SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2000年10月28日の放送内容

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「砂漠」

 生物が生きてゆくにはあまりに厳しく、また、それ故に、非日常的な美しさを湛える「砂漠」。だが、日本人にとって、その存在はあまりに遠く、その本当の姿を知る人は少ない。
 例えば、砂漠は本来「沙漠」と書き、水の少ない地域全般を指す。すなわち、土だらけの「土沙漠」や、岩だらけの「岩石沙漠」、そして砂だらけの「砂沙漠」も、すべて「さばく」なのである。「砂漠=沙漠」と思っている人も多いだろうが、砂漠(砂沙漠)は沙漠の一部に過ぎないのだ。
 そんな基本を押さえつつ、向こうの丸テーブル席で、実際に砂漠を見てきた驚きを、身振り手振りを交えながら、夢中で語っている人の声に聞き耳を立ててみよう。きっと、楽しくも貴重な体験談が聞けるに違いない。




  • 渡邊健一さん(放送作家)の

    「サハラ砂漠」の話

     サハラ砂漠は、やっぱり凄い所だった。
     当たり前だけど、何にもない。何にもないと、宇宙が大きい。分かりやすく言うと、上から下まで360度、ぐるっと見回したときに、目線の上はすべて宇宙。そして、目線の下に、わずかに地球が見える。その風景は、あたかも宇宙にいるかのよう。この風景を見ながら、宇宙に思いを馳せ、「星の王子さま」を書いたサン・テグジュペリの気持ちが分かったような気がした。
     もっと驚いたのが、空気がムチャクチャ澄んでいるせいで、月が半月や三日月に見えないこと。三日月は、地球の影になっている部分が見えないから、あの形に見えるワケだけど、砂漠だと、影になっている部分もハッキリ見えてしまう。これは日本では絶対に体験することの出来ないであろう、本当に驚いた出来事。
     日本はあまりに恵まれた土地なので、つい、地球が人間にとって非常に居心地の良い空間であると考えてしまう。でも、砂漠へ行くと、植物もないし、水もない。自分の他に、生きている物は何もない。すると、地球も、月と同じ天体の一つだったんだと、実感することが出来る。
     ところで、砂漠のど真ん中まで行くのに、車で8時間くらい掛かったのだが、その途中、白バイに追い掛けられるという貴重な体験をした。そこはもう、砂漠に入った後で、こんな所でスピード違反を取り締まってどうする?!と思うような場所。でも、こっちが日本人だと分かると、警官が腕時計を見せながら、ニヤッと笑った。その腕時計は、カシオの腕時計。どうも「オレはお前の国の物を使ってるんだゼ」と自慢したかったらしい。そこで調子を合わせて「オ〜、カシオ!」とか言っていたら、許してくれた。カシオの時計も捨てたもんじゃない。

    【Hot Link !!】

  • サハラの旅(「CQNet HomePage」内)
  • モロッコのサハラ砂漠
  • サハラマラソン体験記



  • 山村礼子さん(国際ラリーライダー)の

    「砂漠の砂」の話

     砂漠の朝は、水がないなりに湿気がある。バイクを置いておくとちゃんと結露もする。だから砂も湿気を帯びていて、かなり走りやすい。ところが、日が昇って暑くなってくると、砂もバフバフになってしまい、まともに走れなくなる。そして、また日が落ちると、少しずつ固まっていく。
     だから、レースで勝負するなら朝。多少体調が悪くても、「ココで行かなきゃ、どこで行く!」と飛ばしていく。そしてお昼は慎重に。風紋がまったく見えないので、落差に気が付かず、30mくらい飛んでしまうこともある。
     砂の色でも固さが分かることがある。黄色、白、紫がかったピンク、うっすらと黒い砂、この辺は柔らかい。だから、そういうところを避けて走る。
     砂漠の砂は、顕微鏡で見ると、まるで宝石。いろんな色があって、大きさも全部違う。そして、同じ砂漠でも、隣の町へ行っただけで、色が全然変わってしまう。砂漠を走ると、生まれたばかりの砂丘もあれば、古い砂丘もある。太平洋側だったり、地中海の近くだったり、そういう条件で、砂漠はクルクルとその表情を変える。地球は本当に面白いと思う。
     そういえば、この間、砂漠に行ったときは、ストーンサークルをやたらと見掛けた。あの、石が丸く並べてあって、そこでお祈りしたり、夏至や冬至の太陽の方角が分かったりするヤツ。砂漠の真ん中で石を見つけて、その上で写真を撮ろうとしたらストーンサークルだったとか、石の陰でトイレをすまそうとしたらストーンサークルだったとか。何十何百と見た。
     私がよくおみやげに拾ってくる珪化木という石は、1500万年前、サハラ砂漠が森だった頃の木が、化石化した物だし、土器も石器もゴロゴロしている。「砂漠って何もないでしょ」という人は多いけど、何もないどころか、日本よりもいろんな物があると思う。砂漠へは、一度は行ってみるべき。日本人の頭の中にある、広さの概念が、きっと変わる。

