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「スペイン」
情熱の国・スペイン。今、東京では静かなスペインブームが進行中である。今年の7月、六本木交差点の近くにできたフラメンコレストラン「カフェ・デ・チニータス」は、マドリッドで有名な酒場「チニータス」の支店で、ここでは毎晩華やかなフラメンコ・ショーが繰り広げられている。 また、女優の山口智子がフラメンコを習っていることが雑誌に載ったことがきっかけかどうか、フラメンコを習いたいという女性が急増、フラメンコ教室は毎年倍々で増えていると言われている。 そういえば隣の席でもスペインの話をしているようだ。その話に、ちょっと耳を傾けてみよう。
18年前、初めてスペインを訪ねたときの話。ボバティージャという小さな町に泊まった。何もない町だったので、バル(バー)の片隅にあった「スペースインベーダー」で遊んでいると、いつの間にかまわりに人垣ができている。どうやら「名古屋撃ち」に驚いているらしい。いつまでやってもクレジットが減らないので、そこにいた子供にゲームを明け渡し、そして翌日その町を去った。あの時の僕は、あの町の、少なくともあの子供の、伝説になっているでしょう。それ以来僕はスペインが好きになったんです。
スペインは地方色が強く、特にカステーリャ地方のマドリッドとカタロニア地方のバルセロナというスペインの二大都市は、東京・大阪みたいなもので、対抗意識を燃やしている。一般にカステーリャ語のことをスペイン語と呼ぶが、その他にカタロニア語・バスク語・アンダルシア語など地方によって言葉も違うし、人情・風俗も違う。共通点といえば、やけに血の気が多くて議論好きなこと。また一番大切なのは家族、次が親戚、そして地域や町、一番最後が国だったりするので地域間の競争意識は激しい。
フラメンコというと、あの独特な手拍子が浮かぶ人は多いと思う。あれは基本的には、表と、裏=アフタービートの組み合わせ。音に関して言えば、手のひらを開いて緊張させてたたいたときの甲高い音と、丸めたときのこもった音を使い分けている。手拍子も難しいのだが、何より舞台上でギター・歌・踊りと三位一体となって一歩も引かずに対処できるようになるまでには、相当な年月がかかると思う。その中で、ダンサーはオーケストラの指揮者のような役割といえる。
カスティージャ地方の人は「パエジャ」と呼び、カタロニア地方の人は「パエリヤ」と呼ぶ。どっちも同じものだが、どっちかというと「パエリヤ」と呼ぶ地方の方が美味しかったと思う。パエリヤは、イタリア料理のパスタにあたるものなので、メインの前に頼むのが正しい。スマートな注文の仕方は、予約を入れるときに「7時に行くのでパエリヤを炊いておいて欲しい。メインはその時メニューを見て決める。」ということ。その時さらに「ソカレット(下を焦がすこと)にしてくれ」なんてつけ加えれば、シェフは緊張するか嫌な客だと思うかどちらか。
マヨネーズは実はスペインのもの。マヨネーズの「マヨ」はマヨルカ島からきている。ニンニクをすりつぶしてオリーブオイルを加えたものが、スペインで一番使われる「アリオリ」という万能ソースなのだが、これに卵黄を加えるとほとんどマヨネーズ。ただし、日本のニンニクは辛みが強いので、これを作るときは一度電子レンジでホクホクにして辛みを飛ばしてやる必要がある。このアリオリソースをスペインではパンから魚から何にでもつける。例えば「ジャガイモのアリオリソース和え」なんて、茹でたジャガイモにこのアリオリソースをかけるだけ。
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