体格が出来ていなかったので、みんなが普通に食べている食事も、吐く直前まで食べた。
     新日本の習慣として、朝食は無い。まず練習をして、その後プロテインとバナナと牛乳を摂る。それからちゃんこを食べて、さらにバナナ1ふさとチーズ1パックを食べる。夕方は間食にラーメン。夜は練習の後に、またプロテイン、ちゃんこ、バナナ、チーズのセット。寝る前もプロテイン。聞いた話では、バナナ1ふさとチーズ1パックは体重増加に良いって言われて食べてたんだけど……バナナとチーズは今でも見たくないくらい食べた。
     ヒクソン戦では、締められている時に「これで終わりだ」とは感じていた。締められていると、最初は苦しい。でも、そのうち苦しいを通り越して、だんだん気が遠くなって、視界が白くなっていく。そうなると、死ぬ、とか、死が恐い、なんて考える力もない。ただ無意識のまま意識が遠のいていく。それはまさに臨死体験。後で思い返しても、15秒くらい記憶が飛んでいる。
     普通ならそうなる前にタップしてギブアップするんだけど、あの試合では絶対にギブアップはしないと決めていた。セコンドも、絶対にタオルを投げないという約束だったので、最初からタオルを持って行かなかった。それはプライドでもあり、自分自身を追い込むためでもあった。
     もし、この先、再びリングに上がるような事があって、あの試合以上の刺激を求めてしまうのなら、もう本当のデスマッチ、負けた方が死ぬ試合しかない。

    【Hot Link !!】

  • PANCRASE Official Site
  • 日刊スポーツ・バトル・高田対ヒクソン
  • 日刊スポーツ・バトル特報・コロシアム2000



  • 藤田和之さん(プロレスラー)の

    「レスリングとバーリトゥード」の話

     僕は打撃系格闘技の経験がないので、相手を殴るということに対してどうしても躊躇してしまう。スパーリングで相手の顔にバンッと当たっても、つい「あっ、すみません!」って言っちゃったり。
     高校時代からの先輩でもあるパンクラスの高橋義生さんと一緒に練習していた時も、やっぱり「すみません!」って言っちゃったら、「バカ野郎、格闘技なんだから殴る方より殴られた方が悪いんじゃないか」と怒られた。小さい頃からこんな体つきだったので、親からも「手は人を殴るためにあるもんじゃない」って散々言われてきた影響もあるかもしれない。でも、人を殴ることで自分の夢を掴めるんだって気付いてから、徐々に切り替えが出来るようになってきた。
     実は、戦わなくて済むなら、戦いたくなんかないし、それに越したことはない、というのが本音。でも、戦うことでしか自分を表現することが出来ない人間なので、戦い続けている。
     試合においては、この技術の攻撃に対しては、この技術で防御して、この技術で反撃する、と考えるのが普通。でも僕は、それぞれを一つ一つの動作として捉えるのではなく、1試合の中の流れとして捉えていきたい。どこで相手のテンションが上がるのか、そしていつ下がるのか、を考えて、それに対しての戦略を考える。例えば、最初の5分は完全に防御に回り、相手の様子をうかがいつつ、次の5分で反撃に出るのか、それとももう5分待つのかを判断したりする。10分も全力を出せるように人間の体はできていないので、そういった戦略は重要だと思う。
     アマレス出身でプロレスラーになって、今はバーリトゥードにも参加しているけど、プロレスの「受ける強さ」はバーリトゥードでも役に立っていると思う。ただし、プロレスの「受け」をそのままバーリトゥードでやると、やられてしまう。というのは、「相手が鍛えているところを打つ」のがプロレスなら、「相手が鍛えていないところを打つ」のがバーリトゥードだから。

