SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2001年1月27日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ロボット」

 イラッシャイマセ、ゴチュウモンヲドウゾ……なんて、映画"Back to the Future 2" みたいに、ロボットがお店のカウンターで注文を受ける時代も、そう遠い未来の話ではないかもしれませんね。
 だってさっきから、今日この店にいらっしゃっているお客様のお話を聞いていると、そうとしか思えないんですよ。そうなったら、私がカクテルのレシピを1つ覚える間に、ロボットは100も200も覚えてしまうんでしょうねぇ。
 ま、そうなったらカクテルを作るのはロボットに任せて、私はお客様とのお喋りに専念させてもらおうかと思っているんですよ。それだけは、ロボットに負けない自信がありますから。




  • 橋本周司さん(早稲田大学ヒューマノイド研究所)の

    「二足歩行ロボット」の話

     30年前、既に早稲田大学の研究所で二足歩行のロボットは作られていた。当時でも周りの状況を認識したり、声を識別する事はある程度可能だった。
     でも、その30年前のロボットは「静歩行」と言って、どこで止められてもバランスが保てるような歩き方しか出来なかった。だから1歩を歩くのに何十秒も掛かっていた。ところが今のロボットは「動歩行」と言って、常に倒れそうになりながら足を前に出して、バランスを取りながら歩く。そうやってはじめて、ロボットはスタスタ歩く事が出来るようになった。筑波博で動歩行のロボットを展示していたから、そこまでで大体15年くらい掛かった。その後、人工知能の研究なども進み、やっと今の二足歩行ロボットの形になった。
     30年前、早稲田で二足歩行ロボットの研究を始めた頃は、産業用ロボットが脚光を浴びていて、「何でわざわざ二足歩行のロボットを作らなきゃならないんだ」という声は多かった。確かにその頃は、二足歩行ロボットを作る目的は明確になっておらず、むしろ「人間が歩く仕組みの研究」という意味合いが強かった。ロボットで人間の歩行を再現してみることで、人間がどうやって歩いているのかを理解する、という学術的な研究だった。
     でも最近は、二足歩行ロボットが重要な役割を果たす分野もあると考えられている。それは工場で働くロボットではなく、人間の生活空間で働くロボット。人間の生活空間は、人間が動きやすいように設計されている。だからロボットも、人間の動きに近づけた方が便利なはず。
     「いつになったら鉄腕アトムはできるんですか?」という質問をよく受けるけど、「あんなモノはとても無理」と答えることもできるし、「状況や用途を限定すれば、10年以内」とも答えられる。計算処理能力が上がり、モーターやバッテリーの性能も良くなった。ロボットを作る上でバックボーンとなる技術は加速的に向上している。

    【Hot Link !!】

  • 早稲田大学ヒューマノイド研究所
  • WABOT -WAseda roBOT-(「早稲田大学ヒューマノイド研究所」)
  • 二足歩行ロボット(早稲田大学理工学部機械工学科高西研究室)



  • 清水優史さん(東京工業大学大学院教授)の

    「Robocon」の話

     全国の高等専門学校が競うNHKのロボットコンテスト「Robocon」で、参加した高校生にアンケートを採った。すると、高校生が一番面白いと感じているのは、「決められた通りに何かをやるのではなく、自分の好きなように工夫できる事」だった。だから、ロボコンでは毎年テーマを変えて、誰も「正解」が分からないようにしている。
     一応、ロボットの作り方の基本をまとめた「マシン・クックブック」を渡して、基本だけは徹底的に教えている。というのは、アイデアを思いついた先で、駆動部分を作ったり、アームを上げ下げしたり、といった基本のところで悩んでも仕方がないから。そんな事よりも、自分のアイデアを実現するところで大いに悩んで欲しい。そして、そうやって作られたロボットのデキは、本当に良い。
     実際、僕たち大学の教授が同じお題で大会に参加しても、必ず負けると思う。高校生達本人も気付いてないけど、彼らの持つ才能はそれくらい素晴らしい。ただ、普段からその才能を発揮できる場が与えられていないのと、そのせいで本人達にやる気がなくなっているのが問題。
     中には本番で動かないロボットもあるけど、学生の間はそれでも良いと思う。どうせ会社に入ったら、1000回試して1000回動くモノを作らなければいけない。たとえ5回試して半分も動かなかったロボットだったとしても、そのアイデアを実現しようとした経験は、将来新しいモノを開発しようとする時に、必ず役に立つ。
     その良い例が、「両開きの冷蔵庫」。かつてあらゆるメーカーが、左右どちらからでも開けられる冷蔵庫の扉を作ろうとして失敗した。しかし、とあるメーカーが再チャレンジして成功を収めた。その成功の秘訣は、「扉」の専門家をプロジェクトチームに一人も入れなかった事だった。それくらい「常識」とか「知識」は、新しいモノを開発する時に障害となる。

    【Hot Link !!】

  • NHK Official Robocon Home Page
  • 小山高専電気工学科ロボコン製作チーム
  • 京大機械研(大学対抗ロボコンに参加)



