SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2000年7月8日の放送内容

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「鉄道の旅」

 1872年(明治5年)10月14日、新橋−横浜間に日本最初の鉄道が開通した。その当時、列車の運行は1日にわずか2往復であった。
 それから100年以上が経った現在、年間の鉄道利用者は延べ225億人、輸送貨物重量は7356万トンにも及んでいる。(1996年統計)
 もはや我々の生活に欠かすことのできない「鉄道」であるが、その利便性以上に鉄道に魅せられる人も多い。
 今日は隣の席で熱く語る鉄道ファン−通称「てっちゃん」の話に、聞き耳を立ててみるとしよう。



  • 種村直樹さん(レールウェイ・ライター)の

    「釧網本線」の話

     今、JRのローカル線の中で、一番面白いのは、北海道の釧網本線。かなり長い線路で、普通列車に乗ってコトコト揺られていくと、3時間あまり掛かるのだが、その間に4つの車窓の変化を楽しめる。
     釧路から出て、まず左側に見えるのが釧路湿原。広々とした湿原の眺めは素晴らしいし、また運が良ければ、タンチョウヅルのつがいが羽を広げている様子を眺めることもできる。列車に慣れている様子で、列車のすぐ近くまで寄ってくる。
     次にやってくるのは、丘陵地域の針葉樹林。釧路から網走に行く途中、峠を一つ越えなければならないのだが、そこが針葉樹林になっていて、その中を単線の線路がカーブを描きながら登って下る。キツネがピョンと飛び出してきたり、リスが走っていたり、なんて様子が見れることもある。
     丘陵地帯を抜けると、今度は一面のビート畑。「緑」という駅名は、他に思いつかなかったのではないかと思わせるほど、鮮やかな緑が見渡す限り広がっている。林から抜けた開放感と相まって、本当に気持ちが良い。
     そして、最後にポンと現れるのがオホーツク海。知床斜里駅から網走まで、列車の右側はずっと海が続く。線路は砂浜のすぐ脇を通っていて、7月の始め頃ならハマナスがピンクの花を咲かせている様子、秋は釣り人が鮭を一本釣りしている姿、冬は左手の結氷した湖に飛んでくる白鳥、そして春直前には流氷、と様々な景観を楽しめる。
     このように、釧網本線は4つの景色の変化、それも季節によって変わる景色を楽しめる。こんなローカル線に乗って欲しいというのは、私からのオススメであり、かつお願いでもある。

    【Hot Link !!】

  • 釧網本線の写真(「きんちゃんの駅弁倶楽部」内)
  • 釧網本線の冬 〜鋼の鼓動〜(「Vector」内・フリーの写真データ)
  • 種村直樹レイルウェイライター友の会リンク集 (ファンのサイト)



  • 米長邦雄さん(棋士)の

    「旅行」の話

     旅行は鉄道に限る。それも各駅。新幹線で行った方が早い場合でも、わざわざ各駅で行くこともある。
     そうは言っても、残念ながら仕事に追われるので、いつも各駅でのんびりと出来るワケじゃない。そこで、例えば大阪出張に行くなら、普通は新幹線で日帰りになるところを、どこかで泊まるようにする。それも、大阪じゃなくて、奈良とか京都とか、ちょっと目的地を外したところに泊まる。
     京都へ出張するなら、米原から琵琶湖を北上して、長浜あたりに泊まる。長浜と言えば鮒寿司。強烈な匂いのする寿司だけど、僕はアレが好きで、鮒寿司を食べつつ、その辺の宿に泊まるのが楽しみ。宿はビジネスホテルだったり民宿だったり、そんなに大層な所じゃなくていいから、素泊まりにしてもらう。海辺の宿だったら、1泊2食にして、刺身だけ特別に注文するのもいい。
     いつもこんな調子なので、当日、現地の人と「○時○分に駅の改札で」と待ち合わせをすると、向こうは新幹線のホームから下りてくると思っているところに、後ろからきて「お待たせしました」と挨拶するものだから、必ず驚かれる。
     鉄道旅行の一番大事なことは、空気に触れること。新幹線で東京から博多に行ったとしたら、博多に着いた時、車内にはまだ東京駅の空気が残っている。でも在来線なら、窓を開ければ空気は入れ替わる。大都市のホテルも新幹線と一緒。在来線に乗り民宿に泊まれば、その土地の空気に触れることができる。