    【Hot Link !!】

  • BEAST-1.COM 藤田和之公式ウェブサイト



  • アレクサンダー大塚さんと
     島田裕二さん(バトラーツ)の

    「プロレスとバーリトゥード」の話

    (大塚さん)
     今まで「PRIDE」で戦ってきた中で、一番印象深かったのはイゴール・ボブチャンチン戦。僕がPRIDEというリングに上がっているのは、プロレスというモノをちょっとスカして見ている人達に、「プロレスっていうのはこういうモノだ、こういう強い人間が戦っているんだ」と見せつけてやりたいから。ボブチャンチン戦はその理想に一番近い試合だったかな、と今でも思っている。

    (島田さん)
     試合を見ていて思うのは、大塚選手の長所は運動能力の高さだと思う。ボブチャンチン戦も見ていて確かにスゴイと思ったけど、後でエンセン選手がボブチャンチンに殴られっ放しで負けて病院送りになったり、マーク・ケアーもビビっちゃって、結局バックを取られてやられっぱなしだったのを見るにつけ、後から大塚選手は偉かったなと感心している。
     偉かったと言えば、ヘンゾ・グレイシー戦の時も偉かった。急に8kgも減量しなくちゃいけなくなって、僕たちが焼き肉を食ってる横で、我慢してたし。

    (大塚さん)
     アレは酷かった!あの時に限ってなぜか焼き肉が続いたのも信じられない。みんなが美味しそうに焼き肉を食べている中、僕はタンを2切れだけ食べて、後はサラダだけ。

    (島田さん)
     プロレスの復権のためには、「力道山の空手チョップ」「猪木の延髄蹴り」みたいな、分かりやすいモノが必要だと思うんだけど、大塚選手は何かないの?

    (大塚さん)
     ヘッドバット……はPRIDEじゃできないか。デビューした頃の得意技「殺人スープレックス」を、PRIDEのリングで狙ってみましょうか。

    【Hot Link !!】

  • b@t -battlarts official site
  • Official info/選手名鑑(イゴール・ボブチャンチン)
    (「PRIDE Official Site」)
  • Official info/選手名鑑(ヘンゾ・グレイシー)
    (「PRIDE Official Site」)
  • イゴール・ボブチャンチン(「PRIDE UNOFFICIAL」)



  • 中井祐樹さん(PRAESTRA)の

    「ヒクソン」の話

     ヒクソン・グレイシーと試合をしたのは「バーリトゥード "95」だから、早いものでもう6年が経った。
     あの大会には、ヒクソンや僕を含めて8人の選手が参加したけど、僕は見るからに最軽量だった。今でこそ桜庭選手や佐藤ルミナを始めてとして、体が小さくてもテクニックで世界と渡り合う選手は多くなったけど、当時はまだ重量級でなければ通用しない、という常識が格闘技界では通用していた。その常識に挑みたかった、という気持ちはあったにせよ、無差別級の格闘技大会に参加する人間で、69kgという体重は今でも史上最軽量だろうと思う。当時はシューティングの選手だったけど、ヘビー級よりも3階級も下のウェルター級の選手だったし。
     僕はシューティングの選手としては異色の選手で、柔術にかなり近い「高専柔道」をやっていた。だから、後で「何で殴らないんだ」なんて言われたけど、最初からヒクソンとは寝技で勝負したいと思っていた。
     で、やってみて思ったのは、ヒクソンの技術は本当に洗練されている、という事。力でねじ伏せられたのではなく、テクニックでやられた、という感じ。今ビデオで見返すと、僕の技術がまだまだ拙かったという面はあるにせよ、やっぱりヒクソンは上手だった。

    【Hot Link !!】

  • パレストラ 東京 非公式ホームページ
  • MBS Internet ナウ “高専柔道の神髄”とは





    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    11'27" Let's Go To Brazil Hi-Lo's Reprise WPCR-1134
    28'49" Too Darn Hot Mel Torme verve POCJ-9149
    34'30" Rules Of The Road Nat King Cole Capitol CDP 0777 7 89545 2 1
    42'03" I Never Knew Four Freshmen Capitol 7243 4 95002 28
    48'22" Bolinda De Papel Joan Gilberto World Pacific CDP 7 93891 2

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