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「相撲」
3月14日から始まる大相撲春場所。今場所の話題は、なんといっても新大関・千代大海である。1994年初場所に武蔵丸と貴の浪が昇進して以来、5年振りの誕生となった新大関。中学生の頃は、数十人を相手に喧嘩をして勝ったという逸話も持つ、筋金入りのヤンチャ坊主である。今もその相撲は豪快そのもの。先場所の壮絶な張り合いとなった武双山戦は、まだ記憶に新しい。果たして今場所は、どんな相撲を見せてくれるだろうか。 その他にも、引退のかかった横綱・曙に、まだまだ元気なベテラン・寺尾、そしてアマチュア界の超大物、田宮啓司のデビューと、見所は沢山。 今日は春場所を前に、相撲の話を盗み聞きしてしまおう。
張り手にも2種類あって、頬を張る方はまだカワイイ。キツイのはアゴの下、ボクシングでいうところの「チン」に入る掌底。コレがまともに入ると、くらった方は脳震盪を起こして崩れ落ちる。かつて旭鷲山関が武蔵丸関を、左のフック一発でノックアウトしたのがその好例。そして更に、そういう相撲があった翌場所は、必ずやられた方がやり返すので、必ず熱い相撲になる。例えば、栃の若関。彼はまわしを取る相撲が得意なはずなのに、旭鷲山関戦だけはいつも壮絶な張り合いになった。周りの関取たちも、この取組だけは「あいつら、やるぞ!」と楽しみにしていたほどだった。栃の若関も、負けても殴れれば満足、と思っていた節がある。最近の関取でソレが好きなのが、千代大海関。幕内に入って90勝くらいしている内、寄り切りはたったの1番しかないという、突き押し相撲の鬼。でも壮絶な張り合いをしている武双山とは、案外仲が良い。この二人が血飛沫を上げて張り合いをしている姿は、プロだなと思う。
新弟子検査には身長と体重の制限があるのだが、体重の方は増やすだけならなんとでもなる。それこそ朝御飯を抜き、昼と晩だけたっぷり食べさせて、部屋の隅にゴロゴロ転がしておけばすぐに太る。コレは午前中の空腹期間を覚えてしまった体が、なるべく脂肪を体に貯め込もうとするせい。だから普通の人の場合でも、ダイエットのために朝食を抜くというのは逆効果。ところが相撲取りは、太っていればイイというものではない。調べてみると、体脂肪率の平均が最も低いのは幕内の力士で、23.5%。それに対して入門したばかりの新弟子は26%もある。平均体重は遥かに重いのに体脂肪率が下がっているということは、幕内力士たちがいかに精進してきたかという証拠。ちなみに過去の記録では、体脂肪率が最も低かったのは千代の富士関で、なんと10.3%。現役では寺尾関の11%というのが一番下。逆に体脂肪率が最も高かったのは、小錦関の50%。でも彼は内臓が良かったので、長く活躍できたのだろう。
ウチは私で3代目なのだが、一応、両国で一番古いちゃんこ屋と言われている。昭和12年の創業でそれだから、ちゃんこ屋というのはそんなに古いモノではない。しかもウチの店も最初の頃は、橋向こうに沢山あった料亭へ、鶏料理を配達するところから始まった。料亭に配達するというのもオカシイようだが、実は当時の料亭は、今と違って食事方を持たず、座敷だけを貸すモノだった。それで、料亭は料理を配達するという商売が成り立っていたらしい。さらにその頃は、両国駅が千葉方面への始発になっていたため、千葉や茨城から生の鶏が集まって来て市場が開かれていた。それで鶏料理の店だったのだが、近所の引退した相撲取り達がやって来て、いろいろ教わる内にちゃんこ屋になっていった、というコトだと聞いている。よく「相撲取りは太るためにちゃんこを食べる」と言われるが、アレは食べる量が違う。最近では野菜が多くてヘルシーで良いと言う人も多い。
相撲の基本は「押し」と「寄り」。だから稽古場では、この二つだけを練習する。それに対して「投げ」というのは、「押し」や「寄り」で勝ちきれないときに使う非常手段と考えられていて、稽古場で練習したり親方に教わったりする事は絶対にない。逆に言えば、狙って「投げ」で勝てる人というのは、華があるし、またよほど強くないと不可能。千代の富士のウルフスペシャルや北の湖関の上手投げ、輪島関の下手投げなどが良い例。「投げ」といえば、最近は外掛けや内掛けを見る機会はずいぶん減った。コレは力士の大型化に足腰がついて行っていないせい。ココ10年で、力士の平均体重は20キロも増えている。そんな潮流の中、いま見ていて一番面白いのが、「技のデパート、モンゴル支店」こと旭鷲山関。彼は大草原の中で、土俵のないモンゴル相撲をやっていた経験があるので、華麗な投げ技を持っている。
最近、ハワイ出身の力士がずいぶん減った。現在、幕内には曙と武蔵丸の二人が残っているが、問題はそれよりもずっと下、幕下あたりにハワイの力士がほとんどいなくなってしまったコト。練習がきつくて、お金にならなくて、怪我ばかりして、しかもイジメがあったりするので、みんな次々にやめていく。お金のことで言えば、幕下の力士の場合で、給料は月4万5千円。これが十両に上がるとイキナリ月80万円になるのだが、そこまで辿り着くのが本当に大変。比率で言うと、力士全体の上位10%に入らなければ、全くお金にならない。世の中、頂点に立たないとお金にならないというケースは多々あるのだが、それにしても相撲の場合は下積みの間が辛すぎる。でも、そんな辛い思いをしてまで力士になりたいという人がいるのは、やっぱり相撲が格闘技で、男にとって格好良いから。
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