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「辞書」
普段何気なく使っている言葉でも、辞書で調べてみると意外な意味を持っていることが多い。「動物園」を三省堂の新明解国語辞典で引いてみよう。動物園とは、「生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設。」だそうである。 ちなみに広辞苑では「各種の動物を集め飼育して一般の観覧に供する施設。」と、ずいぶんあっさりした表現になっているが、どちらが真実に近いかはあなたの判断におまかせしよう。 どうやら向こうの席には、辞書の専門家がいるようだ。その話をちょっとだけ盗み聞きして、参考にしてはいかがだろう。
辞書ほど安いものは世の中にない。人に聞いてお礼におごることを考えたら、辞書の値段なんて安いもの。「ナポレオンに関する辞書」のような変わった辞書も持っているが、今まで役に立ったのは3回くらい。でも一冊の辞書から3つのことが学べれば、もう元は取った言える。最近は辞書もCD-ROMになっているが、特にオックスフォードの英語辞書「OED (Oxford English Dictionary)」はスゴイ。その言葉が、いつ初めて活字になったかということがはっきり書かれている。例えば「LOVE LETTER」という言葉は、シェークスピアが有名にした言葉らしい。
赤瀬川源平の「新解さんの謎」でよく知られるようになったが、実は「新明解国語辞典」が変わっていることは、辞書の世界では以前から有名だった。現在発売されているのは第4版だが、初版の頃が一番面白かった。例えば「いも」の一項目で「いも辞書」は「大学院生を集めて切り張りで作る安易な辞書」とか、「親亀」は「権威のある辞書を持ってきて、それを引き写して作るその元になる辞書」など。親亀こけたら皆こけたというのは、元になる辞書が間違っていると全て間違っているということらしい。「ジレンマ」「動物園」「実社会」なんかも飛ばしまくり。
電子辞書の長所は、まず軽いところ。それと最大の特徴は、いろんな検索が可能という点。キリンなら「アフリカ・動物」などのようにキーワードになる言葉が組み込んである。すると「アフリカ・動物」で検索ができる。しかし問題もあって、知人がマリリン・モンローを出そうとして「アメリカ・俳優」と入力したら、どうしても出ない。これは「女優」でなくてはいけなかった。しかし、田中絹代を出そうとして「日本・女優」と入力しても、これまた出ない。何故なら田中絹代は日本人に決まってるから、日本という検索条件が邪魔だった。最近出た新しいバージョンでは、それを全部盛り込む作業で大変だったらしい。
仕事柄、辞書を引かなければ分からないような言葉は使いづらいので、仕事のために辞書を引くことはあまりない。でも、興味本位で辞書を引くことはよくある。例えば「にべもなく」の「にべ」。これがなんだか知りたくて辞書を引いたら魚ヘンの漢字が出ていた。つまり「にべ」とは魚の名前。その魚からつくる「にべにかわ」がないというのが「にべもなく」という状態らしい。もし仕事で辞書を使うとしたら、難しい漢字を使って古い雰囲気を出したいとき。それで「いかがわしい」という言葉を調べたら、「ご機嫌いかが」の「いかが」と同じだったので驚いたこともある。
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