SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2000年4月22日の放送内容

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト


「東京再開発」

 AVANTIのある麻布界隈は、電車で行きにくいことに掛けては都内でも指折りの場所と言われている。
 AVANTIなら最寄りの日比谷線広尾から歩いて10分といったところだが、その坂下の麻布十番に至っては、日比谷線の広尾、六本木、神谷町の各駅、そしてJRの田町駅(=都営三田線・浅草線の三田駅)の中央に位置するため、どの駅から歩いても15分は掛かってしまう。
 だが今年、いよいよ麻布十番駅が誕生し、この辺りも東京再開発の波に飲み込まれようとしている。これまでそのアクセスの悪さゆえ、若者を寄せ付けぬ「大人の街」としてひっそりと佇んできたこの街は、どう変わってゆくのだろう。
 麻布に限らず、今、東京では、オリンピックを控えて建設ラッシュとなった60年代以来、40年ぶりとも言われる規模の再開発が進行中である。21世紀の東京は、いったいどんな街になるのだろう。隣の席から聞こえてくる話に、そのヒントがありそうだ。ちょっと聞き耳を立ててみるとしよう。




  • 種村直樹さん(レールウェイ・ライター)の

    「大江戸線と南北線」の話

     今年、東京の地下鉄が大きく変わる。
     まず、都営地下鉄12号線改め大江戸線が、国立競技場まで伸びた。元々この地下鉄は、「環状」と言い習わされてきた地下鉄で、以前から練馬の光が丘から新宿までは通っていた。それがとりあえず、ちょっとだけ伸びた格好なのだが、年末には環状部も開通を予定している。
     ところで都営地下鉄12号線は、新宿からグルッと東京を一周してまた新宿に戻るので「環状」と呼ばれていた。「ゆりかもめ」に対抗して「夢もぐら」なんて愛称も作り、新聞発表までしていた。ところがこの12号線、実はグルッと回って新宿に戻ってきた電車が、また来た方へバックしなくてはならない構造になっている。これが山手線だったら、電車が常にグルグル回っているので「環状線」と呼んでもおかしくないのだが、12号線は「環状」ではない、という意見が出てきた。そこで名付けられたのが「大江戸線」。この名前が良いかどうかは、なかなかに物議を醸しているところ。
     名前はともかく、この大江戸線の環状部が開通すると、この店の近くにも「麻布十番駅」が誕生する。これまでは飲んだ後の帰りが大変だったけど、これからは楽になるだろう。
     それから9月には、営団地下鉄の南北線も一気に伸びる。これまでは赤羽岩淵から溜池山王まで来ていたのが、溜池山王から目黒までの区間も開通する。この南北線も麻布十番を通るので、この界隈はさらに便利になるだろう。
     そしてさらに、南北線の新駅、白金高輪駅には、これまで三田で止まっていた都営地下鉄三田線が伸びてくる。南北線は東急目蒲線と相互乗り入れになるわ、そこに三田線も乗り入れるわ、とにかく今年の東京は、地下鉄が大きく変わって便利になる。

    【Hot Link !!】

  • 東京都交通局<都営地下鉄>
  • 東京における新たな交通ネットワークの形成(大江戸線の詳細)
  • 営団地下鉄(なぜかYahoo!ではがついている)
  • 「南北線溜池山王・目黒間、平成12年9月26日(火)に開業」



  • 青山やすしさん(東京都副知事)の

    「東京の道路」の話

     今、都内の道路を広げようと、あちこちで工事をしている。
     道路の改善というのは、道路事情以外にも様々な効果を生む。例えば道路を広げると、沿道の建物が後退する。それを機会に、平屋や2階建てだった建物が高層化することが多い。戦後50年が経ち、街全体が機能更新時期にきているので、この機会に道路を広げながら、街の再開発を進めようという意図も持ってやっている。
     東京の道路というのは、全国の道路に与える影響も大きい。東北から関西へ抜けるのに、高速道路だけで通ろうと思ったら、現状では首都高の環状線を使わざるを得ない。皇居と芝公園を囲むこの環状線、長さはたったの15km。ここに東名、中央、関越、東北、常磐、各高速道路からの車が集中するので、混んで当たり前。そこで圏央道、外環、首都高中央環状を作って、交通量を分散させようとしている。
     首都高中央環状線は、池尻大橋で東名と繋がるのだが、これが大変な難工事。なにせ山手通りの地下を走ってきた高速道路が、高架の高速道路にジャンクションするものだから、ループ状のスロープを造ったり、いろいろ工夫が必要になる。先日、やっと計画が決まり、いよいよ本格的な工事が始まるところ。
     山手通りの下は、シールド工法でモグラのような機械が掘っている。ちなみに初台オペラシティの前だけ鉄板が張ってあるのは、あそこからモグラを入れているから。一頃、あの辺りで地下鉄の工事をしていたので、「なんで地下鉄工事が終わったのに、まだ工事中なんだ」と言われることも多いけど、実はさらにその下を掘っているせい。

    【Hot Link !!】

  • 東京都のホームページ
  • 東京都都市計画局
  • 建設中の高速道路(「日本道路公団東京建設局」内・やや重いので注意)



