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「恋愛の障壁」
バーのカウンターで酒を飲みながらする話の中でも、華と言えるのが恋の話。ここAVANTIのウェイティングバーもご多分に漏れず、夜も更けてくると恋の話に花が咲く。長い人生経験を刻み込んだ渋い声から、妙齢の女性の麗しき声まで、それぞれの抱える背景は様々だが、その話から窺われる想いの重みはみな同じのようだ。 しかし話に山場がなくては面白くないように、恋には障壁がなくてはつまらない。少なくとも、他人の恋の話の場合は。 だから今日は、「恋愛の障壁」の話に、耳を傾けるとしよう。
西田善太さん(BURUTUS編集部)の
恋愛はタイミングだと思う。昔、ある男性の部屋に行ったときに、そう思った。一人暮らしの男性の部屋に上がって、「夜景がキレイなんだ」とか言われて電気を消され、こっちもそれなりにその気なっていて…という、完璧なシチュエーション。「何か飲む?」と言われて、「混ガス」と答えてしまったのがケチの付け始めだった。「ゴメンゴメン、ガス入りのミネラルウォーターのコト」とフォローしても、「ウチ、バーじゃないんだから、そんなモノ置いてないよ」と言われ、ちょっと気まずい雰囲気に。そしてさらに、彼が飲み物を用意している間に、ふと買いそびれた雑誌が置いてあることに気がついた。どうしても読みたい記事があったので、暗がりの中で眼を近づけて一生懸命読んでいると、彼が呆れた顔をして「ゴメン、暗かったね」と行って電気をつけてしまった。その日は結局、雑誌のコピーをもらって帰ってしまい、その後、彼とは会っていない。恋愛はつくづくタイミングだと思う。
男の人は、女性が自分のモノになったと思うと安心してしまい、すぐに浮気しだす。だから女性は、「会っていない間、一体何をしているのだろう」と思われるような、謎の部分を作っておくのが、恋愛を長持ちさせる秘訣。だから部屋の鍵を渡したりちゃ絶対にダメだし、同棲なんてもってのほか。そもそも、同棲ほど男性に都合のいい状態はない。社会的責任はないし、親に挨拶とかしなくて良いし、生活費は折半だし、その割に家事は女性がしているし、いつでもHはできるし…と、男性にはイイことずくめ。だから何よりもまず、同棲は絶対に良くない。そして男の人は、仕事という女性に秘密の時間があるのに対して、女性の場合はそれが難しい。昔はお父さんが電話を繋いでくれない、みたいなところで秘密な部分を作れたのに、今はドアを開けたらすぐベッドルームみたいな部屋に住み、携帯も持ってたりして、秘密な部分が全く無くなっている。だから女性が恋愛を長続きさせたいと思ったら、自己演出でも常に新しい部分を見せ続けることが肝心。
桜のような派手な花は好きじゃない。これ見よがしな散り際が、男と別れて騒いでいる芸能人みたいでみっともない。女性も二十歳を過ぎたら、本気で男性に惚れなくなっている。だから別れるときに騒いでいいのも、二十歳まで。ウチの娘も、3ヶ月に1回は恋人を替えるって言うから、5年にしろって言ってやった。もう二十一歳なんだし。下の娘はサッカー選手好きで、ある選手をずっと追いかけて、フランスまで応援しに行った。でも向こうでその選手に声を掛けたら、「お前は怖い女だ」と言われてしまったらしい。どうやら、ストーカーみたいな女と思われたようだ。でも、そういう一途な想いというのは尊敬できる。ストーカーも、世間では悪い悪いと言われているけど、それだけ思いが募るというのは大事なこと。恋愛は成就してしまったら終わりで、思いが募っている間こそが喜びなのだから、と下の娘を応援してやっている。
恋愛ドラマは、「好き」と言ってしまったらそこで終わり。だから言わせないために、色々な枷(かせ)を作る。一番分かりやすいのが、不倫。それから、好きになった男の子に彼女がいる、とか。実は作っている側も、「コイツら好き合っているのに、なんでくっつかないの?」と疑問に思うこともしばしば。だから恋愛ドラマを作るのには、大変なエネルギーがいる。台本の打ち合わせなんか、自分の恋愛経験を語る場になったりする。例えば、『オーバータイム』のワンシーン。田中麗奈チャンが反町隆史クンに「あの時抱きしめてくれた…」ってメモを残す。それを見た江角マキ子サンは大きなショックを受ける。でもそれは、単にリハビリの時に起こった何でもない出来事。さて、その事情を後で説明すれば、問題は解決するのだろうか?と会議で話題になった。男性は皆、「相手は高校生なんだし、説明すれば済むことだろう」と言ったの対して、北川悦吏子さんは「愛されているという安心感のない女性は、触れ合うというコトに敏感に反応する」と言い切った。この言葉だけは、経験がなければ出てこないと思う。
最近、友達が遠距離恋愛を始めたんだけど、その子のする事が可愛くて。一週間寝ないで仕事して、次の一週間は彼のところに行く、みたいな生活をしていて。歌とかも歌っている子なんだけど、急に歌詞とか作り始めちゃって、またその歌詞が「電話の声であなたの温もりが感じられて」みたいなベタベタの歌詞だったりして…もう、分かった分かったって感じ。実は私も遠距離恋愛をしたことがあって、その時は日本とニューヨークだった。ニューヨークで人に紹介してもらって、食事に連れていってもらったり、一緒に花火をしたり、マンハッタンの夜景を一緒に眺めたり…もしかして雰囲気に酔わされたのかも。遠距離恋愛だったのに1年以上続いて、その間、国際電話に毎月10万円以上掛かって、もう大変だった。でも会ってないからイメージだけがどんどん膨らんでいく、みたいな部分もあって、彼が帰ってきたときは「アレ?こんな人だったっけ?」と思ってしまった。
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