    【Hot Link !!】

  • RE-ECOホームページ(山村さんのサイト)



  • 嶌信彦さん(ジャーナリスト)の

    「ゴビ砂漠」の話

     「砂漠」と言うと、一面の砂というイメージがあるけど、僕が行ったところは草原だった。草原と言っても、そんなに密度が濃いワケじゃなくて、言うなれば「土砂漠」だった。
     下が堅いお陰で、車に乗っていると、10秒おきに天井や前へ頭をぶつけるほど、派手に揺れる。しかもボロい車だったので、時々ドアが開いてしまう。だからどこかに掴まりながら、ドアをロープで固定しての、大変な旅だった。
     当然、アスファルトの道があるハズもなく、車は、前に通った車のわだちだけを頼りに進む。ところが、雨が降って池のような水たまりができてしまうと、大きく迂回するか、一気に突っ切るかしなくてはならない。一度、あまりに深くまで水たまりの中まで潜ってしまい、このまま立ち往生してしまうのではないかと思ったこともあった。砂漠の旅は、そんなスリルに満ちている。
     砂漠には、もちろん街はないし、オアシスもない。少なくとも、僕が行った所はそうだった。3〜4軒の小さなゲルキャンプが、ところどころにあるだけだった。  でも、そのキャンプの周りの草原は、本当に素晴らしかった。そしてその草原の先には、白い砂丘が広がっている。そしてその砂丘からは、我々のイメージする、いわゆる「砂漠」が見渡せる。青い空に、白い雲。残念ながら星は見れなかったけど、そこで満天の星でも見れたら、もう言うことはなかっただろう。  そして、その帰り。「どれくらい掛かりますか?」と聞くと「1時間」と言う。来る時に3時間と言って5時間だったから…なんて考えながらの帰り道だったんだけど、日が落ちて暗くなってからも、道がちゃんと分かるのには驚いた。西部劇で見た覚えのある、石を積んだ道標のようなものを所々で見掛けたので、それが目印になっているのかもしれない。
     ジープで走っていると、遊牧民が側へ来て、ドコドコはあっちの方だよ、なんて話をしているの見ていると、時の流れがゆったりとしているのを感じた。砂漠では、時間の観念がまったく違う。

    【Hot Link !!】

  • 嶌信彦のあれも言いたい、これも言いたい
  • モンゴル情報局「しゃがぁ」
  • 南ゴビ砂漠・ワイルド珍道中(「Shigeko's travel HomePage」内)



