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「クリスマス・ドラマスペシャル」
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「なあ恵、去年のデートはどうだったズラか?」 「さっきから何なんだよ。そのズラって語尾は?」 「それは秘密ズラ〜」 細身と太めが好対照な二人の組み合わせ。そう、その二人とは、ホンジャマカの恵俊彰さんと石塚英彦さんである。どうやら二人は、誰かを待っている様子だ。 「去年のクリスマスは良かったな〜。罰ゲームとはいえ、あの神田うのちゃんがデートしてくれたんだもんな」 「だからどんなデートだったんズラ?」 「それは秘密。だって二人だけのアマ〜イ思い出なんだもんね」 グラスを傾けながら、去年のクリスマスに思いを馳せる恵さん。その顔がニヤついているところをみると、罰ゲームの付き合いの割にはかなりイイ思いをしたようだ。 「ふん。僕のデートの方が良かったに決まってるズラ」 「石ちゃんの方こそ、どんなデートだったんだよ」 「それは………やっぱり秘密ズラ」 やはり石塚さんも去年のデートを思い出し、頬が緩みきっている。しかしそのイッてしまった顔つきからは、かなり神田うのさんを振り回したことが窺われる。
とにもかくにも、こうしてホンジャマカの二人は、去年楽しい思いをさせてくれた神田うのさんに、今年はそのお礼として、楽しいクリスマスをプロデュースする約束をして、ここAVANTIに集っている、という次第である。 「見ろよ、これ」 恵さんが取り出したのは1枚のアンケート用紙。そこには太字のゴシックで『神田うのに関するクリスマス・アンケート』と書かれていた。 「何々、『結婚したらどのようなクリスマスを希望しますズラか。』」 「勝手にズラを付けるなよ。で、この質問に対する答えが『毎年スタイルを変える。家で二人で迎えたり、ホテルだったりレストランだったり』だって」 「なるほど、ありきたりなクリスマスじゃ駄目ズラか」 「だから逆に手作り感のあるクリスマスを演出してみるっていうのはどうかな。好きな音楽をテープに編集しちゃったりしてさ。途中にMCなんか入れたりして」 「………止めた方がいいズラ」 賢明な判断である。が、その後もそれぞれの思惑や願望が入り交じり、『神田うのに理想のクリスマスをプロデュースする会議』は、遅々として進まなかった。
「遅くなっちゃってゴメンね〜」 二人が何杯目のお代わりを飲み干した頃だろう、やっと神田うのさんがAVANTIに現れた。しかし幸いその頃には、二人の会議もなんとか結論に達していたようだ。 「「遅い(ズラ)〜」」 「ゴメンゴメン、仕事が押しちゃって」 とりあえずウイスキーのお湯割りを注文する神田さん。温かい飲み物を飲んで、人心地が着いたところで話が弾む。 「史上最悪のクリスマスは19の時かな。横浜のランドマークタワーが出来たばかりの年で、つきあっていた彼氏が最上階のスイートに招待してくれたんだけど、横浜方面に向かう道路がなぜが大渋滞。結局着いたのは朝の4時くらいだったの。次の日も仕事があってチェックアウトを8時にしたから、4時間しかいられなかったんだよね。1泊50万円の部屋だったから、1時間当たり10万円以上。悔しいやら彼氏に悪いやら…」 「オレは子供の頃は、オヤジが職人だったせいか、あんまりクリスマスって祝った記憶がないんだよね。部屋を暗くしてツリーを飾っても、帰ってきた親父が『なんじゃこりゃあ。どげんなっとっと?』なんて怒り出しちゃったりして。あ、コレ、九州出身なもんで、向こうの言葉なんだけど」 「オレは子供の時に、親父がすごくまずいスープを作った記憶があるズラ。『全部飲むまで、ケーキはお預け』って言われて、兄貴なんか涙を流しながらそのスープを飲んでたズラ。クリスマスだからって張り切りすぎると、ろくなコトないズラよ。」
ひとしきりクリスマスの話で盛り上がったところで、いよいよ本題である。 「それで、私の理想のクリスマスをプロデュースしてくれるんでしょ?」 「はい。そのためにこのアンケートにもお答え頂きました。しかし…『理想のクリスマス・デートはどういうモノですか?』という質問に対して…」 「『格好良くて包容力のある外人のミュージシャンとデートをしたい。そして彼が音楽の練習をしているところにコーヒーの差し入れをするみたいなシチュエーションがいい』って、何ズラか?コレは」 あきれ果ててモノも言えないといった表情のホンジャマカの二人。 「やっぱり……無茶かな?」 ちょっと苦笑いの神田さん。 その時、意を決したように二人が叫んだ。 「「そこで!ホンジャマカは考えました(ズラ)!!」」 「あなたの理想のクリスマス・デート、なんとかなえてくれる人が見つかりました!」 「その人とは…」 「「ジェイク・H・コンセプション、その人です(ズラ)〜!」」 突然自分の名前が出てきたことに驚いて吹き出すジェイク。 「えぇ?な、何ですか?」 「ジェイクさん、本当に申し訳ない。そういった次第で、うのちゃんの理想のクリスマスデートに付き合っていただけませんか?」 「私なんかで、本当によろしいんですか?」 「注文通りだよね?うのちゃん」 「そっかー。ジェイクさんがいたんだ。う〜ん、ジェイクさんじゃ、文句の付けようもないなぁ」 「よし、決まった。そういうわけでジェイクさん、よろしくお願いします。」 「かしこまりました。」 その日の晩、寒風の吹きすさぶ中、河原でサックスを吹くジェイクに、保温ポットに入れたコーヒーを差し入れする神田さんの姿が見られたというが、その後ジェイクが風邪を引いたかどうかは定かではない。 「ハ、ハックション!」
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