畑正高さん(松榮堂)の
「お香」の話
これが香木(下の写真参照)。香料にも色々あって、例えば、香辛料や薬品として口に入れるタイプの香料は、日常的に接する機会は多い。そのいろんな香料の中でも、白檀と沈香という木質の香りは、日本人の体質に合っていたんだと思う。だから海外から伝わってきた時に、「お釈迦様の国、天竺から伝わった」という触れ込みも相まって、日本人を虜にしたのだろう。
お香では、この香木を砕いて、レシピに基づいて配合するのだが、面白いもので、高級な物同士を混ぜ合わせれば良くなるとは限らない。香木の配合では、良い素材をどう引き立てるか、が鍵になる。喩えて言うなら、スイカに塩をふるようなモノで、どうしてこんなものが香料なの?と言いたくなるような物が、隠し味のように使われている。
配合した香木を、刻んで炭火の上にパラパラとかけてやればお焼香だし、袋に詰めれば匂い袋になる。それから、もっと細かい粉末にして、細く伸ばして固めたら、お線香になる。お線香を作る技術は江戸時代に日本へ伝わったのだが、時間を計れたり、本数で匂いの強さを調節できたりと、とても便利なので非常に普及した。
香木は天然の物だし、微妙に熟成もするので、正確に一定の香りを作り出すのは不可能。だから私達は、よく「ストライクゾーン」と言って、「この範疇に入れば良し」としている。そんな曖昧さも、日本のお香の魅力の一つ。
香りというものは、どんな良い香りでも、濃くなると悪臭に変化する。そして人間の鼻は、一つの匂いにすぐ慣れてしまう。するとどういうことが起こるかというと、同じ香水ばかりを使っている女性は、知らず知らずの内に香りがキツクなる。だから香水は、できれば3種類くらいを使いこなして、一番のお気に入りは、いざというときだけに使うようにした方が良い。そして香りは、雑なモノを沢山使うのではなく、良いモノをちょっとだけ使うのがコツ。
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松榮堂
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土井明さん(高大寺土井)の
「京都の料亭」の話
ウチ(料亭)の料理の値段には、どうしても庭の値段を入れざるを得ない。だから、夜は多少ライトアップしているし、薄暗くても、そこに空間があるという雰囲気を出している。それによって、何人かで広い場所を占有して食事をしているという感覚を、お客さんが受け止めて下さっているのだと思う。
メニューは、あらかじめ毎月のメニューを料理長が決めておきながらも、買い出しに行ったところで良いモノがあったらそれを優先的に買ってくる、という取り決めになっている。だから、お客さんと献立を決めてしまっている場合以外は、その日によって献立は違う。わざわざ「季節のモノを揃えようとしている」ワケではなく、良いモノを仕入れてきたら、自然と季節のモノが中心になっていくだけのこと。特にウチは、東山の周囲の環境のお陰で、意識しなくてもそうなっている。
若い人たちが、コンビニのお弁当みたいに濃い味付けの食べ物を食べ慣れているから、ウチみたいな薄味の味付けは分からなくなっているんじゃないか、という人が多いけど、本当は逆。いままでキツイ味のものばかり食べていた人が、たまたま誰かに連れてきてもらったり、勇気を出して来たりして、ウチの料理を食べると、「なにかよく分からないけど、おいしい」と感じてくれるみたい。そういうのを見ていると、今の若い人は感覚的には絶対に悪くないと思う。ただ、そういう味を知らないだけで、知ったら良いモノだと言うことを直感的に感じることはできる。
「舌は三代」という言葉もあるけど、ウチの考え方は逆で、「伝承」というのは一番悪いやり方だと考えている。人には個性がある。親子の間でも、個性の違いは必ずある。だからその人の個性で、その人にとって一番良い方法を、その人自身が確立しなければならない。親が「その味は違う」と言っても、子供のやり方の方が優れている場合だってある。だからその代その代で、必死に自分の良いモノを追求すればいいわけで、伝えよう伝えようとすると、おかしなものが出来てしまう。
ウチの料理人にも、「下の若い者に教えるな」と言っている。教えると、ロクな事がない。自分で掴んだものは忘れないけど、教えられたものはすぐに忘れてしまう。形だけを真似してしまい、その中にある本当に大事なものは、掴むことが出来ない。
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料亭・高台寺土井
清水久子さん(廣島家)と塚本輝彦さんの
「舞妓さん」の話
昔は60人いた舞妓さんも、今は15人。この11月に芸子さんになる人が1人いるので、14人になってしまう。仕込みさんと言って、舞妓さんになる前の人も5〜6人いるけど、稽古がちゃんとできなければお店出しは無理なので、いつになるかは分からない。
私が舞妓だったのは、もう三十数年前。ちょうど東京オリンピックがあって、新幹線が走り出した頃だった。新幹線ができる前は、東京の宴会に出るのに、京都で宴会が終わってから、みんなで荷造りをして、夜行で東京へ行ったものだった。朝、旅館へ着いてから、支度をして宴会へ出て、また夜行で京都に帰っていた。体力的にはつらい旅だったけど、夜には「おまくなげ(まくら投げ?)」をしたり、修学旅行みたいで楽しかった。