    【Hot Link !!】

  • 米長邦雄ホームページ
  • ゆっくりしてきや湖畔の街で(長浜市)



  • 青木真美さん(運輸調査局)の

    「香港の鉄道」の話

     香港の鉄道は面白い。香港はコンパクトな土地にいろんな種類の輸送手段が集まっているので、乗り物好きにはたまらない。
     有名なところで、2階建ての電車やバス。それからLRTという、路面電車と普通の鉄道のちょうど中間のネットワークがある。路面電車のように乗りやすく、しかも電車のようなスピードが出るという乗り物で、新しい空港から比較的近い新界という場所にある。そういえば、新界へ行くフェリーも面白い。新界へ行くフェリー以外にも、香港島から他の島へ行くフェリーはいろいろ出ている。
     普通の鉄道なら、香港から広州へ行く特急が面白い。日本の近畿車輛が作った車両が入っていたり、スウェーデンのX2000みたいな車輌があったりする。その特急を使えば香港−広州間は日帰りが可能で、私も去年のGW、広州の地下鉄オープンを見学に行った。もっとも、その時は試験運転中止と言われてしまい、実際には乗れなかったんだけど。
     香港には路面電車もあるし、地下鉄もある。フェリーの種類も様々だし、バスも2階建てとミニバスの2種類が走っている。バラエティに富んだ乗り物をいっぺんに乗れるという意味では、とても楽しい場所。
     そういえば、乗り物好きにオススメなのが、香港島の方から2階建てのバスで新しい空港へ行くルート。香港島の端の方から、海岸沿いを通って九龍半島の海岸線に抜けるのだが、途中にすごいコンテナ基地がある。船で貨物を揚げて、それを鉄道に乗せ替えて中国国内へ運ぶための基地で、その規模は日本ではちょっと見られない。
     香港の鉄道は日本よりも進んでいるところもあって、例えば、乗車券はICカードがすでに3〜4年前から導入されている。「八達通(オクトパスカード)」と言って、バッグの中にそのカードを入れておくだけで、ゲートを通るときにちゃんとチェックしてくれる仕組み。地下鉄、一部のバス、空港連絡鉄道、九龍鉄道などで使えて、非常に便利。

    【Hot Link !!】

  • 財団法人 運輸調査局のホームページ
  • 今天的香港電車散見
  • 香港1(「LRT情報」内・残念ながら閉鎖の模様)
  • ヨーロッパのLRT(「路面電車を考える館」内)
  • 「たこカード」の正体 (「香港あんな話・こんな話」内)



