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「声」
隣のテーブル席から聞こえてくる声…そう、我々がいつも耳を澄ますのは、声、である。高く澄んだ声、ハスキーな声、低くドスの利いた声、人によってその声は違うし、 またその声はその人と形も想像させる。あなたが放送を聞いて持つイメージと、このページで見る写真には、どの程度の隔たりがあるだろうか。 さて、今日のAVANTIで聞ける声は、どんな声だろう。隣の席の話に、耳を傾けてみよう。
三大テノールの公演が行われたのは梅雨の真っ最中。野外でのコンサートだったので、天気が一番心配だったのだが、三大テノールの力か、その日は奇跡のようにいい天気だった。空には月が浮かび、そよ風で舞台のヤシが揺れる。最高の雰囲気の中、三大テノールは素晴らしい歌声を響かせていた。三大テノールの一人・カレーラスは面白い人で、「日本で流行っているというカラオケに連れていってくれ」と言われ、高級カラオケスナックに連れていったことがある。何を歌うのかと思ったら、「シナトラがいい」と言うので歌わせたら、マイクも使わずに5曲も歌った上に、最後は女の子とデュエットして帰っていった。
よく誤解されているのだが、声というのは声帯が振動している音ではない。声帯を開け閉めする度に空気の断絶が起こり、そこに気流の渦巻きが出来て音を出す。この音が声と呼ばれるもの。よく地声・裏声という言い方をするが、ヨーロッパでは頭声区・中声区・強声区と分類したり、声区の分類にも色々ある。そして、ピアノに合わせて低い声から始めて高い声まで出していくと、どこかで声帯の使い方を変えないと、声が出なくなる。その普段とは違う声帯の使い方をする声が、裏声。地声の場合は声帯全部が振動しているのに対して、裏声の場合は声帯の一部だけを振動させる。その辺の声帯筋の使い方の技術がうまいと、マライア・キャリーのような声が出る。
アナウンサーとして入社して、声のトレーニングは散々やらされた。まず、ノドの弁を開いて、スムーズな声を出す練習。体の力を抜いて、大きな口を開いて「あー」とひたすら声を出す。この訓練をすると、喋るときのエネルギーのロスがなくなって、大きな声で喋り続けても疲れないようになる。それから、すりこぎのような棒でみぞおちを力一杯押されながら喋る訓練もあった。それが痛い内は無駄な力が入っているということらしい。ココまでが基礎編。それを卒業してから、定番の「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ」みたいな、滑舌の練習が始まる。それも終わって、やっと次に来るのが、ニュース原稿を読む練習。何行もあるちゃんとした日本語を喋れるのが本当に嬉しかった。
一般的に言って赤ちゃんは、一日中大きな声で泣いていても、声が涸れない。これは赤ちゃんが言葉を知らないため、頬骨を使って鳴き声を出すから。次第に言葉を覚えて人間的になってくると、理性というものが邪魔をして、だんだん大きな声が出なくなる。だから会社では物静かなサラリーマンも夕方になって酔っぱらうと、新橋駅のけたたましいガード下でも聞こえるような良い発声ができるようになる。それに対してお母さん達は、子供の頃から「女らしくなれ」と言われ続け、腹式呼吸の張りのある声を出せなくなっている。でもそれは、もしかしたら妊娠したときにお腹に負担をかけないための習慣なのかも知れない。
音声認識ソフト「ViaVoice 98」を使えば、声でパソコンの操作が出来たり、文章の入力を出来るようになる。音声認識の研究そのものは、1970年代から続いていて、もう30年近い歴史がある。昔は高価で特定の人の声しか認識できないような代物だったのが、最近では特殊なハードウェアも必要なくなり、値段も1万8千円。やっと実用に耐えるものになった。今ものすごい勢いで売れているのだが、ユーザーカードでアンケートをとってみると、ワープロへの入力とEメールへの入力が二大使用用途。いままでキーボードアレルギーでパソコンを一切使っていなかった人が、いきなりヘッドセットを付けてパソコンを使ったら周りの人はびっくりするかも。
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