SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年2月3日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「雪」

 先週の雪は凄かったですね。雪もたまに少しだけ降るのなら、風情があって良いものですが、積もるほど降られると、車はまともに走れないわ、雪かきはしなくてはならないわ、本当に困りものです。ま、こんな事を言っていると、北海道出身の早樹ちゃんには笑われてしまうんですが。
 今年に入ってから、やけに雪が多いような気がしていたのですが、『日本気象協会・暮らしのデータベース』で調べてみたら、東京はまだ2回しか降っていないんですね。ただし、それが2回とも週末だったのが最悪でした。「センター試験の日は雪」という可哀相なジンクスも生きていましたし。
 そういえば、来週も木曜日の夜あたり、また雪が降るかもしれないみたいですね。まぁ、降ってしまうものは止められないので、せめてあちらの丸テーブル席に座っておられる、「雪」がご専門の先生のお話でも聞いておきませんか?




  • 高橋忠司さん(埼玉大学教授)の

    「雪の結晶」の話

     東京の雪は、南の海へ進んでいく低気圧が降らせるので、水分を多く含んでいる。だから雪の結晶がたくさんくっついてしまい、きれいな雪の結晶を見ることは出来ない。きれいな結晶を見ようと思ったら、たとえば山を一つ越えて薄くなった雲が、チラチラと降らせる雪が向いている。名前を挙げるなら、長野オリンピックで有名な志賀高原、東北だったら米沢あたり。北海道でも、札幌よりは大雪山の方が良い。
     雪の結晶の基本は六角形。その六角形が厚くなるか、横に伸びるかで、様々なバリエーションが生まれる。そしてその変化は、温度によって決まっている。そういう事を最初に研究したのは、北海道大学の中谷宇吉郎先生だった。
     私も大学でそういう事を学生と一緒に研究しているのだが、所属しているのが教育学部なので、学生の多くは卒業すると先生になる。そしてその先生達が、学校のスキー合宿で生徒達にこういった雪の話なんかをしてあげると、感激してくれるんだとか。そういう話を聞くと、教育学部で雪の研究をしているのは意味があることなのかな、とも思う。
     特に子供達が驚いてくれるのは、雪の「型」。今、ここにも「志賀高原の雪」を持っているんだけど、雪は「型」を取ることが出来る。プラスチックの粉を1%くらい溶剤に溶かして、雪の結晶の上にスポイトで垂らしてやる。それを半日ほど置いておくと、結晶の周りを被膜が覆い、その後ゆっくりと水分が蒸発して型だけが残る。

    【Hot Link !!】

  • 中谷宇吉郎と雪の世界(「ハローねっとジャパン 石川発」)
  • 雪の結晶写真館(「ハローねっとジャパン 石川発」)
  • 志賀高原に降る雪(「歩く科学館」)



  • 若松節朗さん(映画監督)の

    「ホワイトアウト」の話

     映画『ホワイトアウト』の撮影中、「こんなに撮影が大変な映画の原作を書いたヤツは誰だ!!」と思ってしまった。それくらい雪山での撮影は大変だった。
     一番最初に撮ったのは、富樫と吉岡のシーン。その時はまだ雪が少なかったので、煙を焚いて織田君に強力なハリケーン(送風機)で吹き付けた。織田君は大変だったと思うけど、まだこの辺では、撮ってる方はそれほど大変じゃなかった。
     「ホワイトアウト」なんて題名の映画を撮っていても、もちろんその現象を経験したスタッフは誰一人居ない。だから最初の内は「こんな感じ?」って感覚で撮影していたんだけど、撮影している最中に本物のホワイトアウトを体験したら、もうスゴイの何の。痛いわ、見えないわ、吹雪くわ、顔は凍るわ……あの映画は、ある意味ドキュメント。織田君の厳しい表情は、すべて本物。
     でも、やっぱり監督としては、織田君の本当に厳しい表情を見ると、つい「やった!」と喜んでしまう。自分も呼吸困難になるくらい苦しいのに、「この表情はイイ!」と思うと、なかなか「カット!」の一言が言えない。それでも織田君はめげずにカットが掛かるまで演技を続けてくれた。だから終わったら、織田君を抱きしめるしかなかった。
     映画の中に出てくる雪崩は、実は合成。最初はダイナマイトで人工的に雪崩を起こして撮影しようとしたんだけど、やっぱりうまく行かなかった。そこで外国のライブラリーから雪崩の映像を持ってきて、CGで合成した。映画の中で墜落したヘリコプターもミニチュアの特撮。そういう技術に関しては、日本映画はスゴイ。
     ヘリコプターと言えば、空撮も大変だった。ヘリコプターは、雪をローターに巻き込んでしまうので、本来は晴れの日しか飛べない。ところが晴れの日にヘリから空撮すると、ヘリの陰が映像に映り込んでしまう。仕方がなく曇りの日を狙って撮影しようとしたんだけど、そういう時に限って快晴続き。しかも大雪原をスノーモービルで走るシーンなんだけど、新雪のままだとスノーモービルは沈みかねないので、何十台もの圧雪車を持ち込んで、全面を圧雪。我ながらバカな事をやってると思うけど、結果としてはそれだけの価値がある映像になったと思う。

    【Hot Link !!】

  • 「 W H I T E O U T 」オフィシャルサイト
  • BATTLE THROUGH 〜WHITEOUT〜(ロケ地のレポートなど)



