
|
「エスプレッソ」
「アメリカン・コーヒー」と言えば薄めのコーヒーの代名詞だったが、実は今アメリカで一番飲まれているのはエスプレッソである。深入りの豆を細かく挽いて、底に細かい穴のあいた金属のカップにぎゅっと詰める。そこに高温の蒸気を勢いよく当て、わずか20秒ほどで抽出したコーヒーがEspresso(急行)で、もともとイタリアで「カフェ」と言えばすべてこの入れ方で入れたものを差す。 アメリカでエスプレッソが流行りはじめたのは7〜8年前から。シアトルの「STARBUCKS」というコーヒーチェーン店がエスプレッソを中心としたイタリア式カフェで成功したのがきっかけだった。 日本でもSTARBUCKSが銀座松坂屋裏に1号店をオープン、プロントやドトールなどのコーヒーチェーン店でもエスプレッソを出すようになり、最近はちょっとしたエスプレッソブームとなっている。 AVANTIのウエイティングバーでも当然エスプレッソを注文できるのだが、注文を受けたジェイクは必ず奥の厨房に頼む。それを待つ間は、エスプレッソにうるさい常連の会話に耳を傾けるとしよう。
エスプレッソは普通のコーヒーに比べて豆がよく炒ってある。エスプレッソマシーンの中にはボイラーが入っていて、熱を加えて加圧してスチームを作る。そして圧力で一気にお湯がでてくるようになっている。それから底がメッシュになっていてそこに豆を詰める。その詰め方でも味が変わってしまう。蒸気はミルクを温めるのに使う。コーヒーがシャーッと出てきてしまったらまずい証拠。ドローッと出てきたらおいしい証拠。
イタリアではエスプレッソはバールで立ち飲みが基本。テーブルに持ってきてもらったら「エスプレッソ」じゃない。レストランを出た後に改めて別のバールに行くのが普通。周りに何もないような田舎のレストランでも、そのレストランがカウンターを用意している。イタリア人は砂糖をたくさん入れるんだけど、みんな指が太いからあの小さなカップを持ってかき回す姿は結構かわいい。あのマルチェロ・マストアーニは一日に20杯以上飲むほどコーヒーに詳しい。もちろん女にはもっと詳しいけど。
ヨーロッパのコーヒーは炒りが深い。世界で一番炒りの深い豆を使ってるのはフランス。逆に炒りの浅いコーヒーを使っているのが日本です。アメリカが一番浅いと思っている人が多いかもしれませんが、それは2〜3年前の話です。今はほとんどがエスプレッソ&カプチーノでアメリカンコーヒーのような炒りの浅いコーヒーはほとんどお目にかかれません。イタリアのコーヒーは昔ほど濃くなくなりました。今の日本で飲んでるエスプレッソは20年前のイタリアで飲んでたような濃いものです。
日本ではあまり見かけないけど、カフェ・マキャートなんかのマキャートというのは「染み」という意味で、例えばカフェ・マキャートというのはカフェにミルクの染みが付いているという感じで、ラッテ・マキャートだとミルクにコーヒーの染みが付いている感じ。カフェ・ラッテはたいてい朝に飲むのものだから、食後に飲むのはどうかな、という気がする。食後にいいのはカフェコレット。これはカフェにグラッパとかラムを入れるからすごく身体が暖まる。
カプチーノは朝に飲むもの。食事の後に頼んで「まだ腹が空いているのか」と言われ、食事のメニューを持ってこられた人もいる。イタリアではエスプレッソは何かを食べながら飲むという感覚はない。例えていうならタバコを吸う感覚に近い。イタリアのバールは馴染みの客が相手の商売だから、その人の好みとか体調に合わせてエスプレッソを作ってくれる。バールで働いてる人をバリスターというのだが、何を頼むかわかっているような客だともうオーダーをする前から作りはじめてしまう。
|