当時は、舞を舞えなかったらお座敷には呼んでもらえなくて、舞妓の世界も厳しいものだったけど、今はもう観光向けというか、とにかく舞妓さんがいなかったらお座敷はキャンセル、なんて事もあるぐらい。
昔はお客さんも優雅だったというか、舞妓さんが60人もいたのだから、それだけお客さんも多かった。今は芸子さんがスナックを経営している場合も多くて、お客さんもそのスナックをご贔屓に回るだけで忙しいみたいだけど、昔はお茶屋さんで遊んだものだった。
京都で一番キレイな遊びをすることで有名だったのは藤山寛美さん。私もお目に掛かった時も、すごく礼儀正しくて、私のようなものにもキッチリご挨拶をして下さって、芸の事でも礼儀の事でも本当に勉強になったのを、よく覚えている。
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舞妓さんコム
変身舞妓着付協会
京都上七軒(舞妓の募集など)
藤田修作さん(花政)の
「花」の話
秋は大人の色の季節。花も、渋く、熟成を感じさせる色を出す。
11月になると、菊も寒菊の良いのが出てくる。鮮やかな色もあれば、紅葉している部分の渋さもあって、そこに白い色を持っていったり、いろいろと面白くできる。
最近は、一輪挿しに凝っている。焼き物や骨董も好きなので、それに合う花はないかな、などと器から入ると、一輪挿しに行き着いた。
一番好きな花は、河原撫子(かわらなでしこ)。花に限らず、奇麗なものはつい女性に喩えてしまう。
奇麗なものは、落ち着いた場所に、何気なしにパッと置くと、非常に落ち着く。料理の世界でも、器に奇麗に盛ったり、そういう感覚は料理屋さんの方が凄いと思うこともある。だから色目とか、料理を参考にすることもある。
打ちっ放しの空間で、青竹に花を挿す、みたいな現代的で無機質な感じも良いと思う。でも、飽きっぽい性格なので、そういう事ばかりやっていると、昔からある日本的な感じも良いかな、と思う。
よく、東京はニューヨーク、京都はパリと比較されるけど、やはり京都には、歴史だけが生み出すことのできる宝物が沢山ある。それを見直して、味方に付けたら、もっと面白い事ができるに違いない。
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匠
小田憲さん(小田章)の
「呉服」の話
「京呉館」といって、人間の「五感」に響く身体に良い事、空間、商品を作って、京都へ訪ねてくる人に触れてもらえるビルを作りたいと思っている。
呉服の「呉」は、中国の呉の事。つまり、呉服とは呉の国の美しい着物、という意味。
不安の多い現代では、「癒し」を求める人が多いけど、それには着物が向いている。着物はだいたいシルク、つまり絹で出来ていて、絹そのものも血行を良くする効果がある。さらに草木染めという天然染料があると、もっと癒される。絹に化学染料を使ってしまうと±ゼロになってしまうけど、絹の上に草木染めを載せていくと、非常に心地よい。
例えば、「肝臓に良い」と話題の鬱金(うこん)。これは元々染料で、鬱金で染めた風呂敷に包んだものは、タンスに入れておいても虫が付かないと昔から分かっていた。それが今になって肝臓に良いと言われるようになって、みんな飲むようになったけど、そういう薬効も草木染めにはある。
戦後、化学繊維が出てきて、着心地が悪いというか、体へのくっつき具合が悪い服が多くなってしまった。やはり、絹、麻、綿といった天然素材の方が、体に良い。
ここ最近は、御所へ早朝散歩に行くのが習慣になっていて、御所では木の「気」を感じるようにしている。時には木に抱きついて、木と一体化することによって、自分の体力、気力を、大地から得ることが出来る。
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うこん(「kaoさんのホームページ」内)
放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 9'43" |
Love Look Away |
Bobby Darlin |
Capitol |
CDP 7243 8 2867 2 8 |
| 19'33" |
Quiet Night Of Quiet Stars |
Nancy Wilson |
Capitol |
0777 7 80409 2 7 |
| 29'25" |
Tea For Two |
Thelma Gracen |
EMARCY |
FJD-3069 |
| 39'25" |
Chez Moi |
Blossom Dearie |
verve |
POCJ-2653 |
| 45'39" |
The Lady's In Love With You |
Annie Ross |
Pacific Jazz |
TOCJ-5349 |
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