  • 森浩生さん(森ビル株式会社取締役)の

    「施設の開発」の話

     かつて森ビルでは、一つ一つのビルを造るという「点」の開発しかしていなかった。しかし、1986年のアークヒルズをきっかけに、ホテルや住宅、商業施設などを組み合わせた「面」の開発に乗り出した。
     しかし、ただオフィスビルを造っていた会社がいきなり複合施設を造ろうとしても無理なので、アークヒルズの前にプロトタイプとして造った施設がある。それがラフォーレ原宿だった。そこで商業施設のノウハウを蓄積し、その結果としてアークヒルズが誕生した。
     新しいところでは、お台場のビーナスフォートも森ビルの施設。宮本オーナーのソフトと森ビルのハードを組み合わせて、あのショッピングモールは造られている。
     次は六本木6丁目に大きな商業施設を造っている。土地の面積だけでも、アークヒルズの2倍。オフィスやホテル、住宅、放送センター、劇場、美術館などを組み合わせた複合施設になる予定。ショッピングスペースも、新宿高島屋並みの広さをとる予定なので、ここにはビーナスフォートで培われたノウハウが生かされるだろう。オープンは2003年春の予定。平日だけじゃなく、土曜、日曜も人が集まる、24時間生きている街のような施設。そして、文化的なものも楽しめ、エンターテイメントもあり、ショッピングもレストランも沢山ある、そんな場所にしたいと思っている。

    【Hot Link !!】

  • 森ビル(アークヒルズの店舗紹介など)
  • ラフォーレ原宿
  • 六本木六丁目計画



  • 槇文彦さん(建築家)の

    「ヨーロッパの街と日本の街」の話

     パリやローマの街並みと、東京の街並みが違うのは、文化が違うから。
     絶えず侵攻され侵攻し、歴史的にその状態がずっと続いてきたヨーロッパでは、街が自分たちの存在の証だった。言葉を変えれば、街は、彼らの文化の記憶の装置として考えられてきた。
     ところが、「国破れて山河あり」という言葉もあるように、山や川、森といった「自然」こそが永遠の存在であると考える日本人は、街を自分たちの歴史の証にしようとは考えなかった。紙や木で造った家に住んでいること自体、ある種の非永遠性を許容してきたとも言える。
     例えば、第二次世界大戦でワルシャワという街はヒトラーやソビエトによって、徹底的に破壊された。そして戦後、ワルシャワの市民が真っ先に行われたのが、街の再興だった。再興しようにも古い建物で図面もなく、写真も残っていない場合は、チョコレートの箱に書いてあった絵を元に図面を書き起こしたことさえあったらしい。それくらい同じものを造るということに執念を持っている。
     ヨーロッパの古い町では、建物の高さも20〜22mと、だいたいの相場が決まっている。それより高くても低くてもダメ。誰かが「お金がないから」といって、それより低い建物を建てるのも許されない。この辺も、「〜mより高い建物を建ててはいけない」という規制を設けている日本とは違うところ。
     そんなこだわりを持つ割に、合理主義者でもあるヨーロッパの人は、街を造るときには最初にインフラを整備する。道路を造り、下水を造り、水道を引いて、というところから始める。それに対して日本は、自然を慈しむとか、もののあはれといった心情を大切にしてきた。その違いが街の景観に現れている。
     18世紀、江戸は世界最大の都市だったといわれるが、同時に世界最大の田園都市でもあった。緑が豊かで、植生も豊か。水系も良く、雨も良く降り、あちこちに鬱蒼とした森があった。だから今、東京という街を再開発するにあたって、ヨーロッパ的な整備をするよりも、緑との共存を積極的に計る方が、日本らしいのかもしれない。

    【Hot Link !!】

  • 建築MAP(世界各地の建物紹介)
  • 槇 文彦(「GALLERY 間」内・プロフィール紹介)
  • A Presence Called Architecture(「GALLERY 間」内・槇さんの展覧会)



  • 河野雅明さん(三菱地所)の

    「丸の内の再開発」の話

     丸の内では、ビルを建て直すという計画が、発表されただけで10棟もある。丸の内は昭和40年代にできた街なので、新しい街、例えば品川とか、世界的に言えば香港とかシンガポールに対抗するために、新しく造り替えようとしている。
     明治生命や興業クラブのような、かなり古いビルは、逆に文化財として残すことになっている。古いけれども、その由緒ある雰囲気が良い。そしてその横に、新しい高層ビルを建てる。新旧の調和が見所になるだろう。
     元々、皇居前の「丸の内」という場所は整然と造られていて、朝になるとサラリーマンがドッとやってきて、6時をすぎるとドッと帰って誰もいなくなるという街だった。でもこれからは、6時になると他のエリアからも人が来るような、大人の街にしようとしている。
     丸ビルは、前は高さ30mだったのが180mになり、上の2フロアはレストラン街になる。お店も100店舗ぐらい入って、すごく華やいだ雰囲気になるだろう。周囲にはいろんなお店もできたし、国際フォーラムができて以来、若い人も丸の内に来るようになった。だけどやっぱり、渋谷とは違って大人の街になると思う。
     新しい丸ビルが完成するまで2年半。その頃には、かつては銀行の街だった丸の内も、銀行の統合で店舗が減り、その後にいろんなお店が入っているはず。丸の内はこれからが楽しみ。

    【Hot Link !!】

  • 三菱地所
  • 丸ビル街区開発計画
  • 大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会




    放送曲目リスト

    Time Title Artist Label Number
    9'13" Don't Sleep In The Subway Frank Sinatra Reprise 1022-2
    20'06" Rules Of The Road Nat King Cole Capitol CDP0777 789545 2-1
    29'54" Lile Is For Livin' Pegge Lee Capitol 7243 8 54543 2 5
    39'10" The Best Thing For You Jackie & Roy MCA MVCJ-19007
    44'49" On The Street Where You Love Dean Martin Capitol 7243 8 54546 2 2

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