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「タブロイド -Tabloid-」
芸能人のゴシップ記事やスポーツの速報、猟奇事件など、興味をそそる記事を毎日提供してくれるタブロイド紙 ―― 駅の売店で魅力的な見出しに惹かれ、つい手に取ってしまったことは、誰しも1度や2度ではないだろう。夕刊フジの編集局長・加藤雅己氏はこう語っている。「一般紙とタブロイド紙の違いは、1面トップの記事を事件の重要度で選ぶか、その記事で売れるかどうかで選ぶか、である」と。だからこそ、タブロイド紙は読んでいて楽しいのであろう。 今日のAVANTIには、その加藤氏を始めとして報道関係者が多いようだ。その話に耳を傾けた後は、久しぶりにタブロイド紙を手に取ってみてはいかがだろう。
一般紙のサイズの新聞をブランケット版と呼び、その半分のサイズをタブロイド版と呼ぶ。昔の新聞は文字だけだったが、1903年にイギリスの「デイリーミラー」という新聞が初めて写真をメインにして、しかも政治の記事よりも事件の記事を中心に取り上げて大成功した。これがタブロイド紙の起源で、タブロイド紙はスキャンダラスな事件を取り上げることでどんどん部数を伸ばしていく。アメリカで最初のタブロイド紙「デイリーニュース」は、死刑執行の瞬間の写真を一面に載せたことさえあった。「おぞましいのは写真ではない。死刑制度そのものがおぞましいのだ」という論旨だったが、もちろん批判も多かった。だが実は、そうして紛糾すればするほど、その新聞は売れていく。
「やじうまワイド」も、はや18年目。この間に、世の中はずいぶん変わった。例えばスポーツ新聞。18年前は一般紙と同じで、全部白黒だった。その後、題字に色が付き始めて「ブルー日刊」「グリーン報知」と呼ばれ、夕刊フジの「オレンジ色の憎い奴」という言葉が流行ったのも同じ頃。そして今や、全てのスポーツ紙でカラー写真が載っている。そして18年も続けると、色々蓄積されるものはあるもので、例えばスポーツ新聞には「版」というものがある。版が違うと差し替えられている記事は意外に多いので、とにかく最新版の新聞を放送までに手に入れることが大事になってくる。でも最近は、積み重ねの効果というべきか、記者の方が最新版を送ってくれることも多い。それから、欠かせないノウハウとしては、スタジオにアイロンが置いてあること。これで新聞のシワを伸ばしている。
即売紙は見出しが大事。見出しによって、売り上げが上下1割は違う。一口に1割と言っても毎日のものなので、あっと言う間に何千万円の違いが出てくる。そこで見出しについて色々研究した。まず夕刊なので、売る時間帯は比較的薄暗い。そこで目立つ色が黒地に黄色の文字。しかも黒地というのはベタグロと言い、一般紙でも「大きい緊急の事件」に使われている。そのことは日本の新聞読者に定着していて、インパクトも大きいのでさらに良い。そして折り曲げたときに左上に固有名詞を入れるのが重要。その場合、字数が少ないほど字が大きくなるので良い。たとえば「若」とか「貴」とか。困るのは外人。長いので絶対に入りきらない。
カメラマンがファインダーを覗くと我が身を忘れるというのは本当。戦場で写真を撮っている報道カメラマンからカメラを取り上げたら、絶対に逃げ出すと思う。プロとアマチュアの違いは、現場にカメラを2台以上持って行くかどうか。現場では何が起こるかわからないので、絶対に2台以上のカメラで写真を撮れと、アシスタントの頃に叩き込まれた。どんな事態にも対応できる、それがプロであると。それでも失敗はあるもので、アシスタントの頃に一度、ロケの現場にフィルムを持っていくのを忘れてしまったことがある。それに気がついたのはセッティングも終わり、もう撮影が始まろうかという頃。真っ青になってチーフに小声で「済みません、フィルムを忘れました」というと、チーフは何食わぬ顔で露出計を出し、「今日は晴れ過ぎてますね。これじゃ影がきつすぎてダメです」とその場を取り繕ってくれた。これぞプロの技。
新聞記者をやっていると、いろんな経験をする。横井庄一さんがグァムで見つかった時は、彼が住んでいた場所を取材するために、真っ暗なジャングルの中の縦穴に潜り込んだ。奥の方まで進んでいくと、暗闇の中に光る二つの目。腰を抜かさんばかりに驚いて、恐る恐る懐中電灯で照らすと、それは大きなガマガエルだった。どうやら横井さんがペットとして飼っていたらしい。それから日航機が日本赤軍にハイジャックされてドバイに緊急着陸したときも、取材のためにドバイまで飛んでいった。いつ飛行機が飛び立つかわからなかったが、当時の国際電話はなかなか繋がらなかったので、その瞬間を日本へ伝えるために国際電話は繋ぎっぱなし。きっと莫大な請求書が会社に届いたのだろうが、いったい幾らかかったのだろう。
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