  • 川浪隆司さん(SONY)の

    「AIBO」の話

     (ピロ〜ン)これはAIBOの起動音。基本的にコンピュータなので、パソコンの起動音と同じようなもの。「AIBO、おはよう、ご挨拶!」……なかなか言うことを聞いてくれないけど。
     AIBOの声は、犬の声にする事も出来たけど、「ロボット」というコンセプトを大事にしたかったので、あえて電子音にしてある。
     AIBOが作られたのは、「ロボットが家の中にあったら面白いだろう」という発想から。特に日本には「鉄腕アトム」という金字塔があって、エンジニアにもロボットを作ってみたいという人間が多かった。それにSONYでは、昔から画像認識や音声認識の研究が進められていて、それらを一つの形にすると、自分で判断して動く「自律型ロボット」へ行き着いた。
     四足歩行ロボットのプロジェクトが始まったのが、1994年だから約7年前。商品として発売されたのは2年前なのだが、5年でプロジェクトが実を結んだのには我々も驚いた。でも、「ロボット」と言えば、工場で労働を代替するもの、というイメージが強いせいか、社内でも「エンターテイメント・ロボット」というものを理解してもらうのにかなり苦労した。
     さすがにSONYの製品の中でも、「自らから動き出すもの」は他に無い。だからそれに当たって開発や設計の段階でも、いろんなカルチャーショックがあったのでは。

    【Hot Link !!】

  • AIBO(公式サイト)
  • 我が家にAIBOがやってきた(AIBOオーナーのサイト)
  • aibo Owner's Web Ring(オーナーサイトのリンク集)
  • ロボペ研究所(オーナーサイトのリンク集)



  • 広瀬真人さん(HONDA)の

    「ASIMO」の話

     ASIMOは「鉄腕アトム」と言うよりは「鉄腕28号」。基本的に遠隔操作で、人間が操作したらその通りに動くロボットを目指している。
     大きさ的には小学校1年生くらいで、アトムよりも小さい。人間の身近に居て親しみを持てる事も考えて、あのサイズになっている。人間の生活空間でテーブルの上の物や棚の上の物が取れるサイズ、という範囲で検討した結果、ASIMOの身長120cmぐらいがミニマムだろうという結論になった。
     去年、『アンドリュー』というロボットの映画があったけど、本来ロボットというのは人間の従属的な機械だと思う。だからロボットは、アンドリューのように感情を持った機械ではなく、人間が指示した内容を忠実にこなす機械になると思う。ただ、人間との親和性やコミュニケーションというものは大事なので、「パートナー」と呼べる存在にはなっていくと思う。

    【Hot Link !!】

  • ASIMO(HONDAの公式サイト)



  • 瀬名秀明さん(作家)の

    「ロボカップ」の話

     ロボットのワールドカップ「ロボカップ」の取材で、オーストラリアのメルボルンへ行って来た。このロボカップは「ロボットでサッカーをやる」世界大会。世界中のロボット研究者がロボットを持ち寄って、トーナメント戦で順位を決める。
     使用するのは本物のサッカーボール。それがロボットが認識しやすいようにオレンジ色に塗ってある。そして人工芝のフィールドに、1チーム4台のロボットを出す。試合が始まったら、人間は一切手を出してはいけなくて、ロボットが自分で判断して相手のゴールを目指す。
     もう4〜5年も続いているらしいけど、最初の年は試合開始の笛が鳴った瞬間に、ロボットが固まってしまって動かなくなる、なんて事もかなりあったらしい。
     大会はいろいろなカテゴリーに別れていて、その中でも花形は「中型ロボットリーグ」。パネルでボールを「蹴る」ようなロボットあり、自らの体でボールを押してゴールへなだれ込むロボットあり、見ていて非常に面白い。4台あるので、フォワード役のロボットもいれば、ディフェンス役のロボットもいる。
     後のルールは本物のサッカーと同じ。何度も相手ロボットを妨害すると、イエローカードも出る。さらに、チームによっては幾つか戦術を用意している研究者もいる。何枚かフロッピーディスクを用意して、相手の傾向に合わせて、そのフロッピーを差し替えている。
     このロボカップ、2002年の日韓ワールドカップの頃に、日本の福岡ドームでやろうという話になっている。今は車輪で動くロボットとAIBOでしかやってないけど、その時は二足歩行ロボットのカテゴリーも作るらしい。一体どんな試合が見れるのか、今から楽しみ。

    【Hot Link !!】

  • RoboCup Official Site





    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    10'33" This Time The Dreams On Me Jane Christy Capitol Jazz CDP 796 329 2
    20'58" As Long As I'm Singin' Bobby Darin RND CD-1301
    33'32" This Can't Be Love The Moran Quartet 日本コロムビア COCY 757 43
    41'10" Doncha Go Way Mad rosemary Clooney & The Hi-Lo's SONY COL 6406
    50'39" Ain't That A Kick In The Head Dean Martin Capitol CDP 7243 8 29386 20

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