小坂忠さん(ミュージシャン兼牧師)の
「ゴスペル」の話
昔、とある事故で、当時2歳にならないくらいの娘が火傷を負った。女の子だけに心配になり、クリスチャンの祖母の勧めもあったので、教会に通って娘に火傷の跡が残らないよう祈っていた。すると不思議なことに、1ヶ月ほどで火傷の跡は奇麗になくなってしまった。そんなことがあって、自然と「神様はいるんじゃないだろうか」と思うようになり、教会にも足繁く通うようになった。これが、僕とゴスペルとの出会い。
日本で一般的にゴスペルというと、ブラック・ゴスペルを思い浮かべる人が多いけど、僕の考えではゴスペルは、いわゆる「音楽のジャンル」ではない。ゴスペルというのは、その音楽の持つメッセージの問題。だからゴスペルはジャズでも良いし、カントリー、フュージョン、ブラック、何でも良い。僕は昔ロックをやっていて、今はゴスペルをやっているんだけど、それは宗旨替えをしたんじゃなくて、自分の内面が変わった為に、音楽的な表現が変わっただけ。
最近のゴスペル・ブームは凄くて、僕もカルチャーセンターみたいな所でゴスペル・コーラスを教えているんだけど、若い女の子、特に20代後半から30代の女性が大勢習いに来る。根本的に歌が好きなんだけど、カラオケじゃ機械相手でつまらないし、みんなでコーラスをする気持ち良さもある、という事でゴスペルを選んでいるみたい。
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Blackgospel - JAPAN!
GOSPELjapan(リンク集)
湯川れい子さん(音楽評論家)の
「エルビス・プレスリー」の話
エルビス・プレスリーはアメリカ南部、ミシシッピー州のテュペロという田舎町の、貧しい家に生まれた。あまりの貧しさに、白人にしては珍しく、黒人区に住んでいたほどだった。
エルビスはその町で、黒人のお爺さんがギター片手に歌う南部ブルースを聴きながら育つ。さらにエルビスは、彼の家の向かいが黒人教会だったため、その教会の音楽も聴いていた。そして、エルビスの母親はキッチンで、白人音楽のカントリー&ウェスタンを掛けていた。
こうした複雑な環境で育ったエルビスは、白人音楽と黒人音楽の両方を、自然に取り込んでしまった。だからこそカーター大統領は、エルビスが死んだ時に「アメリカの文化を創った人が死んだ」と嘆いたのだった。
残念ながらこのエルビスの背景は、あまり日本には伝わらなかった。例えばエルビスがテレビで歌っていると、「下品だ」と言われて下半身を写してもらえなかった。でもこの動きは、エルビスが子供の時に見た、黒人教会で牧師が説教をする時の動きをイメージしていたんだとか。そういう誤解が多くて、エルビスは不当に批判されることが多かった。
黒人教会に言わせれば、エルビスはロックン・ロールなどという商業主義的な悪魔の音楽に、魂を売り渡した裏切り者だったし、そういった意味では、エルビスの周りは敵だらけだった。でも、自然体でゴスペルとロックの垣根を取り払ってしまったエルビスだからこそ、大衆は圧倒的に支持したのだと思う。
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名曲物語「Can't Help Falling In Love」 (「名曲物語 」HP内)
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平井堅さん(シンガー)の
「本場のゴスペル」の話
「Love Love Love」を出したのは、もう2年以上前。当時、僕が一番ゴスペルに傾倒していた時期で、僕なりのゴスペルへのリスペクトを掲げた力作だった。
僕がデビューしたのは95年の5月だったんだけど、その2ヶ月前に事務所の方針で、1週間N.Y.に行かせてもらった。その時にゴスペル・ツアーに参加して、教会で行われている日曜日のミサを見たのが、ゴスペルにはまった直接のきっかけだった。手拍子が段々早くなっていって、泣き崩れる人や「ジーザス!ジーザス!」と叫び出す人がいるその様子は、初めて見た僕にとって衝撃的だった。そして音楽的な好き嫌いとは別に、人に向かって音楽を作る自分と、神に向かって歌うゴスペルの違いに、興味を持った。
そして、先日、5年ぶりにN.Y.へ行って、また教会でミサを見てきた。そうしたら、最初に見たときと意外と印象が違うものだった。やっぱりトリップしてしまう人はいるんだけど、5年前に感じた距離感を、今回は意外と感じなかった。というのは、「オー、ジーザス!」とか言って倒れたりするんだけど、そういう人向けにちゃんと看護婦が現場に用意されていたり、倒れた人も5分くらいしたらケロッとしてまた戻ってきたり。
どうも彼らにとって、毎週そこに行ってゴスペルを聴くというのは、間違いを犯したり人を妬んだりというネガティブな感情を癒すための、日常的な習慣みたい。だからゴスペルは、崇高な音楽というよりは、身近で、みんなで一緒に歌うための音楽なんだということを強く感じた。