  • 古後秀典さん(ブリヂストン )の

    「スタッドレスタイヤ」の話

     かつて、冬に使われるタイヤと言えば「スパイクタイヤ」が一般的だった。ところが80年代初頭、スパイクタイヤの金属ピンがアスファルトを削ってしまい、粉塵公害が起こることが問題になった。そこで「金属ピンがなくても雪に強いタイヤを作ろう」という話になり、開発が始まった。
     ところが、それまでは「金属ピンをどう出したら早く止まれるか」とか「金属ピンをどんな角度にしたら抜けにくいか」という研究ばかりしてきたのに、いきなり「ピンなしのタイヤを作れ」と言われても、どうすれば良いかわからない。そうこうしている内に、90年にはついに法律でスパイクタイヤの製造が禁止されてしまった。
     そこで、世界中からありとあらゆるタイヤを集めてきて、片っ端から試験器に掛けて、摩擦力を測定してみた。すると、あるタイヤが比較的摩擦が大きいことが判った。そのタイヤは、タイヤの表面に微細な凹凸が付いていて、そこに雪が入り込んでいるのだった。これが現在のスタッドレスタイヤの原点。
     さらに、それと平行して、氷の上でなぜタイヤが滑るのかの研究も進められた。実は、シベリアなどの非常に気温の低い地域では、氷の上でも普通のタイヤで走れてしまう。ではなぜ日本の道路では凍結路で滑ってしまうかというと、日本ぐらいの気温だと、車の重みや走行熱でタイヤと氷の間に薄い水の膜ができてしまうから。そこで開発されたのが「発泡ゴム」。タイヤのゴムの中にスポンジみたいに気泡を作って、その穴に水を吸収できるようにした。
     タイヤが路面と接しているのは、わずかハガキ程度の面積でしかない。そのわずかな面積に、どんな技術を織り込むのが技術屋の腕の見せ所。その技術の中でもこの発泡ゴムは、特に画期的だと思う。

    【Hot Link !!】

  • Bridgestone
  • 止まれ!スタッドレス部隊(メーリングリストや掲示板など)



  • 新庄雅文さん(「skier」編集長)の

    「スキー」の話

     今年のスキー場は雪が多い。でも、昔と較べればこれぐらい普通で、やっぱり年々雪は少なくなっているのかもしれない。たとえば、昔は信州中野から野沢温泉へ向かう道の脇に2〜3m積もっていた記憶がある。八方へでも、雪で道がふさがってしまって1週間帰れない、なんて事もあったし。
     スキーを愛する人にとっても、スキーのメーカーとっても、そして「skier」という雑誌にとっても、雪が少なくなるというのは由々しき問題。まぁ考えようによっては、雪の積もる地方もあって、常夏の地方もある日本という国は、それでも十分に恵まれていると言えなくはないけど。
     今、スキーの流行りは「スキーパーク」といって、ゲレンデで飛んだり跳ねたりして楽しんでいる人が多い。でもこの先、自然回帰派というか、バックカントリーの新雪の中で、人工的な音が全く聞こえなくて、自分の吐く息やエッジングの音しか聞こえない環境を楽しむ層は、また増えてくるだろう。よくよく思い出せば、元々スキーはそういうスポーツだったし。

    【Hot Link !!】

  • 山と溪谷
  • ゲレンデ積雪情報
  • スキー場検索サービス「SURF&SNOW」



  • 鈴木俊康さん(NKK遊空間エンジニアリング)の

    「人工雪」の話

     私はNKK(日本鋼管)という会社で人工雪の研究をしているのだけれど、そう名乗ると、いつも「なんでNKKで人工雪?」と必ず聞かれる。
     詳しく話せば長い話になるのだけれど、ウチでは昔から南極観測船を初めとする「砕氷船」を作っている。砕氷船といえば、氷を砕きながら進むもの。それで、雪や氷に関する技術はずっと研究してきた。そんな研究をしている内に、「パウダースノーを人工的に作れて、そこで遊べたらいいな」と考える人が出てきて、本当に作ってしまったのが、SSAWS(ザウス)などで使われている造雪機。
     昔から造雪機というものは色々あって、たとえば、ガンタイプと呼ばれる造雪機は、屋外で一般的に使われている。これは気温がマイナス5〜10度くらいになる深夜、圧縮空気と水を同時に吹き出すと、霧状の水滴が地面に落ちるまでに凍り、雪となって積もっていくという原理。ところが、この方式だと粒の大きさが400〜500ミクロンといった、比較的大きい粒子になってしまう。これではパウダースノーとは呼べない。
     そこでウチで開発したのは、非常に微細な水滴を作るためのノズル。その微細な水滴と圧縮空気を同時に吹き出し、マイナス5度で均一に冷やされた屋内空間へ送ることで、数十ミクロンの粒子を作ることに成功した。
     しかし残念なことに、この小さな粒子は風に乗りやすく、屋外で使用すると風であらぬ場所まで運ばれてしまうので、無風の屋内でしか利用できない。

    【Hot Link !!】

  • NKK
  • [[SSAWS Home Page]] スキードームザウス
  • NKK 屋内造雪システム【POP-S-NOWR】(NKKのリリース)
  • ザウス向け“スノークラッシャー(雪粉砕装置)”(NKKのリリース)
  • 製氷型造雪システム (スノーカイザー)(NKKのリリース)





    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    9'02" Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow! Bing Crosby Capitol CDP 0777 7 89587 27
    19'23" Winter Wonderland Peggy Lee Capitol TOCP-50038
    29'13" Baby, It's Cold Outside Johny Mercer & Margaret Capitol CDP 7243 8 32567 2 3
    38'34" I've Got My Love To Keep Me Warm Ella Fitzgerald verve BVCJ-2146
    44'42" It Won't Cool Off Dean Martin Capitol CDP 79 3115 2

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