SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2000年9月9日の放送内容

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「スピーチ」

「人民の人民による人民のための政治を、この世から消滅させてはならない」(エイブラハム・リンカーン)
「国が貴方に何をしてくれるかではなく、貴方が国に何が出来るかを考えて欲しい」(ジョン・F・ケネディ.)
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」(ダグラス・マッカーサー)
「アカデミーの受賞スピーチでは、3つのGを忘れないこと。すなわち、Gracious(上品に)、Grateful(感謝を忘れず)、Get off(とっとと消えろ)」(ポール・ホーガン)
 結婚式やパーティーでスピーチを頼まれても、こんな気の利いたセリフは、なかなか浮かばないモノである。どうすれば楽しいスピーチ、せめて無難なスピーチが出来るのか……AVANTIのカウンターで聞こえる常連客たちの話に、そのヒントを探してみよう。




  • 隈部まち子さん(大正大学講師)の

    「結婚式に向かない名言」の話

     結婚式でスピーチをするという友達に頼まれて、名言集を貸した。その友達がサマセット・モーム(イギリスの小説家)の「良い妻は夫の秘密に触らない」という言葉をスピーチで使ったら、式場中が引きまくったらしい。
     それから、「男を老けさせる物には4つある。不安・怒り・子供・悪妻」っていうユダヤの言葉も、名言集に載っていたりする。確かに名言で、普段聞く分には面白いんだけど、こういう言葉は結婚式には向かない。
     もし使うのなら、「男」と「女」、「夫」と「妻」を入れ替えると良いかも。サマセット・モームの言葉なら「良い夫は妻の秘密に触らない」となる。モームの言葉そのままだと、けっこう洒落にならないんだけど、こっちなら意外と丸く収まる。
     でも、「悪妻」を言い換えるのに適当な言葉がない。「愚妻」という言葉もあるけど、「愚夫」と言う言葉もない。女性をけなす名言は沢山あるんだけど、男性を悪く言う名言はほんの少ししかない。これは何とかして欲しい。
     スペインの結婚式では、「結婚とメロンはひょっとしたら美味いのに当たる」とか、「結婚は宝くじ、当たりよりも外れの方が圧倒的に多い」なんて堂々と言って、陽気に盛り上がる。日本じゃまだまだそういう雰囲気じゃないけど、いつかそうなれば良いなと思う。

    【Hot Link !!】

  • XXX world of O.Nakamura(名言・迷言・奇言・珍言集)
  • 名言紹介屋(名言おみくじなど)
  • 『365日英語の名言集』(「horizon」内)



  • 江川ひろしさん(日本話し方センター所長)の

    「スピーチの練習」の話

     アメリカは多民族国家なので、コミュニケーションを取ろうと努力しないと、お互いに理解し合えない。だから挨拶も上手だし、学校でも表現の力を磨くことに力を入れている。
     一方、日本人は、「目は口ほどに物を言う」とか「以心伝心」という言葉が昔からあるように、「話す」という事の訓練は必要がなかった。だから日本人は話すのが下手なんだけど、これは勉強すれば上手になる。スピーチにはルールがあるので、そのルールを守って勉強すれば済む話。
     まず、スピーチをする際、紙に書いておくというのが間違い。丸暗記は丸忘れにつながるし、話し言葉と書き言葉は違う。よく「本日はお日柄も良く…」なんて言う人がいるけど、普通の生活で「本日は」なんて言葉を使う人はいない。大勢の前だから立派に話をしなければいけない、と思うのがそもそも違う。聞き手が1000人いようが、話の基本は1対1。話す方から見たら1000人に見えるかも知れないけど、聞く方にとっては自分と話し手の1対1。だから1対1の、普段の言葉遣いや話し方を使う方が自然。紙に書いておくのも、話したいポイントだけを、大きな紙に大きな字で書いて、それを持っていく。
     そして大事なのが、実際に声に出して練習しておく事。その時に、時間も計っておいて、3分のスピーチなら3分で終わるようにまとめておく。3分のスピーチなら、20回練習したって1時間。そのくらいの時間なら、会社の往復の間で練習できる。そうやって40回50回と練習する内に、どんなにスピーチが苦手な人でも自分から喋りたくなってくる。

    【Hot Link !!】

  • 日本話し方センター



  • 嶌信彦さん(ジャーナリスト)の

    「スピーチ上手のアメリカ大統領」の話

     もうすぐアメリカの大統領選挙。ディベートや演説で激しい戦いが繰り広げられることだろう。
     かつて、ケネディとニクソンが大統領の座を争った時の話は、伝説になっている。アイルランド出身でカソリックのケネディに、WASPのニクソンが負けるはずがないと言われた大統領選。しかし時代は、ラジオからテレビに主役が移り変わる時だった。テレビ写りに気を使い、服装や視線に気を配ったケネディと、演説のみに力を注いだニクソン。二人のディベートは、テレビで見た人はケネディの圧勝、ラジオで聴いた人はニクソンの圧勝と、二通りの受け止め方をされた。そして、その選挙に勝ったのは、ケネディだった。
     こんな具合に、ディベートや演説の技術も、時代によって変わってくる。現在のクリントン大統領も、ディベートはかなり上手い。
     日本の聴衆と対話集会をした時も、中小企業の人が手を挙げて発言した後に、ちゃんとその人の名前を覚えて、答えを返していた。「○○さんが中小企業で困っているとおっしゃいましたが、私が生まれたアーカンソー州もアメリカの田舎、同じように中小企業を営んでいる人が沢山いて…」と、いきなり一般論を話すのではなく、相手の立場に一度立ってからモノを言った。こういう言い方をすると、説得力が違う。
     沖縄サミットの時も、クリントン大統領が中東から沖縄へ向かう時に、出発が1時間半ほど遅れたという。しかし大統領の指示で、エアフォース・ワンの速度を最大まで上げ、途中で空中給油してまで、むりやり定刻に間に合わせたとか。アメリカの大統領が止むを得ない理由で遅れるのだから、そこまで急がなくても、と普通は思う。しかしクリントンは、聴衆が炎天下の中1時間半も待たされ、その結果スピーチが台無しになってしまうことを恐れた。
     そして自らも炎天下の下に立ち、汗も拭わずにスピーチをした。さらにTV局へ「なぜ大統領に日傘を出さない」という抗議が寄せられた頃に、今度はサッと横から人が出てきて、大統領の汗を拭った。こういう風に、アメリカの政治家、特に大統領になるような人は、スピーチを聴いている人、見ている人との連帯感を大事にしている。