  • 西村晃さん(経済キャスター)の

    「電車から見える看板」の話

     仕事柄、出張が多くて、ホテルで年間170泊もしている。それで『出張の達人』という本を書いた。本の趣旨は、仕方なく出張に行くのではなく、出張を楽しもう、ということ。
     例えば、新幹線に乗っていると、田んぼに看板が立っているのをよく見掛ける。あれを野立て看板と言うのだが、ある時、その野立て看板を、東京から博多まで、ずっとメモしてみた。
     最初に気付いたのが、超一流の自動車メーカーや家電メーカーの看板がないこと。「毛皮のエンバ」とか「武富士」とか、それなりに堅実なんだけど、そこそこ、といった感じの会社が多かった。
     そんな事を考えながらメモしていくと、これは道中、飽きることがない。普通にノートへメモを書いていてはおっつかないので、ポストイットに書いて、片っ端から窓に張り付けていった。車掌さんには「危ないヤツ」という目で見られたけど。
     東北新幹線で気が付いたのだが、上野を出て田端の辺りで高架を走っていると、なぜかビルの上に、仙台のお菓子や笹カマの看板が出ている。東京に仙台名物の看板というのもおかしな話だけど、どうも「おみやげ忘れるな」という意味みたい。こんな風に、それぞれの看板の意図を考えるのも楽しい。
     ある時、「看板のご用命は○×広告社へ」という看板に電話番号が書いてあるのを見て、その会社に電話したこともある。それでわかったのが、東京から大阪までの看板は、ほとんど1つの業者が作っているらしい、ということだった。
     「727」という看板が気になって調べてみたら、「727化粧品」という通販系の化粧品会社の看板だった、という事もあった。それまで727化粧品なんて見たことも聞いたこともなかったけど、その看板はかなりインパクトがあって憶えていたので、サブリミナル効果じゃないけど、それに類する広告効果はあると思う。
     ところで、野立て看板を調べていく内に、気になった事が一つある。三島や新富士の辺りでは、東京から大阪へ向かって右側に、富士山が綺麗に見えるのだが、そうすると左側の看板は誰も見ていない可能性が高い。それなら看板の料金も安いのだろうかと考えて、例の看板会社に電話を掛けて聞いてみたら、料金は変わらないのだとか。人ごとながら、左側の看板が見られているかどうか、とても気になっている。

    【Hot Link !!】

  • 新幹線沿線野建て看板調査(「よひクンのページ」内)



  • 須田鷹雄さん(競馬評論家)の

    「鉄道ファンの見分け方」

     「廃線跡巡り」というのは、鉄道ファンの間ではポピュラーな趣味。国土地理院の昔の地図を手に入れて、今の地図に昔の線路の跡を書き込んでいく。そしてその跡に沿って歩くと、ちょっとした草むらに、鉄道が走っていた頃の名残が見つかったりして、それを楽しむ。撤去し忘れた勾配票なんか見つけた日には、写真に撮って「鉄道ジャーナル」に報告の勢い。普通の人には解りにくいかもしれないけど、それが鉄道ファンにとっては楽しい遊び。
     さりげない会話の中でも、鉄道ファンは見分けられる。旅行中、時刻表を見ながら「次の○×駅で、この電車に乗り換えはできますか?」と車掌さんに聞くのはよくある光景だけど、鉄道ファンならそうは聞かない。「次はつばめ13号に接続とりますか?」と聞く。「接続をとる」というのは、遅れている列車の到着を待って、次の列車の発車を遅らせることなんだけど、こんなのは基本中の基本。さらにコアな人になると、「ツバメ13号」が列車番号になる。というか、列車番号と言っていること自体が甘くて、これは「レツバン」と略さなくてはならない。
     緑の窓口で申込用紙を書くときも、普通は駅名を「東京」とか「新大阪」と書くところを、カタカナで「トウ」とか「シオ」と書いている人がいたら、それは鉄道ファン。これは「電略」といって、その昔、電報で情報を伝達していた時代に、少しでも文字数を減らすために考え出された略号で、各駅ごとに略号が決められている。名古屋は「ナコ」、京都は「キト」。この辺をちょっと使ってみると、あなたも鉄道通ぶることができる。

    【Hot Link !!】

  • 須田鷹雄商店
  • 京浜東北線こぼれ話第2節(「京浜東北線と愉快な仲間たち」内)
  • 鉄道雑学辞典 No.37「鉄道連絡網」
    (「汽車・博物館・流山・&ゲストブック 」内)




    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    8'36" Ridin' High Peggy Lee Capitol 7243 8 54543 25
    19'00" On The Actchtan Topeka & The Santa Fe The Four Freshmen Capitol CDP7243 8 32566 24
    31'36" Lulu's Back In Town Mel Torme Bethlehem COCY-9937
    38'07" I've Never Been In Love Before June Christy Capitol CDP 954498
    45'43" Night Train Kay Starr Jasmine JAS CD 307

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