  • 松本聰さん(東京大学農学部教授)の

    「地球の砂漠化」の話

     普通の神経の持ち主なら、砂漠は、そう容易く住めるところではない。
     まず、砂漠には、長い乾期と短い雨期がある。そして、長い乾期の間に、弱い動物は次から次へと死んでいく。これは「淘汰」と呼ばれる自然の掟。だから、至る所に動物の死骸があって、それが腐敗している。
     どうも、日本人が初めて砂漠へ行くと、この現象をいわゆる「砂漠化」だと思ってしまうようだが、それは違う。これは乾期の砂漠の、当たり前の姿。
     そして、雨期が来ると、人間が喜ぶのみならず、全ての動物が活動を活発化する。もちろん、蚊や蠅も例外ではないので、マラリアが発生してしまう。だから雨期には、風土病には十分注意しなくてはならない。
     私も、三十数年前、イランの土漠で農業開発のプロジェクトに参加した時に、皮膚がただれて大変な目にあったことがある。ところが、その時たまたま日本から持っていった軟膏を塗ったら、ピタリと治ってしまった。どうも、現地の微生物がウブで、現代医学の薬に対する耐性をまったく持っていないらしい。翌朝、私のテントの前には、どこでその噂を聞きつけたのか、長蛇の列ができてしまい、これまた大変だったのだが。
     地球の陸域の1/3は砂漠。ここへ進んでいかないと、人類が利用できる土地は、もうあまり残されていない。そして、人口が増えているのも、この砂漠地域。
     しかし、中国を例に取ると、中国の農村では、子供が重要な労働力になっている。牛の世話をしたり、ロバの世話をしたり、子供が親の仕事を手伝うのは当たり前。だから子供は財産である。そう考えられている。だから中国の一人っ子政策は、西の砂漠地域に行けば行くほど、まったく効果を上げていない。
     似たような考え方は、世界中の砂漠地域でなされている。しかも、過酷な環境の中、乳児の死亡率は非常に高い。だから、単純にバースコントロールをしてくれと言っても、それは無理な話。逆に、安定した時期になると、自然と乳児の死亡率が下がり、出生率も低下する。そういう生物としての人間の機能というのは、非常に興味深い。
     こんな風に、地球の砂漠化と人口の問題は、まさに人間の問題。決して日本人に無縁の物ではない。

    【Hot Link !!】

  • 東京大学大学院農学生命科学研究科・東京大学農学部
  • 中国の沙漠化(「中国環境問題の現状」内)
  • 砂漠化とは?(「税務会計情報ネットTabisLand」内)



  • 菊地優さん(旅行会社「道祖神」)の

    「砂漠ツアー」の話

     割と気軽に行ける砂漠なら、ナミビアのナミブ砂漠。ナミビアはアフリカの南の方、南アフリカの一つ上で、ココなら10〜12日くらいのツアーで奇麗な砂丘を見ることができる。直行便がないので、南アフリカ経由でナミビアの首都ウインドルックへ行き、そこから車で8時間くらい。成田からだと30時間くらい掛かる。
     ずいぶんと遠いようだけど、中国やモンゴルの砂漠では、日本人がイメージする砂丘は少ない。タクラマカン砂漠やゴビ砂漠は土漠が中心で、一部が砂丘になっていても、見渡す限りの砂漠、というのは残念ながら見れない。
     個人的に一番キレイだと思うのは、ニジェールのテレネ砂漠と、スーダンのヌビア砂漠。草木が1本もなくて、粒の揃った砂が一面に広がり、混じりっ気がない。これぞ砂漠!という風景を見ることができる。こういう所へ行くには、3〜4日かかって現地に入り、現地に入ってからも車で2日、という行程になる。
     そういう砂漠の奥まで行くツアーだと、4WDの車をチャーターし、キャンプ用品、水、食料を全て積み込んでの旅行になる。当然、その間、3〜4日はお風呂もシャワーもない。せいぜい限られた水を使って、顔と手を洗うくらい。しかも、砂嵐に遭うと、まさに「砂を噛む思い」を実体験することになる。食料は缶詰を開けたサンドイッチが多いけど、砂嵐の時は全部ジャリジャリ。大なり小なり、砂漠のツアーでは1度は体験する事になる。
     確かに、砂漠ツアーはツライかもしれない。でも、そんな経験は、日本では絶対に経験することはできない。だから、何年経っても忘れられないし、絶対に人に話したくなる。ナミビアのツアーで30万円くらい。絶対にオススメ。

    【Hot Link !!】

  • (株)道祖神 冒険王!
  • (ナミビア共和国(「サラリーマン・バックパッカーの海外旅行」内)
  • ナミビアとケープタウンの旅(「Todd’s Web」内)
  • ナミビア写真帳(「バイオリン弾きの写真帳」内)




    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    8'45" Fancy Meeting Bing Crosby & Rosemary Clooney RCA R25J-1003
    18'17" Caravan Nat King Cole Capitol CDP 7 48328 2
    29'03" It's Sand Man! Lanbert Hendricks & Ross impulse GRD-112
    40'21" Hit The Road To Dreamland Diahnn Carroll RCA 743214 78629
    47'08" A Night In Tunisia June Christy Capitol CDP 0777 7

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