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Ken Hirai(公式サイト)
THE CHANGING SAME 平井堅(「Sony Music Online Japan」内・オンライン試聴)
LOVE LOVE LOVE(ファンサイト)
亀渕友香さん(ゴスペルシンガー)の
「ゴスペルのレッスン」の話
ゴスペルのミュージシャンは、子供の頃から教会で歌いながら、音楽的なことを学んで育つみたい。ドラムをやりたい子は、とりあえずドラムの前に座らせて、とりあえず叩かせる。子供は、見よう見まねで叩く。先輩達が叩いているのを、隣で見て憶える。そうやって、皆、プロになっていく。
だから、私が29の時にN.Y.でレッスンを受けたときも、まずコピーから始まった。楽器の人も、「チャーリー・パーカーが持つようにサックスを持て」と言われていたり。「同じスーツを着ろ」「アルシャン・フランクリンのような体になれ」なんて事も言われた。形を真似るところから入るというのは、とても面白いと思った。
そして、そのコピーが自分のモノになってくると、自然にクリエイティブな事がやれるようになってくる。というのは、やればやるほど、自分がアルシャン・フランクリンにはなれないことが判ってくるから。そこで、自分のフレーズを作らざるをえなくなる。
そして、向こうの人はよく練習する。そのこだわりようは、日本人の遙かに上。「まずはコピーから」と「ひたすら練習」、この2つをN.Y.で学んできたんだと思う。
ゴスペルの練習には、詞をたくさん読む、なんてのがある。これは一つ一つの言葉を丁寧に歌う練習。「マッスル(筋肉)を使え」と教えられるんだけど、ただ口を大きく開ける練習もある。世の中のイメージとは逆で、ゴスペルには「大きな声で歌う練習」というのは無い。大きな声は、あくまで言葉のニュアンスに過ぎない。
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ゴスペルを歌おう〜ヴォイストレーニング入門(「PanaMusica」HP内・NHK趣味悠々テキスト)
三郎のホームページ(ゴスペルコーラス教室など)
村上てつやさんと黒沢カオルさん(ゴスペラーズ)の
「ゴスペラーズの目指すモノ」の話
(村上さん)
中学生の時に、ビリー・ジョエルの「Longest Time」という曲をCDで聴いても、アカペラって判らなかった。ところが、友達にビデオを見せてもらったら、ライブの途中で急にバンドのメンバーが楽器を置いて、舞台の前に集まってアカペラで歌い出した。それを見て、いつかやるしかないな、と。
そして高2の時、「Mama, I Want To Sing」というミュージカルを見に行って、やられてしまった。人が歌っているのを聴いて、その歌詞の意味などに関係なく、純粋に歌に涙を流したのは初めてだった。
それで、最初は真似から始めてみた。ところが、ゴスペルは実際問題、無理。難しすぎた。なんとかかんとか、山下達郎さんの真似とかをやっていた。
(黒沢さん)
村上は早稲田に入って、すぐサークルに入っていたみたいだけど、僕は2年になってから。誘われて入ってみたら、テイク・シックスの真似をしている奴らが数人いた。今はそうでもないけど、当時はテイク・シックスの音楽を聴くと、もの凄く熱くて「スゴイことやってる」みたいな感じがあった。そういう奴らが集まって、グループを組んだ。名前も自然と「ゴスペラーズ」に決まっていた。
熱く歌おうがクールに歌おうが、それはゴスペルという事とは関係がない。神様に向かって歌うとか、感謝の気持ちを歌うとか、聖書のことを歌うとか、そういった宗教音楽がゴスペルであって、ゴスペルっぽい歌い回しがゴスペルの必須条件じゃない。でも僕らは、何かに向かって人が歌うときに、歌だけであれだけの工夫やチャレンジをする、その姿勢に痺れたんだと思う。
最初は「語り」から入り、だんだん盛り上がっていって、シャウトしている頃には、聴いている方もトランス状態になっている。そういう激情的な部分を求めて、ゴスペラーズは結成された。
【Hot Link !!】
The Gospellers(公式サイト)
G-FILE(ファンサイト)
放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 8'33" |
Amazing Medley |
小坂忠&ゴスペルクワイヤー |
MICHTAM |
30MCD-1042 |
| 19'27" |
An American Trilogy |
Elvis Presley |
RCA |
07863 67455 2 |
| 30'37" |
Love Love Love |
平井堅 |
Sony Records |
SRCL 4264 |
| 39'46" |
Ain't No Way |
Aretha Franklin |
Atlantic |
20P2-2365 |
| 47'40" |
A Dream Goes On Forever |
The Gospellers |
kiloon |
KSC2 132 |
|