    【Hot Link !!】

  • 米大統領:「平和の礎」で演説(「毎日Interactive」)
  • クリントン大統領(「Area2」内・プロフィール)
  • 2000年米大統領選(「asahi.com」内)



  • 金沢篤憲さんと島和英さん(早稲田大学雄弁会)

    「演説のコツ」の話

     演説は、自分の主張を相手に伝えるための一つの手段。この場合、相手とは説得対象すべての事で、1人の場合もあるし、数百人の場合もある。でも、ホームページに書けば、千人以上の人に見てもらえる事もあるわけで、人を説得しようと思ったら、いろんな方法を持っておくべき。
     演説の下手なヤツは、文章を書かせても下手。どちらもコツは、自分の伝えたい事をハッキリさせること。1年生の原稿を見てるとよく分かるんだけど、いろんな事を言いたい、書きたい、1つに絞れない、となってしまう人が多い。だけどスピーチみたいに、限られた時間で自分の考えを伝えるには、とにかくそれをズバッと言うのが一番。だから「1つに絞る勇気」が大事。そのためには、自分の内向きに「自分の言いたい事とは何か?」を問い直すと良い。
     弁論大会で与えられる時間は、だいたい10分弱。そうすると、原稿用紙7〜8枚程度で話をまとめなくてはならない。僕も経験があるんだけど、言いたい事を1つに絞った、それをまとめた、でも10枚になった。まぁ、これくらいなら何とかなるだろうと思って大会へ行く。これは大抵、悲惨なことになる。事前の練習ではなんとか時間内に収まっていても、いざ本番となると緊張したり力が入ってしまったりして、絶対に時間が足りなくなる。その結果、最後の一番言いたいところを大急ぎで読み飛ばしてしまい、わけの分からない演説になってしまう。
     ところで、雄弁会には「会旨」というのがあって、コレは60台の先輩も知っているような伝統ある文。いつもは発声練習に読んでいるんだけど、ちょうどそれが弁論口調なので、今日はちょっとそのさわりを…
    「我が、早稲田大学雄弁会は、経国済民の志を有する、情熱と実践力とに溢るる、学生の集まりであって、大隈老公建学の精神たる学の自由と独立を趣し、雄弁技術の演練と、理論の究明と、社会的実践とを通じて、発展して止まざる日本国家、並びに社会の進運に供せんとするものである。」

    【Hot Link !!】

  • 早稲田大学雄弁会



  • 渡邊健一さん(放送作家)の

    「スピーチのツボ」の話

     放送作家という職業柄、結婚式やパーティーでは「おもしろいスピーチ」を期待されるのがツライ。「おもしろいこと言うよ…」とか「ホラ、掴みに入ってるよ…」とか言われてしまって。普段、こっちが仕事で「これじゃなきゃウケないんですよ!」と言ってる分、「あんだけ言ってんだから、ウケるんだろうな!」みたいな期待を、ここゾとばかりに掛けてくる。
     でも、スピーチの上手い放送作家を見たことがない。僕も数え切れないほどスピーチをしてきたけど、うまく行ったと思うのは、父親の葬式で喪主として挨拶した時だけ。なんでそうなのかと考えてみるに、スピーチというのは立場が無いとダメなんだと思う。
     立場があるという事は、聞く側に聞く動機があると言うこと。部長なり局長なりが話す時は、最初から聞く姿勢が出来ている。話の「つかみ」なんか、する必要もないし、中ぐらいのつかみでも大つかみになってしまう。「世の中には3つの木がある」なんて、普通だったら馬鹿馬鹿しくて聞けたもんじゃない。でも、「元気、本気、勇気」なんて部長が言えば、みんな「良いお話だった」となってしまう。
     ところが放送作家という職業は、世の中のヒエラルギーとは別の所にいるので、なにかの立場に寄りかかって喋る、という事が出来ない。普通の会社員でも、結婚式のスピーチで、中途半端な年次とか役職だと、非常に喋りにくいのでは。
     僕が父親の葬式の挨拶だけうまく行ったのは、「喪主」という立場があったからだと思う。でも、喪主の挨拶で、おもしろいスピーチをしたのは、実は失敗だったのかも。

    【Hot Link !!】

  • 婦人公論・井戸端会議(「ほぼ日刊イトイ新聞」内)




    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    8'57" Too Marvelous For Words Abbe Larne BMG BVCJ-7356
    11'38" The Message Eydie Gorme CBS/SONY 32DP696
    32'01" Today I Love Everybody Harold Arlen Columbia CK52722
    40'20" Take To Me Keely Smith Jasmine JASCD 322
    45'50" Three Little Words Jhon Pizzarelli BMG BVCJ-115

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